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寺山修司、ももいろクローバーZを論じる

もし寺山修司が今も生きていてアイドルグループをプロデュースしたら? 通称「もしテラ」、小説「TRY48」を文芸誌「新潮」に連載しております。第1〜3章まで、こちらのサイトで全文無料公開されてます。ぜひ、ご一読を!


https://www.shinchosha.co.jp/shincho/special/try48/

さて、「新潮」3月号に掲載の第4章のタイトルは…<寺山修司、ももいろクローバーZを論じる>。えっ? えっ? となった方もいるかと思います。寺山とももクロ…時代も違えば、ジャンルも趣向も異なるような。ま、これが異化効果ってやつ? 第3章までは、ビギナー向け<寺山修司>おさらい編みたいな感じ。で、第4章では、いよいよ現代に生きる80代半ばの老・寺山修司が登場します。<寺山修司、アイドルを語る>と題して、カルチャーサイトのインタビュー記事の体裁で寺山がアイドルを語りまくり、ももクロを論じるという次第。
この寺山のアイドル論をひどく感心してくれる方がいて「中森さん、どうやって書いてるんですか?」と訊かれました。実は、私の場合、寺山のモノマネから始めたんですよ。寺山のモノマネといえば、タモリが有名。いかにも寺山が言いそうなことを言う、声帯模写ならぬ思想模写だ、と。タモリの前に三上寛がいた。三上は青森出身で寺山と親交もあった。ナマリや声、その思想の模写もタモリとは比較にならないほど、すごい(…と「TRY48」の天才少女・サブコちゃんも言っております)。で、私も寺山修司の講演の音源記録を聴きこんで、徹底練習、親しい方々の前でしょっちゅう「あ、ども、寺山すうずデシ…」とかやってました。寺山の本を読みまくって、イタコ的に脳内に寺山の魂を憑依させて書いてる感じです。実際、寺山の発言部分は声に出して書いてます。結果、えっ、寺山ってももいろクローバーZのファン…モノノフだったのか⁉︎ へぇ、ももクロをこう論じるんだ、さっすがぁ! と書いてる私自身が感心してる始末です(あ、もしかどっかであなたとお会いして「中森さん、寺山修司のモノマネを一つ」とリクエストされたら、披露するかもしれません笑笑)。
「TRY48」はアイドル志望の女子高生・ユリコと彼女をサポートする天才少女・サブコのペアで物語が進行してます。こちら絵師ホリーニョが描いてくれた二人のイラスト。

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赤縁メガネをかけチビで丸っこい女の子がサブコ。手を引っ張られてるのがユリコです。で、このサブコ推しを表明される方が北海道新聞のO記者はじめけっこう多いんですよ。「けど、あんな天才少女、現実にはいませんよね」と言われるんですが、「いや、いたじゃない、ほら、左川ちか…とか」と応えると、へっ、左川ちか? と首をひねられます。
ぜひ、皆さん、ググッでみてください。
こんな人です。

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生誕111年、24歳で亡くなった天才文学少女ですね。

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そう、メガネ女子の風貌は、明らかにサブコちゃんのモデルの一人です…と、ツイッターでカミングアウトしたら、思わぬ反応がありました。今春、刊行予定の左川ちか全集を編集されている島田龍先生!

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これは、うれしいリプライでした。ちなみに島田先生もサブコ推しだそうです!

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私が左川ちかの存在を把握したのは、富岡多恵子『さまざまなうた/詩人と詩』の一章「詩人の誕生」によって。1978年「文學界」掲載、18歳の時でした。引用されている詩を読んで、シビれましたね。ちなみに白石かずこ著『青春のハイエナたちへの手紙』(1970年刊…すごい本です!)では「左川ちかの薔薇色した刃物みたいな詩のコトバにふれ、ぞっとした」と評されています。

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いや〜、こんな人がいたんですね! 皆さん、左川ちか全集に要注目を‼︎
この辺は「TRY48」の終盤でサブコが何か語ってくれるような気もします。
私はコラム等の短文では、どういうことを書くか事前に明確に意識しています。が、小説は違いますね。もちろん、だいたいは考えてるんですよ。だけど、自分で思ってるようにはならず、えっ? えっ! そうなっちゃうの〜⁉︎ とあせることもしばしば。そういや大江健三郎と深沢七郎が対談していて、両者は小説を書くことについてこう語っています。
大江「暗闇の中へ投石するのと同じ。どこへ落ちたのかも、落ちた音もわからない」
深沢「パチンコみたいなもの。自分の思いどおりにならない」
なるほどな〜と思います。大先輩の巨匠作家の方々でさえ、そうなんだ。なんせ小説は…ことに長編小説ってのは、著者が全部細部まで事前に把握してわかってしまっていては、つまらない、書くモチベーションが上がりませんよ。
作家ってのは「わかってることを書く」んじゃない、「書くことによってわかる」人種なんだと思います。
で、「TRY48」の第4章を書いていて、終盤にそれは起こりました。ユリコとサブコの関係性を劇的に転換する事件が勃発したんです。著者の私自身、それを書くまでまったく予想していない事態でした。えーーーっ! そうなっちゃうんだ…と書きながら震えました。書き終えて、大泣きしましたよ。お恥ずかしい話。私はライター生活40年余りです。ずっと文章を書いて生きてきた。どんなセンチメンタルな文章を書いていても泣きません。すれっからしです。書きながら泣いたことなんて、めったにない。けれど、第4章の終盤部に至って、こんなことに…どうやらこの小説は私の意識を離れ、グググ〜っとスイッチが入ったような気がします。さて、これからこの物語は、どこへ行くのか? サブコとユリコはいったいどうなるんでしょう…。
ちなみにwebでの全文無料公開は第3章までです。「TRY48」、怒涛の第4章掲載の「新潮」3月号を読んでいただけたら、うれしいです😆👍

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