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"学会員"インタビュー③匿名希望さん
天海春香学会Vol.2出版記念企画として、「学会員」のみなさんへインタビューを行うシリーズ企画。
第3回は、「(独白)」の執筆者の方へのインタビューをお届けいたします。
※作品と同様に、匿名という条件にてインタビューをさせていただきました。
【春香学会Vol.2作品紹介】
— 天海春香学会 (@a_harukagakkai) November 30, 2020
「(独白)」
匿名の文章です。
この独白には、一体どのようなものが込められているでしょうか。本誌にてぜひご覧ください。 pic.twitter.com/byyXFKM2bB
インタビュー:スタントン/そにっぴー
文:スタントン
———
のり子と貴音について
——宜しくお願いいたします。
匿名:
宜しくお願いします。
——※※さんがアイマスに触れたきっかけはなんですか。
匿名:
TRPGが元々好きなんですけれど、アイマスに触れたのは、友人にファンタジー関連の知識を貸してほしいと言われたことがきっかけです。その友人が(アイマスの)二次創作でファンタジー系をやりたがっていまして、ファンタジーの知識を提供するのと同時に、(そのキャラクターに)最も合う(ファンタジーの)ものは何か、ということになり、アニマスから見始めたんです。ミリオン6thが始まる前の11月なので……2018年の11月くらいのことでしたね。
——アニマスを見て好きになったキャラクターはいますか。
匿名:
アニマスは「春香と千早の物語」という印象が強くて、特定のアイドルが良かったというよりは、良い物語だなという感想しか抱きませんでした。
——アニマスを見終わった後に、他の作品へ手を出したのですか。
匿名:
実はアニマスを見る直前くらいにミリシタをダウンロードしまして、アニマスを見終わってから本格的にやり始めました。
——※※さんは福田のり子と四条貴音のプロデューサーですが、好きになったきっかけはなんですか。
匿名:
のり子に関しては、友人が閃光☆HANABI団のCDを積んでいて、ふとした拍子にそのCDをもらったのがきっかけです。特にのり子の怒るシーンがいいなと思いまして……。紗代子に対して、キツめに言うじゃないですか。ちゃんと真正面からぶつかって怒れるアイドルってあまり知らなかったので、そこが引っ掛かりでしたね。
匿名:
そのあとWE ARE ONE!!がリアルタイムで追加されたんですけれど、コミュで急に弱いところ見せてくるじゃないですか。「このアイドルがトップアイドルになるところを見てみたいな」と思ったのが担当になったきっかけです。
メインコミュ第37話『福田のり子センター公演、60分一本勝負!』を公開しました!
— ミリオンライブ! シアターデイズ【公式】 (@imasml_theater) March 27, 2019
第37話をプレイすると、福田のり子ちゃんが歌唱する楽曲『WE ARE ONE!!』をライブで選択できるようになりますよ♪#ミリシタ pic.twitter.com/TG8m6mwKe2
匿名:
貴音に関しては、ギャップっていったらチープな表現になってしまうんですが、あんな見た目で中身が幼女みたいなので、「トップアイドルにしたい」というよりは、「四条貴音を観察していたい」っていう感覚になりました。
普遍的なもの
——天海春香学会に参加しようと思ったきっかけはなんですか。
匿名:
Vol.1を購入しまして、それを読んだときに、「自分の言葉で語ってみたいな」と思ったことと、「自分の言葉で語ったものを読んでみたいな」と思ったことですね。Vol.1は奇をてらった作品が多い印象があったので、Vol.2では真正面から殴り掛かるような文章を自分で作ってみたかったんです。
——今回「(独白)」という作品でご参加いただいています。この作品で表現したかったことはありますか。
匿名:
みんなが天海春香について「良い」と考えている共通点があると思うんですね。それを書いてみたかったんです。普遍的に良いと思う部分を、しっかりと言葉に書き表したかったと思ったんです。
——※※さんは、文章を書く経験はおありなのですか。
匿名:
小説はないんですが、TRPGのシナリオを基本的には自分で作っていますので、脚本の勉強をするようにしています。基本的な……いわゆる「英雄の旅路」※というのもそうですし、前半何割で全体のことを語ってなければならない、とかそういった鉄則から外れないようにしていました。
(※英雄の旅路)
——この文章では、ネガティブな感じから始まって、春香をきっかけとして明るくなっていくストーリーが描かれています。その意図はなんですか。
匿名:
この文章の立ち位置をプロローグとして位置づけています。夢を見たこの後、それぞれの道を進んでいくという感じになるんです。根源ができる部分をこの作品で書いてみたかったんですね。
——文章の掲載順として後ろのほうになっていますが、ご自身としては、最初の方に置かれることを想定していたのでしょうか。
匿名:
最初か、もしくは最後のほうのどちらかになると考えていました。ゆきますくさんの作品(※『ゆめ』の続きの話をしよう)の次に置かれていたので「やられた!」と思いました。場所として、ここ以外にないんじゃないかなと思うくらいです。
——この作品に出てくる「わたし」には、何かモデルがあるのですか。
匿名:
むしろ、モデルというのを無くしています。特定できる誰か、というのを無くして、可能な限りありふれたイベントで——小学生くらいのときに誰でも印象に残っているキンモクセイの香りだったり、『部活、勉強、バイト、色恋』みたいな特定できないものだったりで——埋めています。性別も年齢も特定できない誰か、というのを意識しています。
——天海春香は「普通」や「平凡」と評されることが多い子で、この作品の「わたし」も、『凡庸たる~』という表現があるように普通の子です。しかし、春香の「普通」と、「わたし」の「普通」との間には絶対に超えられない壁があって、その間を「わたし」から春香への一方的な目線で繋いでいる構成が面白いと思いました。
匿名:
ありがとうございます。普遍的な人にしか刺さらないもの、というのを描けたかなと思います。ありふれたイベントを抽出するのが難しかったですが……。書いていて気になったのですが、これって「普通」なんですかね。
——と、言いますと?
