弁護革命活用のすすめ(前編)
はじめに
東京で弁護士をしている京谷周と申します(第二東京弁護士会所属)。
私は、東京と札幌に事務所を有する弁護士法人PLAZA総合法律事務所に所属しております。
当事務所では取扱業務を限定しておりませんが、企業のお客様が多いため、私個人としては契約トラブルなどの企業間紛争、使用者側労働事件、倒産事件、法務DDを含むM&A対応、企業法務一般のほか、相続事件のご依頼をいただくことが多いです。
この度は、弁護革命の開発者である弁護士の山本了宣先生とご縁があり、本記事を書かせていただきました。
私自身、2020年11月頃から弁護革命を利用している大ファンでして、最近では弁護革命の評判も広がっているようですが、具体的な活用例について紹介されているものがまだ少ないようですので、弁護革命が気になっている方に向けて、少しでもイメージを持っていただくため紹介させていただきます。
私も全ての機能を使いこなしているわけではありませんが、弁護革命にご興味をお持ちの方に、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
なお、私の活用例は、以下のとおり既に紹介していただいておりますが、こちらのインタビューとは少し違う観点で、具体的な業務フローに沿ってまとめてみようと思います。
弁護革命とはどんなソフトか
弁護革命とは、一言で言えば、デジタル事件記録であると考えています。
ちなみに、弁護革命は事件記録ソフトであって、案件管理ソフトではありません。
ですので、弁護革命を案件管理ソフト的に利用すると、本来の目的とずれてしまう可能性があるため、おすすめはしません。
私の場合、案件管理は、事務所全体でLEALAを利用しています。
そして、事件記録になるデータ(主にpdf、jpeg、docx、xlsxなど)は、パソコンのローカルストレージか、ローカルと同様に扱えるクラウドストレージに置くことになります。
DropboxやGoogle Driveといったクラウドストレージを既に利用しているが、何か見にくいな、とか検索しづらいな、と感じている方が、弁護革命に興味をお持ちなのではないかと思います。
弁護革命は、弁護士業務をするにあたって、ブラウザを通じて、クラウドストレージ内に保存されているデータを見やすく整理整頓して表示するフィルタをかけてくれるソフトと考えています。
あくまで弁護革命はフィルタとして、元データが保存されているクラウドストレージを読み出して表示しているだけです。
しかも、Google Chrome等のブラウザ表示であるため、複数ウィンドウを同時に表示させることができます。
なお、弁護革命の具体的な機能や操作方法は、弁護革命HPにある弁護革命ガイドや、弁護士の新井玲央奈先生が作成された「使ってみよう 弁護革命入門ガイド」に記載されており、とてもわかりやすいので、こちらを参照してください。
https://www.bengo-kakumei.jp/files/bengo-kakumei-first-guide.pdf
記録それ自体の物理的制約にとらわれない
私は、デジタル事件記録である弁護革命は、①個人としての使用、②チームとしての使用の観点から、物理的制約にとらわれないことが画期的であると考えています。
場所を選ばない
私の場合には、家庭の事情からずっと事務所で仕事を続けることができず、また一定程度出張や外出もあるため、事務所以外でも事務所と同じ作業環境を作り上げる必要があります。
弁護革命は、クラウドストレージとブラウザをベースとするシステムですから、インターネットにさえ繋がっていれば場所、時間を選びません。
今誰が使っているか関係ない
物理的な記録の場合、誰かが使っているとその記録を使うことができません。
各弁護士のスケジュール等の関係で、記録を事務所から持ち出したりすることができないことがあるでしょう。
弁護革命の場合、例えば主任弁護士とボスとの間でよくある、「起案できましたので見てください」「OK!起案見るから記録貸してくれる?」「こことここを直しておいたけど、ここは調査不足だと思うからもう少し検討してください」というようなやりとりが、異なる場所で瞬時にできるようになり、私も実際にやっています。
また、複数の弁護士で担当するような倒産事件や法務DDなどの場面において、同じ資料を共有する必要があるものの、起案するパートを分担していたりする場合、記録の取り合いになるか、大量の紙ファイル記録を複数作るといった対応が必要になります。
