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第4章 旅の始まりの話。

前回の章まで、僕たち旅部がキューバに行く前の話を綴らせてもらった。
今回は、日本を出発する。

成田発メキシコ・シティ着の飛行機に乗り込み僕たちの旅は始まった。

メキシコまでは12時間、僕たちは緊張からか飛行機でほとんど会話をしなかった。それぞれで時間を潰した。僕は、あらかじめNetflixでダウンロードした映画を見ては、飛行機がどこを飛んでいるか確認しながら時間を潰した。流石に12時間も映画を見続けるのはしんどいので眠りに着こうとイヤホンを外し、目を瞑った。すると、どこからか鼻水を啜る音がしてきた。最初は、無視していたが気になって眠ることができず辺りを見回した。犯人は、ナガサクだった。欅坂のライブ映像を見ながら泣いている。僕は、声を掛けずにイヤホンをして眠りについた。こんな描写は、いらないかもしれない。けど、「アイドルの映像を見て泣いて鼻水を啜った音」「暗い機内でポータブルDVDプレイヤーの光に照らされた泣きっ面」思い出しただけでも反吐が出るし、この時は、睡眠も妨げられ内心はらわたが煮えくり返っていた。だから、第三者にこの感情を知ってもらうせめてもの思いで綴らせてもらった。

メキシコに着陸する2時間前、メキシコへの入国カードが配られた。入国カードは、全て英語表記。僕は、英語は全く分からないし、ナガサクもよっちも学校で学んだ程度の英語力だった。Google翻訳を使いながらそれなりに書き込んだが、書き込みミスがあり入国審査場で止められたらどうしようと、不安が募った。
メキシコへ着陸し、いよいよ入国審査場で僕の番が来た。なるべく怪しまれないように笑顔を作り拙いスペイン語で「Hola」と挨拶し入国審査官に挑む。しかし僕の不安とは裏腹に、それなりにいや、適当に書いた入国カードには、目もくれなかった。パスポートと僕の顔を何回か見比べて「Transit?」の一言だけ質問され、僕は「Yes!」と答えパスポートを返され進むように促された。不安から解放された僕は、入国管理官に向かって自身ありげに「Gracias」と言い放ちメキシコへと入国した。だけど不安から解放されたのはその一瞬だけだった。

これからここでトランジットのため6時間過ごす。異国の地で観光もせず飛行機が来るまで空港で。不安でしかない。取り敢えずお腹が空いたので飲み物とご飯が買うため辺りを見渡す。お店は、いっぱいある。しかし、見たことも聞いたこともない店では買う勇気なんてない。そんな中、見たことも聞いたこともある店を見つけた。「Starbucks Coffee」と「Subway」2軒並んでいる。よりにもよって「スタバ」と「サブウェイ」、無理に決まっている。日本で注文するのも気が引けるのに、メキシコで、いや「Mexico」で注文できるわけがない。
ただ、僕たちは、また不安から解放されることになった。「Starbucks Coffee」と
「Subway」の奥に、見たことも聞いたこともある「スタバ」と「サブウェイ」よりイージーな店を見つけた。
「セブンイレブン」だ。
僕たちには、あの「7」が日本で見るより赤々しく眩しく見えた。セブンで僕たちは各々ご飯を(僕は、オレンジジュースとサンドウィッチと日本のホットスナックコーナー的な感じでセルフで取るドーナツ)買った。馴染みのあるセブンだが、やっぱり外国の味がする。日本のも美味しいが、こっちも悪くないと思いつつ早々に食べ終えたが、時間はそう簡単には過ぎない。日本を出発し「不安になっては、解消され」が繰り返される旅。僕たちは、まだキューバにいない。やっとの思いで日本を出たが、まだメキシコだ。

僕たちの本当の旅は、6時間のトランジットから始まった。

多分つづく

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