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ドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪(シーズン1)』所感(ネタバレなし)
冥王サウロンの勃興を描く
ドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪(シーズン1)』を見た。
実は2022年10月に一度見たんだけど、少し前にシーズン2が配信されたので、改めて復習した形だ。
本作で描かれるのは『ロード・オブ・ザ・リング』の暦で第二紀。いわゆる“指輪戦争”を描いた本編は第三紀の3018〜19年なので、そこから優に3000年以上前の物語である。
この世界の時系列を簡単に説明すると、第一紀で冥王モルゴスが倒され、第二紀はこれを引き継いだ“二代目”の冥王サウロンが勃興する時代だ。
したがって、雰囲気は決して明るくない。数千年ものあいだ目撃されていなかったオークが姿を現し、人間の住む南方国やエルフの都市リンドンでは不吉な出来事が次々と起こる。シーズン1では、それに対抗するために“力の指輪”が作られ始めるまでの過程が描かれる。
サウロンとヴォルデモートの共通点
ちなみに、サウロンが“一旦”倒されて第三紀が始まるんだけど、彼が己の魂を宿した例の“一つの指輪”が葬られなかったため、サウロンは肉体を失った状態ながらまだ生きていた。
その後、本編で描かれたように、フロド・バギンズが“一つの指輪”を葬ってサウロンを完全に消滅させたことで、第四紀が訪れる。
余談だけど、サウロンが一時的には延命できた流れって、『ハリー・ポッター』シリーズで闇の帝王ヴォルデモートが何とか生き延びられたのと似ているね。彼も跳ね返ってきた死の呪文で肉体を失うけど、魂を分霊箱に保管していたことで復活を遂げる。
作者のJ・K・ローリングさんは当然、ファンタジー作家として“大先輩”であるJ・R・R・トールキンの『指輪物語』を読んでいただろうから、ここから着想を得たのかもしれない。
ガラドリエルとエルロンドが活躍
さて、本作の主人公はエルフの王族に生まれたガラドリエルだ。彼女は『ロード・オブ・ザ・リング』本編にも登場したけど、今回はそのときの印象とはまるで異なる。
本編ではケイト・ブランシェットさんが演じていて、基本的には静謐なたたずまいだった一方、今作では誰がどう見ても武闘派。剣を手に馬を駆り、兄の仇であるサウロンを執拗に追い続ける情熱的な人物として描かれている。
エルフほどの長寿を持つ種族でも、3000年もの歳月を経れば自然と丸くなるものなのかな。もっとも、彼女は第一紀の生まれだから、第二紀終盤の時点でもすでに数千年は生きていたはずなんだけどね笑
主要人物として登場するエルロンドも、本編では思慮深い裂け谷の領主となっているけど、今作では賢者の片鱗を見せつつ、まだ若々しさを残している。
いずれにせよ、こうした『ロード・オブ・ザ・リング』本編でもお馴染みのキャラクターが出てくることで、本編しか観たことのない人でも親しみを持ちやすい作品になっていると思う。
3000年後の本編に繋がる要素が満載
『ロード・オブ・ザ・リング』本編と同じ世界線なので、3000年後に通じる人物、場所、逸話などが散りばめられているのも本作の魅力だ。
人物で言えば、本編の最後に人間の王となるアラゴルンの祖先、エレンディルとイシルドゥアは重要な立ち位置で登場する。また場所としては、サウロンの復権とともにモルドールが建国される様子が描かれている。滅びの山オロドルインが火を噴く場面はなかなか感慨深いものがあった。最終的にフロド・バギンズが“一つの指輪”を葬るのは、まさにここだからね。
そしてもちろん、本作のタイトルでもある“力の指輪”がいかにして作られたのか、背景から鍛造の様子まで描かれる。
ネタバレになるので詳しくは書かないけど、エルフたちが“力の指輪”を作るにあたって使われるいくつかの物質がある。それが彼らのもとにもたらされる過程は運命としか言いようがなく、僕は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのそうした部分に強く惹かれる。
別の作品になるけど、『スター・ウォーズ』では“選ばれし者”だったはずのアナキン・スカイウォーカーが闇に落ちてダース・ベイダーになるじゃない?でも、最後の最後で彼が皇帝を倒して、やはり“選ばれし者”だったことが証明される。今やベタかもしれないけど、ああいう運命的な展開が結構好きなんだよね。
ああ、これからシーズン2を見るのが楽しみだ!