|Ⅱ|(20xx+0年)10月◆病室にて
ゾルピデムを投与する。
しばらくすると効果が現れ、病院のベッドに横たわる大橋霞がうっすらと意識を取り戻した。
『おはよう、せいじお兄ちゃん』
『おはよう、霞。起こすなら晴れの日を選びたかったけど、最近は天気が悪い日が続いているからさ。』
できれば、霞には、なるべく多くのお日様の光を見せてやりたいのだ。
『ううん。いいの。じゃあ、いつものお話。聞かせて?』
霞に聞かせるために読んだ少女漫画や小説の内容をかいつまんで話す。あと、大学での出来事や、藤四郎や葵さんとのやりとりも話す。
今日はやらないけれど、有名な画家の人生を、その画家の画を見せながら簡単に、面白おかしく話してやると、霞はとても喜ぶのだ。
兄妹の会話が始まって、約2時間。ゾルピデムの効果が切れ、再び霞の意識が混濁していく。
CDプレイヤーのスイッチを入れると、霞のお気に入りの曲が流れだす。
霞の意識が完全に失われるまで、霞の手を握り、そのぬくもりを感じていた。
覚醒している時間が徐々に長くなっている気がする。
このまま、もしこのまま、、、いずれ、霞がずっと起きていられるようになったら。
心の中で、何かがユラユラと揺れている感覚があったが、誠志は深く考えないようにした。
この物語はフィクションであり
実在の人物団体とは一切関係ありません
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