EXITかねちーが谷原章介氏より圧倒的に正しいワケ
京王線や小田急線の車内でおきた、いわゆる無敵の人による無差別で凶悪な殺傷事件がおきると「めざまし8」のMC谷原章介氏は決まり文句のように
「理解できません」を繰り返す。
そしてサヘル・ローズ氏は特殊詐欺集団の一員だったメンバーの悲惨な生い立ちの説明を聞いた後、
「まったくかわいそうだとは思いません」と吐き捨てた。
一方で、芸人のEXIT兼近氏はジョーカーのようないわゆる無敵の人の心の闇に迫ることも必要だとコメントしていた。
どちらが正しいかは明白だ。
「いかなる理由があっても犯罪はダメだ。
犯罪には厳罰を!」
といさましくこぶしをぶんまわす昭和のコメンテーターは、一見、正しく見えるかもしれないが、次の被害者を出さない、あるいは加害者を出さないという観点からすると全く生産性がないし、実際には被害者にすら寄り添っていない。
よく、犯罪者の悲惨な境遇が説明されると
「おなじような目に遭ってもみなが犯罪に走るわけではない」という定型句を言う人が必ずいるけど
「そりゃそうだよ、だからなに?」と返したくなる。
それがこの世の中のあらゆるところに存在する多様性のグラデーションというものだ。
同じストレスの負荷を与えても、うつ病になる人とならない人がいるし同じような不摂生をしても糖尿病(または他の病気でも)になる人とならない人がいる。
犯罪者と同じような悲惨な境遇を1000人に与えたら何人かはよからぬ行動に出るのではないか?という思考実験はどうだろう。
世間をにぎわせた山口県阿武町4630万円誤送金事件」のときに100人くらいに「誤送金ドッキリ」を仕掛けたら、きっと5人くらいは"悪魔の誘惑"に屈するだろう、低所得者に限ればもっとかもしれないなどとブログに書いたことがあったが、まさにその当時、芸人のヒコロヒー氏は自分だったら使っちゃうと発言していた。
実際、スーパーなどでお釣りを多くもらってしまったら返さなくていいと思っている人は多いし、2005年のジェイコム株誤発注事件での20億円もうけた人でさえ返金なんてしなくてよかった件などが記憶にある人などはなおさらかもしれない(つまり罪に対するハードルの高さも知識や環境で個人差があり決して絶対的なものではない)。ちなみにジェイコムはトータル400億円の損失。
凶悪事件の顛末を見ていると、たとえばオウム事件などもそうなのだけれど、死刑が執行された後に被害者遺族にインタビューに行くと
「事件の真実が解明されないまま犯人は死んでしまった」と嘆く人が一定数いる。その時には被害者に寄り添ったふりをして厳罰を叫んでいた人はすっかりどこかへいってしまっている。
実際のところ「死刑になりたい」という犯人が現れた時点で厳罰主義は手詰まりなのだ。
依存症対策もそうだけど心の「病み」や「闇」に関する対策が日本は遅れている。こちらにもう少し光が当たれば、自殺者もへらせるはずなのだ。
とりあえずEXITかねちーのような世代が出てきたのはせめてもの救いだ。
谷原氏もそうだけど、芸人でいうとビートたけし氏や松本人志氏もこういった観点においては「ド昭和タレント」だ。前にも書いたけどビートたけし氏に至っては明確にリベラルの敵だ。
とりあえず松本人志氏が退場したことは彼の当該の事件とは別の意味でいい影響かもしれないと思うのは、EXIT以外にも世代交代の光を感じさせてくれる芸人があらわれてきたからだ。
それについては次回以降に書きます。