京都公演のお知らせ
来月、9月10-12日に京都芸術センターの公演に出演します。ここ数年関わらせていただいている伏木啓さんの作品。
この「The Other Side」は、2018年に伏木さんが教鞭をとっている大学の講義の一環で、映像、身体、言葉、美術、音楽などを複合的に扱った作品の一例として学生さんたちに見せるということを目的にして作られたのが最初だったと思う。その頃はちょうど父が癌を宣告されて入院し、余命何ヶ月か、と言われていた頃だった。私の人生が揺れ始めていた頃。
その時の20分程度の作品がなかなかいい感じにまとまり、その時には使用しなかった映像なども使ってもっと発展させたいね、と話しつつ、その頃ちょうど募集があった「あいちトリエンナーレ2019」の公募プログラムに応募し、選考に通過。ワークインプログレスとして2019年3月、6月にそれぞれ違う会場で舞台美術や音楽なども発展させながら発表を重ねた。
その間に私はシングルマザーになったり、父が亡くなったり、娘が学校に行かなくなったり。揺れ始めていた私の人生が、ガラガラと崩れていった頃。
そして、あいちトリエンナーレ2019に出演。このトリエンナーレは「表現の不自由展」をめぐって大きな騒動に発展し、表現の自由とは、政治(経済)と芸術との関係性とは、というようなことを、アーティストとしても市民としても深く考えさせられる芸術祭となった。
ここを目指したワークインプログレスだったため、一旦これで完成形、というようなところまで作り込めた回だった。
ワークインプログレスを重ね、それぞれの場所に合わせた舞台美術や身体表現などを編集するという作業がなかなか面白く、もっといろんな場所で再演を重ねていきたい、という思いが啓さんはじめクリエーションメンバーの中にはあったと思う。
そしてその後、世界はコロナ禍へ。本来なら2020年秋に上演予定だったものが2つとも延期に。せっかくここまで積み重ねてきたものがなんとなく消えてしまうのではと不安だったけれど、いろいろと縁があって旧ボストン美術館でのオンライン配信公演が実現。
これは「若手演出家コンクール」の審査も兼ねていて、なんと優秀賞(応募78組の中の4組)をいただき、最終選考会のため下北沢の「劇」小劇場へ。緊急事態宣言下の東京での選考会は、惜しくも最優秀賞は逃したけれど、日本のアートシーンや演劇シーンの中での自分達の立ち位置のことや、これからの方向性についてなど、メンバー内でじっくり話し合えるいい機会になったと思う。
こうして振り返ってみると、ここ数年は特に、自分の人生も、世の中の状況も、決して「安心・安全」なんて言ってられない状況がずっと続いているなあと、しみじみと。そんな状況の中でも、表現している間だけはとても自由で、やっと息をしていられる。そんな感じ。
この作品の中では、パフォーマーの個人的な記憶や集合的な記憶などが言葉によって語られ、時間の流れや地続きの関係性の断絶、存在していること・していたことの美しさ、などが舞台美術や音楽、身体、映像などによって表現される。
世の中の状況も自分の人生も相変わらず不安定で、揺れ続けながら表現していくということは、もちろんしんどいことも多いけれど、自分にはとても性に合っている、とも思う。
私自身は技術的に素晴らしいダンサーでもなければ、カリスマ性のある役者でもなく、フォトジェニックなパフォーマーでもないため、舞台美術や音楽、映像のなかに自分の身体を配置してみることにより他の要素を見やすくする、というスタンスで取り組めるこのチームのクリエーションも、とても居心地良くやらせていただいている。
またもや京都にも緊急事態宣言が発令されそうな気配で、来月の公演もどうなることやらわからないけれど、とりあえずどう転んでもなんとかなるようにいろいろ準備しなければ、というところ。そんな状況でなかなか宣伝もしづらいところではありますが、お近くの方、ぜひ見にきてください。オンラインの回もあるので、遠方の方もぜひ。
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The Other Side - Sep. 2021
◉会場
京都芸術センター|講堂
◉日時
-9月10日[金]18:30開演(18:00開場)
-9月11日[土]14:00開演(13:30開場)
-9月11日[土]18:30開演(18:00開場)
-9月12日[日]14:00開演(13:30開場)
※12日[日]は、オンライン・ライブ配信も実施
上演時間:約60分
◉料金
前売|一般 3,000円 / 学生 2,000円
当日|一般 3,500円 / 学生 2,500円
◉オンライン・ライブ配信
-9月12日[日]|14:00 開演|料金:1,500円
※オンライン・ライブ配信チケットをご購入の方は、9月12日[日]のライブ映像と、アーカイヴ映像(9月12日[日]17:00〜9月13日[月]23:59)をご視聴いただけます。
◉チケット販売URL
公演回ごとに、URLが違うため、ご注意ください。
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彼らは、〈それは、かつて、そこに、あった〉を、今あらためて生み出し、ふたたび消滅させることで永遠化し救い出す(秋庭史典 / 美学者)
身体と、語り、映像、音響、照明、装置など、様々な要素を組み合わせて構成されるパフォーマンス。
ーあるということ、ないということ
舞台上の「現在」と、出演者の個人的 / 集合的な記憶としての「過去」を往復しながら、地続きの関係性とその断絶を巡って、複数の時間を折り重ねる。
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演出・構成・映像:伏木 啓
Direction, Video images: FUSHIKI Kei
空間構成・装置:井垣 理史
Space design, Object: IGAKI Masashi
音楽・音響:鈴木 悦久
Music, Sound design: SUZUKI Yoshihisa
ピアノ:山田 亮
Piano: YAMADA Ryo
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出演:髙木 理恵, てらにし あい
Cast: TAKAGI Rie, TERANISHI Ai
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照明デザイン・オペレーション:福井 孝子
映像システム・オペレーション:中上 淳二
配信・音響技術・オペレーション:土井 新二朗
衣装:小林 駿太朗
Lighting design and operation: FUKUI Takako
Video system and operation: NAKAUE Junji
Live streaming, sound technique and operation: DOI Shinjiro
Costume: KOBAYASHI Shuntaro
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制作:アトリエクーゲル
制作協力:(同)尾崎商店, 渡邉 裕史
広報デザイン:則武 輝彦
協力:名古屋学芸大学
Production management: atelier Kugel
Associated production management: Ozaki Shouten LLC, WATANABE Hiroshi
Graphic design: NORITAKE Teruhiko
With the Support of Nagoya University of Arts and Sciences
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◉ 公演後、ゲストを招いてのアフタートークを予定しています。
After the performance, there will be an after-talk session with guests.
ゲスト(予定):
10日[金]18:30|前田 真二郎(映像作家 / 情報科学芸術大学院大学[IAMAS] 教授)
11日[土]14:00|加須屋 明子(美学・芸術学 / 京都市立芸術大学 教授)
11日[土]18:30|わかぎ ゑふ(演出家 / 劇作家 / 玉造小劇店主宰)
12日[日]14:00|秋庭 史典(美学 / 名古屋大学大学院 情報学研究科 准教授)
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◉問い合わせ先 / Contact
アトリエクーゲル/ atelier Kugel
E-mail:ask@a-kugel.net
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主催:京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会) / 伏木 啓
Co-program カテゴリーD「KACセレクション」採択企画
Organizer: Kyoto Art Center (Kyoto Arts and Culture Foundation) / FUSHIKI Kei
Selected project of Kyoto Art Center Co-program Category D “KAC selection”
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