詩:『真理』(再掲)
女性に生まれて
美しく育つ
男、男、男、男、
単細胞の種馬ども
わたしはわたしの女性性の
深海に一人堕ちて行く
先輩はノーマルノンケ
わたしは危ノーマル
「おまえの病気を治してやる」
「男の良さを教えてやる」
わたしの先輩を見るな
わたしの先輩を誘惑するな
抱いた先輩の話をわたしにするな
抱いた先輩に飽きてゴミのように捨てるな
少年漫画は戦闘系か
それでなければエロ系か
少女漫画は恋愛系か
それでなければ変身願望か
戦闘のジェンダーフリーは
プリキュアシリーズで勉強してね
エロと恋愛の浄化方法は
セーラームーンで研究してね
古い女性性の悪夢は
古い男性性が演出した
古い男性性の矜持は
古い女性性が搾取した
ジェンダーの地獄に未だ
わたしたちは生きている
わたしのおばあちゃんは
15のわたしを見て言った
「あんたは美人過ぎるから
長くは生きられないねぇ」
おばあちゃんの遺言の
今なお唯一の真理だ
先輩だけがそれを
覆すことができる
表現上の必要性から性的マイノリティをアブノーマル、
または、病気、と記述した箇所がありますが、作者自身の
性的マイノリティの捉え方ではありません。本作品はむしろ
そういう捉え方を否定する詩であることを御理解下さい。