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藍の學校StudyRoom3ご報告

2024年6月22日(土)奇しくもピッタリ夏至の日に、京都市の北の果てにあるアトリエに10数名もの人が集まって、私の西陣織のレクチャーをさせていただいていました。

京都芸術大学で藍染めの分野で教鞭をとっていらっしゃる、梅崎由紀子先生からお声かけをいただいて、この『藍の學校』のプロジェクトに参加させていただくことになりました。

美学を専門で学んでおられる大学生から、社会人ながらも通信で染色やデザインを学んでいらっしゃる方々、栃木県の藍農家の方、大学時代に漆を専攻されていた社会人の方、台湾で染色の作家活動をされている方々など、総勢10名がこの藍の學校 Study room3 の生徒さん達です。

小さなアトリエにお集まりくださった、生徒さん達や梅崎先生も同じく京都芸術大学に在籍されている漆芸家の三田村有芳先生、院生のスタッフさんなどを前に、『西陣織』の歴史も含めて「西陣織とはなんぞや」ということをみっちりお話しさせていただきました。

あれやこれやと、西陣織でできること、その可能性の幅を思い切り広げてお話しさせていただきました。

その夏の日から始まった藍の學校Study room3のプロジェクトでしたが、ちょうど半年後の2024年の冬至12月21日を過ぎた、12月23日(月)に全ての作品を納品させていただくことができました。

10人の生徒さん達でしたが、7組に分かれて作品を創作されることになり、7種の織物が完成したのですが、この作品達がそれぞれとても個性的だったため、四苦八苦…いえ、創意工夫をこらしながら形にすることになりました。

そんな7作品について、織物になるまでの制作秘話をこちらのnoteで綴っていこうと思います。




昨年、梅崎先生からこのプロジェクトのお話を受けた時に、顔料のようになった泥藍を漆の中に混ぜて”藍うるし”というものを作りたいというお話を聞いていました。

西陣織に携わっている私たちも、漆の糸というものを素材の一つとして使ったり、漆を金銀箔の接着剤として使用することなどもあったり、漆で彩色をした和紙を細く細断したものを緯糸(よこいと)にした「引箔」と呼ばれるものを使ったりしてはいるけれど、漆に泥藍を混ぜたものなど聞いたことがありませんでした。

多分、漆業界でも初の試みの”藍漆”を私たちも日頃からお世話になっている、漆の材料を取り扱っていらっしゃる佐藤清松商店さんと梅崎先生と三田村先生とで開発されました。

その”藍漆”で作った素材を何らかの形にして西陣織の材料に取り込みたいということだったのですが、初めは藍漆の糸を作ることも考慮したものの、ロットが大きくなってしまいコストがかかり過ぎてしまうという話になり…

藍漆の糸を作るのではなく、藍漆を使い、
西陣織の緯糸(よこいと)の”引箔”を生徒さんご自身が制作して織物を形作っていくという方向性になりました。

藍漆を塗布し引箔用に裁断された和紙。


生徒さんがご自身達で引き箔を制作するということを踏まえて、私の職人仲間でもある引箔職人の村田先生(楽工芸)にもレクチャーをいただいたり。

レクチャーされる村田先生と梅崎先生

とても素晴らしい引箔の素材というか"作品"を作られている村田さんですが、
その活動は引箔だけにとどまらず、インテリアの内装などを手がけられたり活躍の場を広げられています。

生徒さんそれぞれが、ご自身のデザインをつくられて、緯糸として使う引箔もまた、ご自身たちの手で作るというハードスケジュールをこなす生徒さんたち。

佐藤清松商店さんのアトリエをお借りして、プロダクト会議も兼ねて私も制作の現場に立ち合わせていただきながら、それぞれの引箔は制作されました。

藍漆の上に金箔を重ねたもの
芭蕉紙に藍漆と金箔で描かれたもの
サイアノで染められたもの
藍とくるみの絞り染めの上に型染めをほどこされたもの

このように、色とりどりで、個性的な作品が作られていきました!

さて、少し長くなりましたので、続きは次回とさせていただきます。

お楽しみにお待ちください。

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千果 | A Butterfly Way
フランスからスペインに抜けて進む、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼旅へ出たいと思っています。いただいたサポートは旅の資金にします! 応援おねがいします。