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歩いて帰ろう

昨夜、久々に終電を逃した。参加した新年会が楽しすぎた。

適当なホテルに泊まる、24時間営業の店で読書や執筆をする、タクシーで帰る――いくつか選択肢があるけど、こんなとき僕は歩いて帰ることにしている。

僕は1人のときはいつも時速6.5kmくらいで歩いているので、例えば道のりが20kmあっても3時間程度で辿り着ける。酔い覚ましにもなるし、日頃の運動不足を解消する良い機会だ。おまけに、一銭もかからずに済む。

先天性の心疾患があり、スポーツを禁じられて育ったため、僕は運動神経が悪い。特に球技は絶望的に下手クソである。

そんな僕でも唯一できた“運動”は、ただひたすら歩くことであった。それならば心拍数もさほど上がらないし、足を運んだだけ前に進む。疲れたら休めばよく、それで誰かに迷惑がかかることもない。いつかは必ず目的地に辿り着ける。だから、昔から歩くのは好きだった。

歩いていると、くだらないことを色々と考える。「この暗くて狭い路地、幕末の京都なら格好の天誅スポットだな」とか、「やけに鳥の糞が多く落ちているこのあたりの電線は、鳩たちの集会場なんだろう」とか、「旧東海道沿いにあるこの老舗旅館、もしかしたら松尾芭蕉も泊まってたりして」とか…笑

でも、そういう“妄想”が創作の原点だったりするんだよね。想像を膨らませながら過ごす数時間の“旅路”は、たぶん効率よくタクシーや翌日の始発で帰るよりも充実していると思う。

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