本州最後の秘境、奈良県十津川村に、日本の土木技術の偉大さを見た【旅行記】
今回のnoteは画像なしでお送りしております。全く写真を撮っていなかった。文章力が試されるぜ。
先日の大阪旅行の続きです。目指すのは「本州最後の秘境」ともいわれる奈良県十津川村。
大阪で宿を貸して頂いた知人は現地調査の出張でここ一年ほど度々十津川に出入りしているとのこと。旅行好きの私としては「鉄道も通っていない道路事情も悪い紀伊半島の山の中」ということでそそられるものがあり、今回調査の前入りで十津川に向かう知人の車に乗せてもらうことにしました。
日曜日の午後。大阪市内の知人の家を後にし、近鉄電車で奈良県橿原市の大和八木に向かいます。大和八木は乗り換えのターミナルであるとともに、奈良県南部への玄関口。ここでレンタカーを借ります。
余談ですが、近鉄電車の鶴橋はコリアンタウンでお馴染み。始発で座って韓国お菓子をつまんでた韓流好きっぽい女子グループに、ここで乗り込んできた背の高いお姉さんが「このお菓子ってどこで売ってました?」みたいなナンパにも近い形でいきなり話に割り込むと、途端に意気投合してました。関西人のノリの良さ、毎回脱帽する。
レンタカーで大和盆地を走りながら、知人はしきりに「この先の"ふもとの"五條で"補給"をするからな」と言っています。知人はしばらく仕事で十津川に山籠り。聞いたところによると、五條の市街地で曲がってしまうとコンビニはおろかスーパーもないらしく、ガソリンスタンドの売店が貴重な補給拠点になるとか。
そんなこんなで五條の街に到着。川沿いの昔ながらの宿場町、メインストリート「かつて賑やかだったんだろうな」という街道の面影が残っています。
十津川の方角を見上げれば、1000メートル級の紀伊山地の山々がそびえ立っています。五條の市街地は標高100メートルほどなので威圧感はなかなか。これは分かりやすく「ふもと」なんだなぁと。
ローソンで2リットルのペットボトルを5本ほど買い足している知人を見て、わたしも覚悟を決めました。
五條の市街地を離れ、車は無人地帯へと突入。20分ほど走ると分水嶺の峠になるのですが、そこが標高700メートルなのでなかなか急な坂です。つづら折りのカーブが現れたり、トンネルが1.5車線分しかないような狭くて真っ暗だったりして、秘境感が出てきます。
峠を越えて五條市の大塔というところに入ると、いよいよ車線が1車線ですれ違い困難な地域に。十津川に入っても目的地までは40キロほどあるので(なんたって十津川村は日本で一番面積の広い村(厳密には北方領土とかあるらしいですが)で、東京23区や琵琶湖より広いです)、それを縦断するわけでこんな悪路、限界だな、と思っていると、
いきなり線形改良されて2車線でトンネルと橋でぶち抜いてるような区間が急に現れてそれが3キロくらい続いて、それがまた急にもとの悪路に戻る、みたいな、とても二面性がある道路です。これはすごい。
早く全部の道路がこうならないかな、みたいな話をしていると、先の大雨(前の週に台風が接近した影響で近隣は400ミリの雨が降っていた)の関係か、水はけの悪いところで沢の水が道路に溢れて水浸しになっているところがあって仰天しました。知人いわく「ここは早く何とかしないと三日くらい放っておいたら通れなくなるぞ」と。
その後も「ここまで雨がひどいと仕事にも支障が出るかもしれない」と、車でバイパスの工事をしている近くまで様子を見に行くと、工事用の道路が跡形もなく流されて崩れていたり。
バイパスの工事をするにも、こうも自然が厳しい場所だと、計画しても大雨で流されて一からやり直し、みたいな現実を目の当たりにしました。
その後も悪路をひた進み、和歌山県に入った熊野本宮の近くの宿に着いたのは夜も更けてから。途中十津川温泉の集落は街に明かりこそついていれど当然人は歩いておらず。
この山奥の僻地へのアクセスを少しでもよくするために土木工事をやっている、というか土木工事以外に産業がない、そしてその土木工事も自然との戦い。そんな日本の田舎の現実が、目に焼き付いています。
わざわざ車で、たぶん一生のうちもう来る機会はそうばいであろう十津川を走って。土木に携わる知人の背中が、少しだけ眩しく見えました。