大判印刷に必要な解像度を考える
印刷物における解像度の規準として350dpi以上が必要です。
某アパレルブランドからカタログデザインを請け負い、同時に展示会で使用する長辺2mになる壁面ヴィジュアルの出稿も依頼されました。そこで思わぬ問題が起こりました。
カタログで使用した画像を壁面ヴィジュアル用にイラレでレイアウトして出稿したのですが、展示会を仕切っているイベント業者から解像度が350dpiないと画像が荒れますと言われました。
え? そう言われましても。。。ってなったので
同じような問題に直面した方のお役に立てるように、クライアントさんに納得してもらうという事を基準に、知識と考え方をお伝えしたいと思います。
そもそもカメラ側の最大解像度は?
フォトグラファーがよく使うカメラといえばcanon EOS 5D。今は Mark IVというのが最新バージョンです。最大画素数は約3010万(6720×4480)画素です。350dpiにすると487.7×325.1mmです。A3とB3の間ぐらいの解像度です。
ミラーレスデジタルカメラで最高クラスの1億画素を超える中判カメラGFX100であれば11648×8736。350dpiでは845.3×634でA1サイズより少し大きぐらいです。
ご依頼の壁面ビジュアルは長辺が2000mmです。 全然足りません。
現在の最高画質とも言えるカメラでも2000mmの写真は撮れないのです。
近くで見ると画質が荒れてるという意見に対して
現在、存在しているカメラでは2000mmの写真は撮れないのは事実ですが、クライアントが納得しない場合があります。一度言われると気になるもので、仕上がったものを近くで見て画質が荒れてると言われてしまうと、収拾つかない。
ここでこの「近くで見ると」がポイントになります。
壁面ポスターはどこから見るのが正しいのか。この基準をクライアントさんと共有することが問題解決の道です。
結論からいうと紙面の上から下、右端から左端まで目線を動かさなくても見える場所まで離れて、画像が荒れているかで判断をしてもらうのです。
この考え方の基礎となるのが、見る人の立場では全体が見えないほど近寄るとただの壁にしか見えないということです。モデルさんが誰か分からない、ロゴが見えないのでどこの会社の広告か分からない。これは壁面ビジュアルの正しい見方ではありません。
解像度がどうことクライアントさんを挟んで他の業者と揉めてしまうと専門性を主張する泥沼にハマり脱出できなくなります。
エンドユーザー目線を常に重視し、問題を解決することを心がけましょう。