マガジンのカバー画像

暁に薮を睨む

213
刀篤(かたなあつし)の厳選した詩集です。
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

【詩】安心してください

【詩】安心してください

人が獣らしくある所以の
最も気高い要素の概念です

恥じらいに反応する輩は
潜在的に差別主義者です

天下の公道に至っては
プライバシーなど有りません

死守すべきものは矜恃と
暗証番号くらいのものです

安心してください
わたしは誇らしいのです

この街では皆がピンと背筋を伸ばし
気侭に着飾り行き交っています

【詩】ジェンダーレス・エレベーション

【詩】ジェンダーレス・エレベーション

茄子を浅漬けにし
わたしは作る人で
あなたは食べる人
衣食住さえ役割分担で
確保できればそれで
大抵の人は生きるに
足る筈だったものが
食べる人の膿む奇怪な腹
食料運搬に上下嚥下する
人類史のエレベーターは
性差別的重量オーバーで
わたしたちは茄子の浅漬けに
物理を適用して多角的に検討した
作る人食べる人の本質を検討した
結果解答を高みに押し上げたのだ
産む機械とか言っていた
否定すべき機械言説で

もっとみる
【詩】脅し(※病み注意)

【詩】脅し(※病み注意)

人が生み出した言葉の中で
史上最悪の脅し文句を前に
今の私は一歩も踏み出せず
【自○した者は地獄行き】
モラトリアムに憑依されて
脆弱さしか持たない精神が
強靭さに憧れたばっかりに

【詩】納得がゆかない

【詩】納得がゆかない

戦場のような職場からの
帰路の夏雨に思い至った
幸か不幸かわたしには
此の世界において納得が
ゆかないものなど無いのだ

其れは此のマルチバースの
時間の概念外にある"記憶"
全ての原子に刻まれている
生成生命の遺伝子の"因果律"
そういった類を踏まえていて

畢竟

美しすぎる悪魔よ
類まれなるあなたの
夏雨のような包容力に
ちょっとだけわたしは
魅入られているのだ

畢竟

わたしを軽んずる輩

もっとみる
【詩】瞬間

【詩】瞬間

視線と視線を艶めかしく絡め合わせ
わたしたちは互いの情動を確信した
どうしてこれが永遠でないの?