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砂の街

みんな、みんな、砂粒に還しましょう。

今は仮染めの糸でつながって、
はたまた、昨日、ホォムセンターでみた、
何でもくっつける接着剤とか、
そんなような物で…
ぺたぺた貼り付けられた、
砂粒なんです。

意識が無くなったら、

足の爪先とか毛髪の先端とかから、
気づかないうちに綻んじまった砂粒が、
朝日に照らされて、
身体を起こす気流に乗って。

ゴビ砂漠と一体化する記憶、

の夢を観たかも知れません。
昨日も一昨日ももっと前も、
砂粒のイチゴを奥歯ですり潰した。

殺した沢山の命の砂粒は
青くさい酸味が忘れられない。

「知ってますか???イチゴは種を丁寧にとって食べると、ぶよぶよになって酷い味だそうですよ。」

隣の家のレオ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)にも
聞かせてやりたい。

でもさ、アイツは自分の書いた女を抱いて、
そこから出たリピドーを絵の具にして、
浮気相手を今描いてる途中で、
イチゴの事なんてどうでもいいみたいな顔をして、
塩気が強いパンを齧っている。
出窓で。

自己暗示
事故暗示
事後安置

砂の街が雨に砕かれて、
黒い雨が、溜まった水溜まりが、
ボクの身体の水路を流れて言って、

白くなる。

黒い雨を濾過したから、
脳と
陰部と
乳首の先と、
脾臓の裏側に

染みができたかも、
知れない。

「ねぇ。取替えっ子しない?」
黒い瞳はパチクリして、
首を傾げて、鳩がやるみたいに、

鼻で笑いやがった。

あ、朝に飛んでいった砂粒。
キミの胸元に付いてるよ。

絶対教えてあげないけどさ。

僕も鳩の奴らがやるみたいに、
砂の街で笑ってやろう。

キミの胸元とプリンの妄想しながら、

笑ってやろう。

笑ってやろう。

こんな僕だって、
明日はゴビ砂漠に運ばれるんだからさ。

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