明月の工房改築日誌④
👆こちらの記事からの続きです。
前回の記事では、新しい壁の土台部分が組み上がったところまで書いていました。
ここ数日は、朽ちた壁を削り(はつり)、足場を組んで屋根の下地を作ったり、外壁を貼る段取りなどをしていただいていました。
2022年2月1日
土曜日までにはこれらの写真のように、壁を取り払う解体工事をしてくださっていました。
解体が進んだことによって、躯体部分で使えるものと使えないものとの選別がよりはっきりできるようになり、「ここから先はもう少し踏み込んだ見積もりを作りたいから打ち合わせをさせて欲しい」と次郎さんから打診がありました。
なので、すぐに打ち合わせを予定することに。
次郎さん(大工さん)が使えるかもと期待していた部分がもうほとんど朽ちてしまっていたようなので、躯体分は総入れ替えくらいの規模になってしまっているようです。
2022年2月2日
今朝のこと。昨夜から雪が降っていることに気がつかず、次郎さんたちが到着される間際になって慌てて雪かきをしていました。
夜中から降っていた雨が凍結して、雨が雪に変わっていたようです。
凍結している道はスタッドレスなら大丈夫ですが、街中に暮らすノーマルタイヤの次郎さん達にとっては微妙な状況。(同じ京都市内でも、北にくらす私たちと街との温度差が3〜5°cほどあるのです)
我が家はこの道からさらに急勾配の私道をあがる山の麓に位置しています。
なので、その私道をほうきとみの(落ち葉を集める道具)を使ってせっせと雪をかき分けていました。
次郎さん達のトラックは四輪駆動なので今日は大丈夫だったようですが、別のノーマルタイヤの車は橋でスリップしていたということでした。
これくらいの凍結は陽が当たればなんてことはないのですが…。
とはいえ、ギリギリセーフ。
今年は雪が多い年ですね。
そして、今日は一緒に仕事をしている姉と、融資をしてくれる母と、大工の次郎さんとで見積もりについての打ち合わせをしていました。
結論から言えば、初めお伝えしていた予算ではやはり難しいということだったのですが、大体の想像はできていたので、お金をかける優先順位をどうしてい行くかという話になりました。
次郎さん曰く、コロナウイルスの世界的な流行によって、中国やアメリカの建築事情が変わってきたことが日本にも大きく影響を及ぼしているということでした。
都会から郊外へと移り住む人が増えて、中国やアメリカ国内での木材の需要が高まって自国消費が増え、これまでと同じように輸出されなくなったことにより、日本が安く輸入していた材が手に入らなくなったこと。
それに伴って日本国内の材木に需要が高まり、その値段が昨年(2021年)の段階で以前の通常価格の4倍までに跳ね上がり、今現在は2倍前後で高止まっているということでした。
例:杉の角材 3800円→7200円
とはいえ、現在の日本の林業も公的資金でなんとか成り立っている状況なので、国内に木は植っていても大量に生産するルートが整っておらず生産量が追いついていないということや、新たに設備投資をしてまで国内の木材を使う需要がこの先どこまで見込めるのか判断できない状況にあるようです。
またコロナが落ち着いた時に、外国の安い材木が輸入され始めたら価格負けするに決まっているのですから。
とはいえ、国内の里山の荒れた様子などの話を聞くたびに、山は人の手が入らないとうまく循環しない部分もあるのだろうと思ってしまいます。
下草を刈り枝を払って光と風の通る山が、豊かな広葉樹の森になるという話をどこかで聞いたことがあります。
豊かな山が豊かな空気や土や海を作ることにもつながるのですし、生態系も含めて山を豊かにしていくことが巡り巡って、私たちの生活を豊かにするのだと思えます。
そしていくら安いからといって、はるか遠い国から燃料を燃やしながら運び込まれて供給された材木より、近場の山から切り出された木々を国内で使って循環させる方がエントロピーの増加を抑えることもできますよね。
地球への負荷を減らすことを考えるなら、断然国内産の木材の需要を高める方がいいはずなので、今後はもっと国内産の材木へと注目が集まっていくだろうと思います。
昔よく山登りなどに連れて行ってくれた先輩が京都で林業に従事しているので、また近々話を詳しく聞いてみたいものだと思いました。
材木以外もコロナの影響で輸入が止まっていたりするものがたくさんあって、材料費が以前に比べてはるかに値上がりしているということです。
コロナ以前とは社会構造自体が大きく様変わりしていることがよくよくわかってきました。
余談が長いですね…w
ということで、
少し割高になったとしても、やはり国内の材木を買い支えたいなぁと私は個人的に思ってしまいます。
なので、内装に使う杉のフローリングも外壁の焼杉なども京都産のもの。
アルミサッシなどは古いですが、以前ついていたものを再利用。
そして建具などは、別の現場を解体するときに出てきたもので現在次郎さんの倉庫にある”ええ感じ”のものを取り付けていただくことにしました。
キッチンはお茶を沸かしたり、お昼ご飯をさっと作れるようなサイズのもの。
トイレは壁をやりかえて便座を取り替え。
予算は(予想通り…)オーバーしてしまうのですが、このアトリエを拠点にしてできることの幅が広がることを思えば、別のスペースを借りるよりは投資として有効なのではないかと思えるので、皆の合意の上で改めてGOサインを出すことができました!
キッチンや窓や棚や建具や間仕切りやロフトなど、それぞれの位置を確認して今日の打ち合わせは終了しました。
それ以外の細かいことなどについては、次郎さんのご提案を受けて進めていきたいと思っています。
明日からは本格的に外壁工事が始まりそうです。
(憧れの)焼杉が貼られる壁が超楽しみです!!