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"学会員"インタビュー①フブキさん
天海春香学会Vol.2出版記念企画として、「学会員」のみなさんへインタビューを行うシリーズ企画。
記念すべき第1回は、フブキさんへのインタビューをお届けいたします。
フブキ作『理想を瓶詰め』
— 天海春香学会 (@a_harukagakkai) December 7, 2020
あなたは、天海春香と出会って何年経ちますか。
様々な思い出を重ねてなお、彼女へ向き合い続けている方へ、このSSをご紹介いたします。 pic.twitter.com/92zDNyDb2y
文:スタントン
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春香というアイドル・女の子が抱えている孤独の意味を知りたくて
フブキ:
宜しくお願いします。
ーー宜しくお願いいたします。早速ですが、春香との出会いについてお伺いいたします。アイマスにはどのように触れ、春香Pにどうしてなられたのでしょうか。
フブキ:
アイマスには元々ニコマスから入りました。ごまえーとかとかちつくちてとかが騒がれてて、このゲーム?なんだろうと思ったのが最初だと思います。その内「黒春香」という存在を知って、当時アリプロが好きだったのもあってドハマりしたんですが、でも黒春香タグを回っている内に、「哀春香」タグの存在に気づいたんですよね。だいぶ雰囲気が違う動画があるけど、なんでだろうと思って。
フブキ:
その辺りからちゃんと「天海春香」って女の子のこと、アイドルマスターというゲームのことを調べ始めて、春香さんが持っているエンディングだけどうやら異質なものらしいということに気づいて、それで自分でもゲームを買ってプレイするようになりました。
ーー春香さんのエンディングの特殊性に気づかれてゲームを買われたそうですが、いわゆる無印やSPなどを買われたのでしょうか。それとも、別のゲームでしたでしょうか。
フブキ:
最初にプロデュースした天海春香さんはSP(パーフェクトサン)の春香さんですね。その前に手を出しやすかったのでDS(ディアリースターズ)もやりました。
そのあとくらいにアニメが始まって、PS3版の2をやって……という順番だった筈です。
ーー「アイマスの入口のアイドルと、担当アイドルとが別」という方もいらっしゃいます。様々な作品を経験してもなお、春香さんが担当アイドルのままで居続けたのはなぜでしょうか。
フブキ:
私も不思議です。vol.2にペペロンチーノさんが寄稿された『アニメ「THE IDOLM@STER」から考える天海春香と水瀬伊織の関係性』を読んでいて改めて思ったのですが、私の単純なキャラクターの好みだと、担当になっているのは伊織ちゃんだった筈なんですよね。基本的には誇り高いお嬢様・お姫様系のキャラクターが好きなので。アイマスの据え置き機プレイするときは、プロデュース開始する順番、自然と毎回早めですし。
ペペロンチーノ著『アニメ「THE IDOLM@STER」から考える天海春香と水瀬伊織の関係性』
— 天海春香学会 (@a_harukagakkai) December 5, 2020
天海春香と水瀬伊織の関係性について、アニメを対象に考察した論文です。
アカデミックな文体に混じる著者の本音にもぜひご注目ください。 pic.twitter.com/YzJYXPHnjq
フブキ:
でも春香さんはその従来の好みを飛び越えてしまったというか。ゲームの最初の結末はああいう形になり、アニメ終盤の展開も、私には春香さん一人で立ち直っているように見えて。本人はPが大好きで、仲間との和を重んじているのに、一番重要な場面で孤独になる、他者の存在ではなく自己との対話によって結論を出す。天海春香というアイドル・女の子が抱えている孤独の意味を知りたくて、それが変わらなかったから、ずっと追いかけている気がします。
瓶詰地獄
ーー今回、当学会へその春香さんの作品をご寄稿いただきました。ご参加に至った経緯はどのようなものでしたか。
フブキ:
vol.1を読んで熱量に圧倒されたからというのもありますが、その後のインタビュー企画で、表紙を担当されたななみんさんが「あなたにとって天海春香とは」という質問に一週間かけて出した答え「呪い」だったことにびっくりしたんです。
あと「この呪いが途切れないように、だれも忘れないで欲しいです」って言葉も。
フブキ:
それで、途切れない呪い、アイドルとP、密接な立場にいる二人の関係が呪いになる状況って考えたとき、夢野久作の『瓶詰地獄』がパッと頭に浮かびました。
それからアイドルとPの瓶詰地獄を書くとどうなるんだろうと考え始めて、今思い浮かんでるこの話を書けたらvol.2には参加出来るんじゃないかと思ったんです。
