米国サイバー軍がイラン革命防衛隊に対してサイバー攻撃で報復　のまとめ

　2019年6月20日、米軍の無人偵察機RQ-4Aがイラン革命防衛隊（以下「IRGC」という。）によって撃墜された。イランのJavad Zarif外務大臣が、同無人機はイラン領空を侵犯したと主張する一方で、米国防総省は、同機は国際空域を一度も出ていないと主張している。同日夜、米国トランプ大統領は、イランに対する報復としてミサイル攻撃を一時承認したものの、多くの犠牲者が生まれるとして承認を取り消した。[The Washington Post][1]によると、その後、ロケットやミサイルの発射制御システムを使用不能にするためイランに対してサイバー攻撃を行うことを承認した。

　関係者によると、米国サイバー軍によって実行されたこの攻撃は、イランの犯行と疑われている同月13日に発生したオマーン湾を航行中のタンカーに対するミサイル攻撃への報復として米国防総省が提案し、数週間にわたって準備が進められていた。本件を最初に報じた[YAHOO! NEWS][2]によると、元情報当局職員の話として、IRGCとつながりのある諜報組織はホルムズ海峡を航行する軍艦及び民間船舶を過去数年間、追尾及び標的しており、攻撃可能な状態であったと報じた。

　[THE TIMES OF ISRAEL][3]によると、防空システムには、レーダー、管制指揮所及び地対空ミサイルサイトが相互接続している必要がある。これらは、イントラネットによって接続しているものの、その一部は同時にインターネットにも接続している。さらに、今日では商用OSが使用されており、サイバー攻撃に対して脆弱であるという。フランス情報セキュリティクラブのLoic Guezo氏は、「侵入不可能なものはない」と指摘する。攻撃者は、侵入ポイントさえ見つけてしまえば、防空ネットワークの少なくとも一部を無効化するマルウェアを感染させることができるという。同氏によると、その最も単純な方法は、特殊部隊を使って適切な場所にUSBを挿すことだ。

　ペルシャ湾とホルムズ海峡には、米海軍第5艦隊の拠点があり、イランにとっては明確な諜報対象だ。FireEye社のIntelligence directorであるJohn Hultquist氏によると、イランは米海軍、特に第5艦隊の情報を収集するために、隊員に対してサイバーエスピオナージを行っていた。魅力的な女性を装ってSNSで連絡を取り、部隊の行動や編成に関する機密情報を収集していた。さらに、船舶を追尾するWebサイトを乗っ取り、米軍艦船を監視していた。米国の戦略国際問題研究所のJames Lewis氏によると、イランの情報機関はドローンや船舶に搭載されているシステムを乗っ取り、位置情報を操作することも可能だという。

　一方、[ForeignPolicy][4]が、イランと関係のある攻撃者たちが米国企業に対するサイバー攻撃の準備を始めていると報じた。6月第3週以降、攻撃者たちはエネルギー及び金融産業を標的として、フィッシングメールの送付やブルートフォース攻撃を活発化させ、ネットワークへの侵入を試みている。

【見出し画像】出典：YAHOO!NEWS

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[1]: https://www.washingtonpost.com/world/national-security/with-trumps-approval-pentagon-launched-cyber-strikes-against-iran/2019/06/22/250d3740-950d-11e9-b570-6416efdc0803_story.html?utm_term=.d352900378ff  "Trump approved cyber-strikes against Iran’s missile systems"
[2]: https://news.yahoo.com/pentagon-secretly-struck-back-against-iranian-cyber-spies-targeting-us-ships-234520824.html?soc_src=hl-viewer&soc_trk=tw "Pentagon secretly struck back against Iranian cyberspies targeting U.S. ships"
[3]: https://www.timesofisrael.com/us-cyber-attack-on-iran-exploited-flaw-in-heavily-guarded-network-experts-say/ "US cyber attack on Iran exploited flaw in heavily-guarded network, experts say"
[4]: https://foreignpolicy.com/2019/07/01/iran-linked-hackers-said-to-be-ready-for-attacks-on-u-s-targets/ "Iran-Linked Hackers Said to Be Ready for Attacks on U.S. Targets"