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【詩】ライ麦畑の墓守

そのライ麦畑は
地平線の彼方まで

深い谷に至る
崖っぷちまで

過去の子供たちで
埋め尽くされている

新参者の為の
スペースは無い

だから光合成の
方法論は成熟した

新しい子供たちが
初めから大人として
太陽光の手管てくだを心得る

積み重なる技巧の継承
迷いも誤魔化しもない
最先端の実りの豊潤ほうじゅん

それでわたしは大人として
ライ麦畑の崖下へ行って

失われた幼稚さの為に
一日中墓穴はかあなを掘っているが

そういう立場を標榜ひょうぼうすることは
あまりにも幼稚ではばかられた

それで詩を書いている
そう言って誤魔化している

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