ーー作品についてお伺いいたします。SSのプロットはどのような過程で作られていったのでしょうか。
フブキ:
プロットあんまりちゃんと作らないタイプなのですが、「理想を瓶詰め」に関しては最後の春香さんのセリフとその後の締めのモノローグが最初に思い浮かんでいたので、そこだけ先に書きました。
そのあたりは異常というか非日常な、二人きりのシーンとして書きたかったので、後半を非日常とするなら、前半は日常の賑やかさを入れようと思って、打ち上げシーンにはアイドルいっぱい出しました。それがこの話の、ミリシタ時空にいる天海春香さんとPにとっての日常だなと思ったので。
あと書いていたのが2020年の夏で、ちょうど三周年記念イベントの「CHALLENGE FOR GLOW-RY D@YS!!!」真っ最中でした。ミリシタのこのイベントを始まりにしたのは、それがその時点での最新の天海春香だと思ったからです。後半で「太陽のジェラシー」の歌詞をなぞったのは、最古の天海春香の象徴として。
ーー登場人物の実在性がとても高く、没入感がありました。アイドルたちやプロデューサーを描く際に意識したことや気をつけたことはありますか。
フブキ:
元々二次創作は隙間産業として書くのが好きなので、コミュとコミュの隙間とか、イベントとイベントの隙間に起きていそうなことを想像して書いてます。
アニバーサリーのような大きなイベントのあとには大規模な打ち上げがあるだろうし、今までのコミュで描かれてきたリコッタでの桃子ちゃんと春香さんの家族のような関係や、千早ちゃんと静香ちゃんの先輩後輩関係がすでにあるので、打ち上げという開放感のあるシチュエーションでなら好きなだけイチャイチャさせても不思議ではない‼︎と思って書きました。
今回の創作女性Pに関しては、社長から39プロジェクトを任せられるほどの人物であることを意識していたので、女の子の集団を取りまとめる気配りが出来て、アイドルたちだけじゃなく、そのご家族や大人のスタッフたちとも上手くやっていけそうな人として書きました。大きなプロジェクトになればなるほど、円滑な人間関係の構築って大事なので……。
学会誌の他作品について
ーーつづいて、学会誌全体のお話をお伺いいたします。他の方の作品で、気になったものや面白かったものはありましたか。
フブキ:
イラストの部では、夏井わたさんの描かれた春香さんが、あれ?私の彼女だったっけ?と錯覚してしまうほどの威力がありました。本当に冬の日に隣で並んで歩いているような。VRかな?みたいな。
文章の部は、ななさんの『天海春香さんは普通の……』が印象深かったです。
「普通じゃないくらい普通。それって全然普通じゃない」とか、そうそう、それ~~!!ってなりながら読んでました。
すごく簡潔にスマートに、天海春香の普通がどういうことなのかを表現されていて本当にびっくりしました。
あと衣装についての話が好きなので、ユトリロPさんの『ミリシタにおける春香衣装 ~フェス限編~』も読んでて楽しかったです。エクラ・ド・フルール超いいよな!!って頷きながら読んでました。
次回作は
ーー次回のお話をお伺いいたします。もしVol.3に参加されるとしたら、どのような作品を作りたいですか。
フブキ:
天海春香学会は、劇中劇関係もアリでしょうか。近未来アウトサイダーのファイナルデイ様とバスターブレイドさんの関係がめっちゃ良かったので、いつか何かしらの形で昇華させたいなあとは思ってるんですけど、vol.3には間に合わない気がしています。
ーーありがとうございます。劇中劇はもちろんアリです。タイミングが合いましたらぜひ宜しくお願いいたします。
「憧れ」
ーーあなたにとって、天海春香とは。
フブキ:
この質問が来るの解っていたのに、いざ答えようとすると難しいですね!?
一言で表すのは本当に難しいんですけど、一番近いのは「憧れ」かなと思います。私が書いた天海春香さんではなく、公式が描写する天海春香さんを見てですが。
こういう女の子に、こういう人間になりたかったけど、なれなかったな~という思いが自分の中にはあるんだろうなと思っているので。
夢を真っ直ぐ追いかけてて、自分の感情に対して素直で、くじけても立ち上がって、それでいて周囲のこともちゃんと見えていて。
春香さんにとってはそれが普通のことでも、私にとっては出来ないことだったから、やっぱり春香さんは普通ではないよと思ってしまうので。
「憧れ」
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天海春香について、作品についてたくさんお伺いできました。長時間のインタビューに応えていただいたフブキさんに改めて感謝いたします。
フブキさんによる参加感想記事はこちらです。
天海春香学会Vol.2は1月3日現在完売となっております。
入荷・再販時にはTwitter(@a_harukagakkai)にてご連絡いたしますので、お待ちいただけますと幸いです。