【詩】暴食(大罪詩篇⑥)
飢えを耐え忍び
砲火をくぐり抜け
精神科の隔離病棟で
バナナフィッシュに
うってつけの日を読み
それなりのPTSDを
患ったこともあったが
文学サロンの会食で1度
ステーキを品評したのが間違いで
やがて自分の食ったものが
美味いか不味いかそれだけしか
判別できない老兵と成り果てた
生き抜いたということは
命を食い尽くしたということだ
軽く見積もったということだ
いつか全てを返済しなければ
命を命として認識しなければ
明日の作戦の前に肉を食えば
漸く高潔を食って生きたと
死後に胸を張れるかも知れない
2023年のこの世界に
響き渡り止まない銃声は
病んだシーモアが撃鉄を起こした
リゾートビーチの様相で
兎角バナナフィッシュに
うってつけの戦場だ