夢のタネ
皆さんこんにちは。
アクセサリーや雑貨を販売するお店で店長をしています。さとこと申します。
先日、ふと自分の人生について振り返る出来事がありました。
仕事帰りに久々に乗ったバスで、地元の同級生に再会したのです。約8年ぶりでしょうか。彼とは、小・中合わせて8年間同じクラスでした。
その日彼はスーツ姿でした。聞くと、今はスポーツ選手のリハビリやトレーニングをサポートする仕事をしているとのことでした。
彼は、小学生の頃からずっと野球をやっていて、高校にも推薦で県内の強豪校に進んでいました。そして、今はスポーツトレーナー。今までの人生が、今の仕事にも結び付いていて、ルーツがはっきりあってすごいなぁ…と、密かに感心していました。
そこでふと、私にもルーツはあるだろうか?と思ったのです。
最初にも書いたように、私は今ファッション関係の販売の仕事をしています。今の仕事はとても好きですし、簡単に言えば“ヤル気満々”の状態です。
でも、昔からずーっとファッション関係の仕事を目指していたかと聞かれれば、そうではありません。
小学生の頃の夢は小説家。中学生の頃は通訳、心理学者もいいなーと思い、高校では英語の先生になりたいと思っていました。でもどれもなんとなくで、野球少年の「プロ野球選手になりたい。」よりもよほど現実味の無い夢でした。
そんな私が販売員になったこと自体は、完全に成り行きでした。
大学生の頃、やりたいことなんか何も見つからず、当然のように就職活動で全敗。とりあえず…と、自然食品店の販売員として、フリーター生活がスタートしました。自然食品店を選んだ理由も大したことはありません。過去に系列店でアルバイトをしたことがあり、“安心だから”というだけでした。
でも、そうして始めたフリーター生活の中で少しずつ、販売って面白い仕事かも…と思うようになりました。そして、どうせ売るなら服がいいかな…オシャレは好きだし、なんとなくカッコいいし…とまた安易に考えた私は、自然食品店を辞め、なんとなく選んだお洋服屋さんで1年ほどバイトした後、今の会社に正社員として入社しました。
こんな風に、ここまでのほとんどを“なんとなく”で進んできた私ですが、一つだけ、“なんとなく”ではないことがありました。それは、今の会社に入った理由です。
今私が働いている会社、ブランドは、私が小学生だった頃に“オシャレの楽しさ”を教えてくれた場所でした。キラキラした店内、オシャレなお姉さんたち、「あれもこれも欲しい!お姉さんみたいになりたい!」とワクワクした私。
転職サイトでそのブランド名を見たとき、そのワクワクした気持ちを昨日のことのように思い出し、「どうしてもこの会社で働きたい!」と初めて思いました。
そして今、無事に入社できた私は、心から“この仕事が好きだ”と思うようになりました。
『ルーツ』とは、『物事の根元』という意味だそうです。
正直なところ、私のこの経験が『ルーツ』と言えるほどのものなのか、自分ではちょっと微妙です。当時そのお店に出会ったときは、それが仕事になるなんて夢にも思いませんでしたし、それがきっかけでファッションの道へ…というわけでもなかったからです。
でも多分、地元の駅ビルの、あのキラキラしたお店で、小さなタネくらいは拾っていたのだと思います。そしてその小さなタネは、幸運にも密かに育ち、少しずつ根を張り、ちょっとしたきっかけと巡り合わせで、突然花を咲かせました。
もしきちんと就活をしていたら…もしあのお洋服屋さんで社員になっていたら…と、他の選択肢を想像したことはあります。でも、結局今の自分に行き着いていたような気がしてなりません。それはきっと、自分の中の“好き”に、一番素直に応えた結果が “今の私” だからです。
日々の中で、“これが好きだ”と思う気持ち。“これにワクワクする”という気持ち。反対に、“これだけは嫌だ”というもの、無数の選択肢や後悔、遠回り…そんな全てが、小さなタネなのだと思います。
そんな小さなタネをちゃんと拾って、無視することなく、大事に育てられる。そしてそれが芽を出したとき、素直に応えられる。いつまでもそんな自分でありたいと、今はそんな風に思っています。