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刀篤(かたなあつし)
2023年10月27日 20:25
この先に宝物庫があると信じているのかそれとも出口を探しているのか遠く鉄を引き摺る音重い足音今、想像しただろうこの狂った建築物内の怪物についての神話斧の鈍い光頭部は牛のもの人生という迷宮の要所要所で容赦なく眼前に立ち塞がる咆哮今、恐怖しただろう背筋に寒いものが走っただろう
2023年10月21日 11:29
夜空に震えるように瞬く初冬の星々零れ落ちそうなそのひとつひとつはそれぞれ世界の一要素を司る球体は最も安定した状態である球体は押し並べて生命である球体は始点と終点の無い円環である天上の球体はさもあらん私たちの足元もさもあらんそれらを構成する粒子もさもあらん冬支度を済ませた月の輪熊の暗喩それをスコープ銃で狙い定める眼球そして爆ぜた火薬に押し出される鉄砲玉押し並べて陽子で
2023年10月20日 19:08
俺は高架下に住処を置き山羊を待つ終わりを運んでくる三匹の悪魔の使いを俯きがちな辺境出の成り上がり連中は都市の座敷で泥と契約し月齢を数えず速やかにその汚泥に腿まで取られ前後に身動きすることも儘ならず生の儘が最も軽やかだったのだ積み重なる小賢しさに神話が崩壊するかつてヨーツンヘイムに住処を置きトール神と互角に渡り合った巨人たち俺は橋脚に宿命を置きその時を待つ青空に激流し
2023年10月13日 19:56
科学者は事実を述べた宇宙よりも海のほうが分からないことが多いいつの間にか暗雲が月を奪っている大型漁船に備え付けのサーチライトが闇夜の霧雨を切り裂き海面を舐めて時化る海原に不意が奇態を呈した船の遥か前方に漆黒だった島がいつの間にか遥か後方に座しており操舵手は回頭していないと言ったそして波間には跡形もなくなった直径1マイル半程の島が一瞬にだわたしは未知に怒りを感じる未知
2023年10月6日 20:09
その悲鳴の主を見た者は居ない聞いた直後に死が訪れるから死ぬ者にしか聞こえないから宣告だロミオの親友マキューシオロミオの仇敵ティボルトロミオの恋人ジュリエットロミオそういった文学上の英雄は不穏の女の悲鳴を耳にして命を散らして幕間に逝った女だその女のバックボーンは不明だ然し恐らく何らかの不吉な要素と絶望的な切実さを感じる悲鳴だ脚が震える恐ろしいが根源的な
2023年10月2日 18:18
私たちの本質が空から降ってきて私たちの表層を冷たく撫でたあとアスファルトに染み込んでゆく雨の一滴一滴と同じく私たちは世界を構成する孤独な飛翔体で世界中で表層的に嵐を形成し死んでゆく陽光の本質が空から抜け落ちてあなたの震えに到達したあとアスファルトに反射して輝いたプロミネンスと同等の波長は私たちを抹殺する刃の一閃で私たちは本質的な難題に相対し生きていた元々此処