匿名:
出来るだけ普遍的なものを抽出して書いたつもりではあるんですが、果たしてどうなんでしょう、と。解を得る術がないのでなんとも言えませんが。それから、作品の前半と後半で表現を対比させているので、その部分を楽しんでいただけたらなと思います。
リボンの色
——気に入った作品や面白かった作品はありますか。
匿名:
気に入ったという意味では、れぽてんさんの作品(※『Cleaskyと「笑って!」~ミリオンライブ6thライブツアーのASカバーがもたらしたもの~』)ですね。まさにこういうのを読みたかったんです。この作品って「この人が」「どういったところを」「なぜ好きか」というのが書いてある純粋無垢なラブレターじゃないですか。
れぽてん著『Cleaskyと「笑って!」〜ミリオンライブ6thライブツアーがもたらしたもの〜』
— 天海春香学会 (@a_harukagakkai) December 1, 2020
少なくない春香Pが衝撃を受けた、「笑って!」のカバー。
Cleaskyはなぜこの曲をカバーしたのでしょうか。
その背景を美也Pの著者ならではの視点で紐解いていきます。 pic.twitter.com/LkFyiIvL8Y
匿名:
れぽてんさんの作品から少し離れてしまうのですが、如何せん私もミリオンから入った組なので、例えば、焼肉のおーずさんの『リボンは何色?』の考えとは真逆なんです。
焼肉のおーず著『リボンは何色?』
— 天海春香学会 (@a_harukagakkai) December 3, 2020
天海春香のリボンをメタファとして、筆者の価値観を展開したエッセイとなっています。
「リボンは何色?」とご自身に問いながら、じっくり読んでいただけますと幸いです。 pic.twitter.com/0gwPAO7pgK
匿名:
ASっていうのはミリオンのプリンセス、フェアリー、エンジェルと同列だと思っていて、「明確に分けるなよ、寂しいじゃないか」と考えているんです。だから、(カバー曲という形で)ASを踏襲してミリオンの発展をしてくれるミリオン6thライブに行きたかったな、と思っています。
——だからこそ、れぽてんさんの文章が良かったのですね。
匿名:
先ほどの続きになるのですが、私、焼肉のおーずさんの考え方とは相容れないんです。ただ、(自分自身の考えと焼肉のおーずさんの考えとの間に)明確な線引きをしてくれたのでこの文章に感謝したいなと思います。「あなたは良いでしょう、私も良いです」というメッセージ性が刺さりまして、私の考えとは違う(ミリオンは39人でASは13人だ、という)意見もちょっとだけ聞いてみたいな、その人のリボンの色を見てみたいな、と思うようになりました。なので、もしも自分の感情がうまく言葉にできないのであれば、色を可能な限り薄くしたこの「(独白)」を使って自分自身の色を文字に起こして、どこかの誰かである私に叩きつけて欲しいです。
それから、司令官Pさんの作品(※『6年に渡って等身大の天海春香と向き合ってみて』)。徹頭徹尾狂っていて好きだなって(笑)。終始「いらんわ!」って思いながら読んでました。
司令官P著『等身大の天海春香と6年間に渡って向き合ってみて』
— 天海春香学会 (@a_harukagakkai) December 8, 2020
天海春香の等身大パネルをお迎えして6年が経過する著者が、置き場所や利用方法について語るエッセイ・レポートです。
等身大パネルとの「同居生活」に興味のある方は必見です! pic.twitter.com/PefbsAln0O
——文章については、書かれている方の意思が強く表れている作品がお好きなのですね。イラストではいかがですか。
匿名:
Vol.1のときから落ソヤさんのイラストが気になっていて、Vol.2ではどういう風に来るのかなと楽しみにしていたんです。前回では、作品の右端に「落ソヤ」とお名前を書いていたので、どんなギミックが次は来るんだろうって思っていました。そうしたら、まさか真正面からぶん殴られるなんて思ってませんでした。
——仮に春香学会Vol.3へ参加されるとしたら、どのような作品を書きたいですか。
匿名:
次は、ちゃんと自分の名前を出して作品を作りたいですね。明確な自分の色を出して、作品を書きたいな、と。
なりたいもの
——あなたにとって、天海春香とは。
匿名:
私がなりたいもの、です。私、普通になりたいんですよ。この民主主義社会で一番強いのって数が多いものじゃないですか。だから、大多数、世の中にとっての普通を創ってみたいし、なってみたいんです。
ーーー
「普通」「普遍」という言葉に思いを馳せたインタビューでした。
天海春香学会Vol.2は現在完売となっております。
入荷・再販時にはTwitter(@a_harukagakkai)にてご連絡いたしますので、お待ちいただけますと幸いです。