花恐怖症

私は花恐怖症だ。

中学生の頃は「花が嫌い」って言っていたので、普通に痛いやつに見えてたかもしれない。

そりゃそうか。花って素敵の代表格だもんな。

ドライフラワーを吊り下げているレストランは大体おしゃれだし、
なんなら、一輪各テーブルに花を挿しているし、
ちょっと良いレストランは、料理に花びらを盛り付ける。

恋人に花を買って帰る人は素敵だし、
卒業する先輩に花束を渡すし、
ちょっと部屋に彩を…みたいなノリで花を飾る。


その、花の文化、花での表現、花を通してのコミュニケーション。
私にとってそれ全部が恐怖の対象だった。

まず花恐怖症とはなんなのか

花恐怖症(はなきょうふしょう、英語: Anthophobia)、恐花症とも、花に対する恐怖症。語源はギリシャ語の anthos()と phobos(恐怖)。
多くの場合、患者は花は脅威ではないと理解しているにもかかわらず、見たり考えたりすることに強い不安を感じる。すべての属や種、さらには花弁 (en:petal) やなど花の一部も恐怖の対象になる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E6%81%90%E6%80%96%E7%97%87



簡単にいうと花を見るとものすごく不安になる症状のことだ。
私の場合、花が近くにあると、鳥肌が立ち、胸騒ぎが止まらなくなり、体がちょっと強張る。花を目の前にして飲食もできないし、寝れないと思う。

理由はよくわからないが、もともと花が生活環境に存在している人がなりやすい、とどこかの記事で読んだ気がする。

確かに私は母がガーデニング大好きだった。
バラが家の庭に咲いていて、一年のほとんど花を飾っていた。

小学生の頃、その母が「生花を習いなさい」といってきた。
姉妹揃って、花を生けに教室に通った。

最初は楽しかった。
ほ〜んこうやるんだ…と小三くらいの私は楽しんでいた。

途中から「なんか、無理かも。」と思い始めた。
始まりはよくわからない。

花を触るたびに、無性に手を洗いたくなった。
花を挿す時に使う皿を触りたくなくなった。

ある夜、母が私のずっと使い続けてきたミッキーのマグカップに一輪の花を挿して飾った。それに対してとても怒った気がする。

それからミッキーは使えなくなった。

ガーデニングのバラを通る時、息を止めるようになって、
花からできるだけ距離の遠い椅子に座るようになって、
受験を機に生花教室に通うのをやめた。

母に「花が嫌い」というのは言えなかった。
母の好きなものを娘が嫌いなのは、悲しいかなと思ったから。

中学生になり、母との喧嘩が増えた。
学校でも、花に触れる機会は多かった。

学期の最後に、先生に花束を渡す行事があった。
斜め後ろの子が花を渡す係の子だった。
その子が花を持っていると思うと、ゾッとして体のゾッとする鳥肌から逃げようとモゾモゾ動いていたら、どうしたの?と友達が心配してくれて、花、花が無理と言った。

えっ?って顔をされた。

あ、花嫌いなのってそんなへんなこと?と思った。

部活を卒業する先輩に花束を渡す機会があった。
はたから友達が先輩に花束を渡してるのを見て、卒業したら花束もらうかもしれないんだ、と思った。

どうにかして、花を回避したい。マジでそう思った。

結局色々あって部活もやめた。
高校に入ったら、引っ越して、母とも別居して、
花をあげる文化が全然ないところに行った。

母とも一緒にいなかったので、花とはおさらばした。


超ラクだった。


大学に入るタイミングで、また母と3ヶ月だけ住むことになった。

久しぶりの花生活にものすごく耐えられなくて、打ち明けた。

「マジで何言ってんだこいつ」って顔された。3回くらい説明した。
3回くらい説明した結果、結局、花瓶はどけてもらえなくて、何回か喧嘩した。母はマジで理解できないみたいだった。

それで、仲間が欲しくて、インターネットで「花 嫌い」としらべた。
付き合った彼女が花がキモいといってドン引いたyahoo知恵袋が出てきて、
さらに落ち込んだ。

結局その3ヶ月で、花が嫌いなのは理解してもらえなかった。

大学に入ると、いろんな価値観の人がいて、仲良くなった1人に「花無理なんだよね」って言った。

そしたら「なんか恐怖症的な?」と聞かれた。
恐怖症?!と思って、2人で「花 恐怖症」と調べた。

wikiがあった。

花恐怖症を公表してる俳優さんとアナウンサーさんがでてきた。

それをみて、ああ、私って変じゃなかったんだ!と思った。

それからだいぶ生きるのがラクになった。
説明するのに「花恐怖症なんだよね、実はこういうのがあって」とリンクを見せたり、高所恐怖症が高いところゾッとする感じ!と伝えると納得してもらえるようになった。

母には花恐怖症の精神科のサイトを送りつけた。
恐怖症という名前がついた途端、母は配慮してくれるようになった。

花が嫌い、というと、困惑されてたのが
花が怖い症状なんだ、というと、納得されるようになった。

あの時恐怖症を教えてくれた友達と、花恐怖症を公表していたお二人にとても感謝している。

今調べると花嫌いって書き込んでいる人も多くなってきて、潮流にのっとこうと思ったのでこれを書いておく。



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