ハサミを踏んだ

11月の終わり、部屋の中でハサミを踏んだ。

一瞬何が起こったのかわからなかった。何かの角を踏んだのだと思った。

私の部屋にはあるはずもないレゴブロックがまず頭に浮かび、その割には立体的ではないことに気がつき、足を退けると、そこにはさして尖ってもいない、きちんと刃の閉じられたハサミが落ちていた。
それでも刃物は刃物である、と、私は知ることとなった。

部屋にハサミが落ちていてはいけない。
そう思った。
私が負傷したのは不幸中の幸いだった。このままではいつか部屋を訪れた誰か(年末に泊まりにくる母の可能性が高い)が負傷し、問題になる。
そして部屋を見渡すと、そこらじゅうに落ちている服や出し損ねたままのゴミ袋が目に入った。
漠然と「このままでは年を越せない」と思った。

これが、今も続く約3ヶ月半ぶりの片付け(数日後にそれが人生初の「年末の大掃除」であると自覚する)に着手したきっかけだ。

補足

私の左足の裏は当然出血したが、今はだいぶ綺麗になり、クリスマスまでには治りそうな様子を見せている。私の治癒力は思ったより高いらしい。

人生初の大掃除と書いたが、これは正確に言えば「人生で初めて自分の『片付けたい』という意思で取り組む年末の大掃除」ということだ。
掃除と片付けは別物だ、という意見についてはこの際忘れてほしい。

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