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あなたはお金持ちか?(2)

▽「期待資産額」の算出を試みた方の中には、この水準はとても現実的ではない、と感じた方もいらっしゃると思います。トマス・J・スタンリーとウィリアム・D・ダンコの「となりの億万長者」という本に書かれている、お金持ちのイメージは、びっくりするほど質素で、周りの人からは全く気付かれることのないような存在なのです。そういう方々を基準として期待資産額(注1)の算出方法を考えたとすれば、それはそれで納得のいく水準かもしれません。

▽私も含めて多くの方が「お金持ちになりたい」と漠然と思ってしまうのは、「お金の心配をするという不自由さから解放されたい」という願望が根底にあるからだと思います。そのために、「となりの億万長者」のように、何事にも切り詰めて限りなく質素な生活に徹すれば、目標の達成も可能かもしれません。しかし、です。例えばロレックスの時計を買ってしまうというような散財も、実は時にとても楽しいのです。子供が二人になった時に国産セダンをやめてボルボのエステートにしましたが、これも家族みんなのお気に入りで、結局15年ほど乗りました。

▽地位財を非地位財(注2)にできる場合もあります。もちろんそれはお金の力だけではなくて、例えば我が家では頻繁に温泉に出かけていましたので、ボルボはそういう生活の真ん中にいるという存在感がありました。ロレックスは、残念ながらどこまでも地位財のままですが、今は主が変わって長女の左手に収まっています。

▽「質素な生活態度を身に着ける」というのは、とても価値のあることだと思います。その結果、期待資産額をクリアできるなら尚言うことはありません。しかし、大事なことはあくまで「質素な生活態度を身に着ける」方にあります。期待資産額を達成することは、おまけにすぎません。質素な生活態度が身についた人には、おおよそ億単位の金融資産など不要だからです。

▽倹約!倹約!倹約!というような生活は険悪を生みます。地位財にしなければよいのです。素材としては地位財になり易いものであっても、あなたにとって非地位財といえるような買い物なら、時には必要なのです。その結果期待資産額に届かなくても、何ら問題はありません。それは、結果であり所詮おまけにすぎないからです。

(注1)「期待資産額」とはトマス・J・スタンリーとウィリアム・D・ダンコの共著である「となりの億万長者」という本に書かれているものです。(期待資産額)=(税引き前年収)×(年齢)÷10で算出されます。
(注2)「幸せとお金の経済学」の著者ロバート・H・フランクによれば、
「 地位財」とは、他人との比較優位によって価値の生まれるもの、例えば 所得・社会的地位・車・家・高級ブランド品などをいい、「非地位財」とは、他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの、休暇・愛情・健康・自由・自主性・社会への 帰属意識・良質な環境などをいいます。

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