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逢えない時の過ごし方


彼と過ごした後は
しばらくぼんやりしてしまう。


余韻が消えてくれない。


彼の不在に
自分が慣れるのに
少し時間がかかる。

恋しいな、と思う。



でも、彼は
別れたその瞬間から
自分の時間に
戻っていくタイプ。

そうやって
自分を整えていくのが
とても巧い。


いや、
そうしないと
自分を保てなかった過去が
彼をそうさせたんだろうなと
今は、思う。



彼から与えられた悦びを
反芻しながら
時をやり過ごし
そんな自分を嘲笑ったりもした。

情けない、と。



わたしにはわたしの生活があって
家族がいる。
やることはたくさんある。

こんなことに
うつつを抜かしている暇はないのだ。


そうやって
自分に鞭打っている間は
しんどかった。



でも、ふと気付いたのだ。

わたしはわたしに
「快」の感覚を与える方法を
全然知らないということに。


彼が
すぐに自分の時間に戻っていけるのは
自分にとっての「快」を
よく知っているからなのだ。


女性と一緒にいようがいまいが
彼は
自分を気持ちよく、できる。


だから、
ひとりに執着したりしない。



それに気付いたら
わたしはわたしに
とっても申し訳なくなった。


わたしを満足させること、
おろそかにしててごめんね、と。



だから、今は
ひとりの時間には
自分を悦ばせることに
なるべく集中する。

そうしていると、
家族との時間も
やわらかくあたたかくなっていくから
不思議。


わたしは、
わたしひとりでも
しあわせになれるんだと
自信が湧く。




そうすると、
彼に逢えない数ヶ月も
意外とすぐだったりする。


もちろん、ずっと
彼の体温が恋しくはあるのだけど。




灯寧(あかね)

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