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僕が川崎フロンターレの“シーチケ”を買わない理由
前回の記事「川崎フロンターレ開幕戦、現地観戦決定」に関連し、表題の件について追記したい。
金額的にはお得な“シーチケ”
前回も書いた通り、川崎フロンターレには(というかおそらくどのクラブにも)「シーズンチケット(略して“シーチケ”)」というものがある。1年を通じてホームスタジアムで行われる全19試合を観にいける“年間パスポート”みたいなものだ。
メリットは色々とある。まず、こうした“まとめ買い”の商品にはよく見られることだけど、1枚単位で購入するよりも価格が圧倒的に安い。席種や各試合の人気度によるものの、おそらく25〜30%くらいは安くなると推察される。
もし予定が入って試合を観に行けなくなっても大丈夫。チケットをリセールに出すことができる。1枚あたりの購入単価以下の金額にはなるが、そもそも“シーチケ”は初期単価が安いので売れやすいことが予想され、事実上“キャッシュバック”される可能性が高い。
この原理だと、とりあえず“シーチケ”を買っておいて、行かない試合の分は購入単価でリセールに出せば、元が取れるどころか、基本的にはお得ということになる。
さらに“シーチケ”の会員には、先行入場権、リーグ戦以外の試合におけるチケットの先行販売権、限定グッズなど、様々な特典がついてくる。
クラブ側が決めた座席で1年間固定
こう聞くと、“シーチケ”は良いことづくめのように思えるが、実は一つ大きな落とし穴がある。
川崎フロンターレの場合、“シーチケ”の購入時にサポーターが選べるのはエリアのみ。具体的な座席はクラブ側が決定し、1年間は必ずそこで観なければならないのだ。たとえその席が自分にとって気に入らなくても、変更することはできない。
逆に言えば、「川崎フロンターレの試合を生で観戦できれば、席にはこだわらない」という人は、「毎回自身の手で座席を決める手間が省けて便利」という見方もできる。
毎試合“輩”と隣席になるリスク
ただ僕の場合、いくら単価が安くても、自分の気に入らない席に当たってしまったときのリスクを考えると、“シーチケ”を買う選択肢はない。
ピッチからの距離が遠いとか、角度的に選手の動きが見えにくいとか、そういう可能性があるのももちろん嫌だよ。でも、僕が一番困るのは、隣の席が“ガラの悪い”シーチケ会員だった場合だ。
誤解のないように言っておくと、ひいき目なしに、川崎フロンターレのサポーターは大部分が「和やかな方」との印象を受ける。ただ、試合に行くと何人かは罵詈雑言を吐く人間がいるのも事実だ。
僕がよく取る席の近くにも、シーチケ会員と思われる50代くらいの男性がいるんだけど、とにかく何にでも大声で文句を言う。そういう“輩”が1年を通して毎回隣の席になるリスクがあると思うと、怖くて“シーチケ”は買えない。
罵詈雑言ではなく声援を
ちなみに、これは川崎フロンターレ限定かもしれないけど、往々にしてそういう“ガラの悪い”人は、選手のミスよりも、審判のジャッジに対して怒っていることが多い。
もちろん審判も人間なので、間違うことはあるんだけど、明らかにこちらの選手がファールをした場合だろうと、とにかく川崎フロンターレの不利に働いたジャッジには声を荒らげるプログラムが彼らには組み込まれているらしい。
おそらくみんな、根は悪い人ではないんだろう。川崎フロンターレへの愛が強すぎて、勝利への執念をむき出しにするあまり、選手への不利なジャッジを目の当たりにすると、自分が攻撃されているように感じるのかもしれない。
でも、それで審判に「帰れ!」だの「目ぇ腐ってんのか!」だの罵声を浴びせるのは間違っていると思うし、同じサポーターとして恥ずかしいよ。
彼らはまるで国粋主義者だ。ほかの国にもそれぞれ独自の歴史や文化や価値観があることを理解しようとせず、自国の立場だけを断固主張しているようなもので、偏狭なことこの上ない。
もちろん試合に負ければ悔しいし、「疑惑の判定」みたいなジャッジもときどきあるけど、基本的にはフェアに戦っているんだからね。審判に罵詈雑言を浴びせる力があったら、それを一生懸命戦っている選手たちへの声援に振り向けてほしい。