闇夜をかける
真っ暗な夜
足元さへも見えぬ夜
慣れしたんだ道が
全く違う道に見えた
街灯すらも届かない
誰も来ない
車すらもまばらな田舎道
寝静まる街の中
自転車の駆動する音が響く
暗闇の中
彷徨いながら
強がりな心が泣き笑いしながら
「我は闇を纏う…」
恥ずかしいセリフをはく
震えながら囁く声
「闇夜に落ちそう」
妖が叢から飛び出したら
面白いかも
百鬼夜行も見れるかな
それより
汗でベタベタだ
ベタベタンなんて妖もいたっけな
ねっとりしがみつく暑さ
振り解くように
ペダルを必死に漕ぐ
目の前に数分ぶりの灯りが見えた
あと少し…
つまらないな…
もう少し
付き合って欲しかったな
囁く声は闇の中から
ひょっこり見えた闇の影
灯のした辿り着くと
声は消えた