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助成金の申請書を出す前に:自己レビューのチェックポイント

前回のnoteからずいぶん時間が空いてしまいました!先日、来年のFRJの案内が届いて、途中で止まってしまったnoteを再開しなければと思い、ようやく手を付けています。

ソーシャルセクターでは、この時期は秋の助成金シーズンですね。私も今年度は、いくつか助成金やアワードの申請書を書かせてもらっています。

申請書の提出前に自己レビューを行うにあたり、過去に参加した助成金関連のセミナーや研修の資料を振り返りました。
今回は、その中から「これは大事だな」と改めて感じたことや、申請書を提出する前の自分なりのチェックリストとして、まとめを残しておこうと思います。

助成金の申請書を書くにあたっての3つの視点

2021年、日本ファンドレイジング協会主催のファンドレイジングスクールに6期生として参加していました。
まずはその時の、山田泰久さん(日本非営利組織評価センター)の講義のメモから📝

当時の自分の講義メモを見返してみて「大事だな」と思ったのが、以下の「助成金申請書を書く際に必要な3つの視点」です。

  • 事業担当者の視点: より良い事業を目指す

  • 助成財団の担当者の視点: より良い社会をつくる

  • ファンドレイザーの視点: 効果的な資金活用を伝える

この3つの視点を持ちながら、「この事業に投資してもらうことで、どのように社会がより良くなるのか」を俯瞰的に評価し、言語化して申請書に落とし込むことが重要なんだろうなと思います。

外部の視点を持つことの難しさ

とはいえ、この「俯瞰的」がなかなか難しいなーとも感じています。

本業では、組織に外側から関わるクライアントワークが中心なので、「外から見た視点」が当たり前でした。
一方、プロボノとして「団体内」で事業に関わっていると、事業内容やその背景にある物事が当たり前になってしまい、結果として外部の人に伝わりにくい説明になりがちです。
「前提が共有された世界」で活動しているうちに、それは「自分たちの前提」であって、「世間一般に共有されている前提ではない」という視点が抜けてしまうのですよね💦

そんな中で、例えば申請書の「事業内容」「背景や意義」を短い文字数で簡潔に説明しなければならない時、どこまでを伝えるべきかという「説明のレベル感」のジレンマに陥ります。
ぜひ良い解決方法があれば教えてください🙏

とりあえず暫定的に、今回やってみたことや思いついたことを挙げておきます。

1. 第三者のフィードバックを活用する

例えばうちの団体の場合だと、まだ活動にジョインして間もないメンバーに意見をもらう、などでしょうか。
事業に詳しくない人に読んでもらい、「どの部分がわかりにくいか」を教えてもらうことで、説明の明確化や言葉選びの改善につながります。

2. AIを活用して説明の粒度を調整

どこまでを伝えるべきかという「説明のレベル感」で迷走した項目をAIにも書いてもらい、自分の文章とAIの文章の説明の粒度を比較して、文章を調整しました。

私の場合、最初からAIさんに書いてもらうと、断片的な自分の思考がかき消されてしまうことがあるので、自分の思考のどの段階をAIさんにフォローしてもらうと効率が良いか、試行錯誤中です。

実際の申請書へのフィードバック

ファンドレイジングスクールでは、実際に助成金申請書を書く宿題がありました。
以下、私が宿題として書いた申請書の一部です。

[申請事業名]
高等学校のキャリア教育の理解促進のための教員研修およびキャリア教育への外部人材活用のためのつながり構築事業  

[事業概要]
未来を見通しにくいwith/afterコロナの時代を生きる子どもたちにとって、将来の生き方を自ら考え選択する力をはぐくむ「キャリア教育」が、これまで以上に必要とされている。しかし現場の教員には十分な時間的余裕があるとはいいがたい。
当事業では、高等学校の教員にキャリア教育の理解を深める研修を実施すると共に、学校現場の外部プロフェッショナル人材の活用を促進し、学校現場の負荷を抑えつつキャリア教育の充実を図る。

この他、「申請事業の背景・必要性及び目的」や「申請事業の具体的内容」などが続きます。

この宿題に対する講師の先生からのコメントを改めて見返すと、今後、申請書を書く時に生かせる素晴らしいフィードバックだったので、以下、いただいたコメントを、自分なりの「チェックポイント」に変換して残しておこうと思います。

フィードバックの詳細は割愛しますが、「事業のテーマや対象者が明確で、背景や課題がわかりやすくまとめられている」一方、「事業の“成果物”をもう少し具体的に記述し、その後の発展の道筋を見せることが重要」というご指摘でした。

自己レビューのためのチェックリスト

  1. 事業名で、テーマと対象者がイメージできるか   

  2. 事業の受益者や現場の現状がわかるか

  3. 定性目標と定量目標が適切に設定されているか 

  4. 助成事業の「成果物」が具体的に記述されているか

  5. その成果物が、団体や事業が発展していく上で次のステップに進む資産となるか

  6. 助成金終了後の発展と継続の道筋が見えるか

自団体でよく話し合う

FRJ2024の山田さんのオンデマンドセッションでは、ファンドレイザーとしての心得の1つ目に「助成金申請をする前に団体内でしっかり議論を行う。」という一行がありました。

誰かが勝手に書いて出した申請書は、たとえ採択になったとしても、団体内で事業を推進する際、組織をうまく巻き込むことができないと想像します。

申請書の「作文」に追われて、組織の中での対話をおろそかにしてはいけないなーと、自戒とリマインドのために書き残して、今回のnoteは一旦終えます🫡

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