弁護革命であれば、誰かが一度アップロードすれば同じ内容の記録ができあがり、全員が同時にチェックすることができますので、見逃しのリスクは小さくなります。
起案パートの分担をしている場合に全体をチェックする担当者(通常は年次が上の弁護士でしょう)にとっても、便利であると思います。
クラウドストレージで同様の対応をしている弁護士も多いでしょうが、前記のとおり弁護革命を通してみれば一覧性、検索性が全然違います。
私の使用環境
私は、2021年10月に発売されたMacbook Pro 14インチを愛用しており、この1台を事務所、自宅、打合せ、裁判所の期日といった全てのシーンに持ち歩いて使用しています。
ですので、事務所や自宅には、Macbookを繋ぐための大きなモニターが置いてあるだけです。
私の事務所のデスクは、YouTuberのLeo Tohyamaさんの動画を参考に、34インチウルトラワイドモニターを使っており、とても便利に使えています(iPadももっと便利に使いたいなという思いを馳せながら)。
具体的には、後編で画面分割例を紹介しておりますので、そちらをご覧ください。
自宅のデスクでは、27インチのモニターを2つ並べて、Macbook自体はクラムシェルモードで使っています。
この場合でも、広いモニターにウィンドウを横に並べて使えますので、弁護革命の利便性を最大限享受できます。
事務所や自宅のほか、打合せや裁判所での期日にも持ち歩き、どこにいても同じ画面を見ながら、起案したり、クライアントに見せたりして使っています。
また、クラウドストレージは、最もセキュリティに優れていると思ったのでboxを事務所全体で契約しており、Mac版BoxDriveをダウンロードして、これを通じて弁護革命を使っています。
Macbook Pro 14インチは、約1.6kgとノートパソコンの中では比較的重い部類に入りますが、弁護革命のおかげでその他の紙の書類を持ち歩くことがほとんどなくなりましたので、全体として持ち歩く荷物は軽いです。
前提としている考え方
デジタル事件記録である弁護革命を使用するにあたって、以下に掲げる考え方をベースにすると、弁護革命の便利さがよく分かるようになると思います。
その案件に関する資料は全て弁護革命に入れる
その案件に関する資料が散らばっていると、整理したり検索したりするのに無駄な時間、労力が生じたり、見逃しが生じたりしてしまいます。
弁護革命は、事件記録ですから、その案件に関する資料は全て集約した方が利便性が高まります。
紙の事件記録だって、全ての資料を一つのファイルに綴りますよね。
私の場合、通常の訴訟記録(主張書面、証拠等)だけにとどまらず、訴訟で使うかどうかも分からない資料や、リサーチした裁判例・論文書籍のコピー、起案書面のドラフト、ヒアリングメモまでも弁護革命に集約しています。
そして、クライアントから送ってもらったり、調査等によって取得したりした資料は、受け取ると同時に弁護革命にアップするようにしています。
忙しかったりすると面倒くさいと思われがちですが、標題や作成日、作成名義、文書符号などを付けて整理するのは後回しにして、とりあえずアップだけしておくのがコツです。
そのような整理整頓はあとでやればいいのです。
①アップロード → ②整理整頓 という業務フローは分けて考え、①を欠かさずやることで、資料をなくしたり見落としたりするリスクを低減できます。
私の場合、②をやる段階で、標題や作成日、作成名義、文書符号などを付け、また気になる記載をメモ欄に一言書いたりするようにしています。
中途半端に紙の資料を用いない
今まで紙の事件記録を見ていた方が、いきなりデジタル事件記録に移行すれば違和感を覚えるのは当然です。
ただ、「これは紙の記録で…」と中途半端に紙の資料と併用すると、いつまでも弁護革命の使い方が身につきませんし、違和感も払拭されません。
弁護革命はいわゆるサブスクリプション型のサービスであり、合わなければ止めればいいだけですから、思い切ってデジタル事件記録に全面移行してみるのが、慣れへの第一歩だと思います。
なお、どうしても紙で読みたいときに、それだけ裏紙などに印刷して紙にマーキングしながら読むことはたまにあります。
以上のとおり前編では弁護革命というソフトに対する基本的な考え方や利便性を説明してきました。
後編では、私の実際の業務フローに沿って、具体的な使用方法について説明したいと思いますので、よろしければご覧ください。