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ハラミちゃん、スゴくないよ
「この曲のココがすごい」をプロが解説する…みたいな企画が苦手です。
大抵は体感レベルでは響いてこないし、「知識自慢かよ」みたいな、いや知識自慢ならまだいいのですが、「楽典自慢、理論自慢」みたいなのが多いからです。(マキタスポーツは面白い。)
今週の「上田と女が吠える夜」の“JPOPを愛する女たち”も音大卒のはらみちゃんのトークが一番つまんなかったです。
(参照用の曲の貼りつけは下にまとめて)
「仮面舞踏会」のイントロはぜんぜんすごくありません。あれはYesと言うバンドの「Owner of lonely heart」のイントロと間奏その他のパクリだからです。
イントロに5連プラスジャン!(6連符?)というフレーズが出てきます。
知識自慢ならまだましといったのはここらへんのところです。
以前紹介した、「振り返れば 奴がいる」のBGMがフレットレスベースの無伴奏ソロだったというはなし。
https://twitter.com/i/status/1838817900888756608
この動画を補完材料とする元の記事https://t.co/TJIPSwa0PU pic.twitter.com/dMIFNE95wT
— 愛の聖漣舎~アイノセイレンシャ (@seirensha) September 25, 2024
そこだけみると攻めた音楽づくりにみえますが「時代の文脈」を把握していれば、なんのことはないジャコ・パストリアスというカリスマ・ベーシストのパクリだということがわかります。
何かを論じる時に「時代の文脈」を抑えることは重要です。たとえば「アニメと戦争」という本では、宇宙戦艦ヤマトに軍艦マーチを入れようとして軍国主義者よばわりされボイコットのような状況になったという西崎プロデューサーに関するくだりですが、西崎さんはトータルでヤバいパーソナリティかもしれませんが、そのくだりに関してはシンプルにアップデートできていないおじさんというだけで、その線で彼をヤバいと非難するなら本当にヤバいのはナチスマニアの若手スタッフたちのほうだ。もうひとつ時代の文脈でいうなら当時はまだ酔っぱらって同期の桜を謳うサラリーマンはザラにいたし、軍艦マーチのイメージに関してはもはや軍歌というよりパチンコ屋BGMとして広まっており、ドラマやアニメのパチンコ屋のシーンでもステレオタイプ的に使われていたはずです。もっといえばおじさんよりヤバいナチスマニアは当時は普通の趣味人でもあったのです。当時の少年たちにとってナチスドイツは人気キャラであり人気コンテンツでした。最近、復刊コムによって復活した子供向けの読み物「ドイツ機甲軍団」につけられた惹句は「男のロマン」でした。欧米では考えられない扱いです。
某アイドルがハローウィンにナチスもどきのカッコをして物議を醸したことがありましたが、それより前に一般の少年がナチスの制服を着て批判を浴びたことがあったのです。今やハロウィン、ナチスで検索してもアイドルのほうしか出てきませんが。つまりけっこう最近までナチスマニアは表にいたのです。だいたい渋谷の大型書店大盛堂の移転前の店舗の地下にはナチス専門店があったのくらいですから。
さて、歌謡曲をとりまく時代の文脈というと歌謡曲といえばパクリ音楽だったということです。慢性的な「ニッポンスゴイ」に押されて逆キャンセルカルチャー状態というか、すっかりパクリの黒歴史は封印されてしまっています。筒美京平氏が亡くなった時のニュースでは「海外の音楽を取り入れる手法で…」とかわけのわかんない表現をしていました。
さて、イエスの「ロンリーハート」といえばもっと有名なパクリは中森明菜さんの「サザンウインド」ですね。ニッポンすごいの文脈では小粋な引用とでも表現するのでしをょうか?
さて、ハラミちゃんは「五拍子」がすごいといっていたけど、無伴奏なイントロでは拍子なんてあってないようなものです。だってたとえば童謡とかでも、あややの「ん」じゃないけどはんぱな小節のおしりの一拍からはじまるなんてのあるでしょ?あれは変拍子っていわないですよね。
というか5拍子という変則的に響きますが、5連符かもしれませんし、ただの4+1かもしれません。
だからやろうと思えば11連符でも13連符でもたいした演奏能力がなくっても自由自在です。というかあれシーケンサーじゃね?
ちにみにこの曲はトムジョーンズの「Love me tonight」からもパクっているという嫌疑がかかっているようです。
あとパフィの曲でAメロが延々とワンコードとかいってたけど洋楽なんてそんなのザラです。
尾崎世界観さんはBメロは日本独特の文化だといってたけど、Aメロ2~3コードとサビだけで、ちゃんとポップに聞こえるなんてのも洋楽には多い。
やっぱり「ロックの土俵」ということでいうと洋楽のほうが何枚も上手(うわて)だよなぁと個人的には思っている。あと説得力のあるボーカリストというのが多い気がします。デズモンド・チャイルドというボン・ジョビの裏方みたいな人がボン・ジョビ人気にのっかって、ソロアルバムを出したことがあるんだけど、もろにボンジョビなわけ。楽曲のクオリティも歌唱力も遜色ないんだけどやっぱりボーカルの説得力が違うのね。むかしは作詞作曲するやつがエラいと思ってたけど、結局ボーカルじゃんとその時気が付いた気がする。だったらパクり曲でもいいじゃんてハナシになるけどボーカルの説得力って点でいうと…
ところで変拍子にしても日本人はいかにも変拍子でござーいみたいになるけど、海外のミュージシャンはもっと自然に使っている。
ドシロウトの私が選ぶこの曲のここがスゴい、変拍子編を2選。
どうだスゴいだろみたいに聞こえないのトコが逆にスゴい。
totoのほうはイントロが7/4拍子、ジェネシスのほうはもう何拍子かわかんないけど、つんのめることなくずっとノリノリで聞いていられる。
あ、日本の曲でも好きなのはある。やまほど。でも、スゴいとかそういう視点では聴かないから。
曲のリンク以下に。
「仮面舞踏会」少年隊
「ロンリーハート」イエス
「サザンウインド」中森明菜
「ハイドラ」TOTO
「ファースオブフィフス」Genesis