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『富士と月』コノハナサクヤビメへ捧ぐ
こちらの写真にある帯は黒の経糸で、2020年の初めに配色して織られたものです。
月明りで光る水面と遠くにたたずむ富士。そのすそ野に広がる峰々を様々な緯糸で表現しています。
月明りが夜を照らし、静寂の中の富士を美しく魅せている風景です。
こちらの帯が、夜の『富士と月』なら、朝焼けに染まるバージョンを配色したい。そう思って、白の経糸にかける糸を探し始めました。
こんなかんじかしら…。と取り出してきた様々な種類の緯糸たちです。
富士山の頂上には、木花咲弥姫命と呼ばれるとても美しい女性の神様が鎮座されておられるそうです。
富士山には、キラキラとラメの入った紫色のパステル糸を選びました。
朝日が富士山を紫色に染めてキラキラと光り、その頭上に出た月は渋く光るコマ箔を選んでいます。
朝の清々しい空気を通してみえる富士の裾野の峰々には、さわやかなブルーの糸を選びました。
そして光る湖には、やわらかく光る銀糸を。湖面に光る太陽の光を表現しています。
ゆらゆら揺れる水面には、二種類の毛糸を。
富士の色を湖面に映す紫系のぼかし毛糸と、月の光を反射させる黄からグリーン系のぼかし毛糸の二種類を交互に使い、織り込みます。
湖のこちら側に生えている松も朝日をうけて、少し紫色に染まっているイメージで配色しています。
朝の清々しい情景と朝日に染まる美しい富士と湖をイメージして配色した帯なので、夜の月あかりに浮かぶ情景とはまたちがったものになりました。
写真の色味がきれいに出ていないのが残念なのですが、実物はとてもきれいに織りあがっています。
地色はシルバー系のグレーなので、
きれいな淡い色あいをした染めのキモノや、無地っぽい織りのキモノに合わせていただくけると素敵かと思います。
◎◎☆☆〇〇〇〇◎◎◎
炎の中で出産し、富士山の噴火をおさえこんでいるといわれる木花咲弥姫命。
美しさを備えておられるだけでなく、火をも司る神様が鎮座されている富士山がお太鼓柄にあるということ。
背守りとして、こんなに心強いものはないかもしれません。
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