下ネタとリベラルとスモール和ールド
今年1月に「テレビと人権」というテーマで行われたフジテレビ番組審議会の中で、作家の最相葉月さんは
「コンプライアンスなどと、テレビがいくら配慮しても、一方ではネットで芸人が風俗での武勇伝を吹聴しているなど境界はダダ漏れ状態である」
との懸念を表明しましたが、最相さんの現状認識はまちがっています。
それは地上波でも芸人さんはあたりまえのようにフーゾクばなしをしているということです。
おそらくは小中学生も視聴していた時間帯の「やりすぎ都市伝説」というテレ東の名物番組においてはサバンナ高橋氏の空耳ネタとケンドーコバヤシ氏の風俗ネタは2大定番コーナーだったほどです。
ここの大きな探求テーマであるリベラルが負け続けている理由のひとつとしては、いわゆる識者といれる方々の現状の見積もりがズレているというのがあげられますが、まさに今回の最相氏の発言はそれを体現したカタチです。
ズレの例としてはACによる社会啓発CMなどがありますが、 そこらへんの問題についてはあとで、じっくりふれるとして、ここで示唆されるもうひとつの問題。
「無防備に解放され暴走する下ネタ問題」
があります。
テレビで芸人さんたちが
「いつから"アナル"ってテレビで言っていいことになったんでしたっけ?」
「いまもダメやろ」
「ガハハハW」
などという会話をしていました。
そういえばいつのまにか「クンニ」という言葉も深夜ではふつうに聞かれるようになりました。
「まつもtoなかい」に出演したAwichという女性ラッパーは21時台に松本人志氏が膣外射精について語ったネタを身振り付きで再現しました。
その松本氏も朝の10時台の「ワイドナショー」の中で「これがフーゾクだったら」といった「風俗例え」を連発していました。
なぜコンプラの時代にこんなことが許されるのかといえば、シンプルにその種の話は炎上しないから。つまり苦情がこないからで、それがなぜなのかはよくわかりませんがひとつには近年、視聴者層の価値観が画一化されたことにも一因があると思われます。
もうひとついえば当然のように広告代理店とスポンサーからもノークレームということです。
さて、私はここである事実に気づいてしまいました。
友達の友達たどっていくと6人たどれば全世界のあらゆる人とつながれるなどという「6次のへだたり理論」という学説がありますが、この下ネタ暴走問題は現代の日本がかかえるすべての問題と4次以内ぐらいでつながるのではないか?と。
松本人志氏性加害問題
宝塚いじめ問題
電通パワハラ問題
五輪汚職問題
テラスハウス問題
原発問題
同意なき水着グラビア問題
若者がなぜ選挙に行かないか問題
間違いだらけの大阪問題
依存症などの心の病が軽視される問題
金融や通信の度重なるシステムトラブル
トヨタなどの大企業周辺の不正問題
ツッコミという名の●●問題(含いじりという名のいじめ問題)
ところで今回指摘したような社会的に下ネタが許容される裏には女性からの共感も不可欠なはずですが、下ネタ女子からの共感を集める下ネタリーダーの中瀬ゆかりさんはリベラルの敵でもあります。
リベラルの敵が共感を集めるのですからそりゃリベラルは勝てませんよねということです。
そんなこんなで次回のテーマは「情報の錬金術」です。