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洋食器メーカー・相良製陶・チーフデザイナー 桜沢純の「用の美」

ネーミングの手法には「早い者勝ち系」というジャンルがあります。
例えば、「令和●●株式会社」とか「東京●●」とか。
この手の変則的な例だと
「●●研究所」とか「●●事務局」とか「●●センター」とか、なんとなく公的な組織のように錯覚させる感じがなんとも胡散臭い。
 実際、この早い者勝ち系は比較的小さな会社に多いような気がしますが、これがURLとなると「早い者勝ち系」に逆にメジャー感が出てきます。
 昨今、にせ通販サイトによる詐欺が社会問題にもなりましたが、テレビでホンモノとニセモノの比較解説をしていたら
「ニセモノのURLのほうがホンモノっぽい」という感想が続出しました。つまり早もの勝ち系はURLの場合、シンプルであればあるほど重みが増すというものですが、あろうことか事件にまきこまれた企業に関してはホンモノのほうが「shop+社名」のような複合的なスタイルになっていて、それで直観的に後から登録したような印象を受けてしまったのでしょう。

 そんなわけでフジテレビ系で今クール放送予定の月10ドラマ「恋なんて、本気でやってどうするの?」です。
主人公を演じる広瀬アリスさんの役どころは、洋食器メーカー「相良製陶」のチーフデザイナー 桜沢純。共演者のインスタを見ていたら「相良製陶」のポスターを発見。

相良製陶&ニコ___3.psd コ


 劇中の架空製品などのデザインって、デザイナーの「こんなとこでホンキ出してられっか感」がにじんだような意図的なB級感がこぼれてしまっているものが多いもの。これはビジュアルに関してはまあまあ、メッシュデザインの陶器というセレクトはなかなかおしゃれですが、コピーのほうはメタ世界特有のB級感が…(笑)。
 「ホンモノの美しさ日常に」
これは「用の美」ということなのでしょう。はいはい、まあまあですね。
「受け継がれるデザインがここに」
 ここでいっきに架空世界の借り物感が出ちゃいましたね。
まぁ、ヘタしたらほとんどの視聴者には気づかれずに終わってしまう架空アイテムなので、ホンキ出してられっかよ…はある意味仕方ないことですが、今は「掘る時代」でもあります。
 SNSで「あれが欲しい」と話題になって、グッズを緊急発売なんてこともないとはいえませんよ。
で、
ポスターにハナシを戻しましょう。会社のURLがしっかりと印刷されています。
 同じくフジテレビ系の「ラブ・コンプレックス」というドラマの時も劇中でチラッと映った社名URLにアクセスしたら物語の舞台となった架空の会社「ワンダーエレクトロニクス」のwebサイトがちゃんとありましたっけ。
 でも今回、特筆すべきはURLのシンプルさ。
www.sagara.co.jp
 田中、山本ほどではないにしても、相良はかなりメジャーな名前。しかもsagaraと発音される名前となると
佐伽良,佐賀良、佐柄、左柄、讃良、讚良、相楽、相柄、佐加良、相原

と、熾烈な争奪戦の様相です。
ついでに「設楽」にもサガラという読み方があり、「艸楽」なんてのもあります。つい昨年くらいまで週刊モーニングで連載していたまんがのタイトルにも「sagara」ってありましたよね。
たった3か月でお役御免なのにこんな超メジャーURLをゲットするなんて、さすがフジテレビ系列の底力です。

え?
webサイトないじゃん。
ぜんぜん別の会社だ…。
いやいや、天下のフジテレビ系列がそんな凡ミスするわけない。
出演者のインスタもそのままだし…。
https://www.instagram.com/p/CbAD-jgpfHR/
これは放送開始当日に何かが起こる?
とりあえず、ざわざわワクワクしながら待つとしましょう。

ちなみに私的には「早い者勝ち系ネーミング」の近年での一番のヒット作は
アメリカの医療ベンチャー「インシリコ」です。
これはコンピュータというバーチャル実験室の中で創薬を行う手法
「インシリコスクリーニング」をそのまま社名に採用したもので
そのまんま日本の立ち遅れ感を象徴しているようでもあります。
海外で日本のリウマチ薬がコロナにも効くかもしれないことがわかったというニュースは
まるで日本の勝利のように報道されましたが、実は逆なのです。
世界一のスパコンを有してるはずの日本がインシリコスクリーニングという分野で敗北したことを意味するのです。
 「コンピュータ、ソフトなければタダの箱」とはよくいったものです。
 お名前は世相を映しているという厳しく悲しいおハナシでした。


引き続きポスターの件は注視しています。先週は2か所に貼ってありました。

08_ここにポスターcmp

ポスタあったよ




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