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大阪大学 理学研究科 化学専攻 合格体験記🌸  ( 筆記試験編 )

先日、令和6 (2024)年8月22日、23日に実施された、大阪大学 理学研究科 化学専攻の院試(令和7 (2025)年度4月期入学修士課程)を受け、無事合格したので、その体験記を投稿します。当日どういう流れで試験が行われたかなどをより細かく現場の状況を書こうと思うので外部院試の方は阪大受験に関わらず参考にしてくだされば幸いです。
※口頭試問編はこちらで書いています。


自己紹介

地方国立大学の化学・生命系専攻の大学生。化学への興味が高校の時から強く、大学では化学系の講義を多く取った。また,教職課程を履修しており, 中学・高校の理科1種免許取得予定。研究をもう少し深めてみたい、化学に関する研究を通して問題解決能力を身につけたいと考え、大学院進学を志望。
TOEIC : 655
併願校:なし

受験した研究科の基本情報

<受験校>
大阪大学大学院 理学研究科 化学専攻 (Department of Chemistry Graduate School of Science Osaka University)

<定員・倍率>
2025年度4月期修士課程の出願者数は82名、定員は約60名(Aコース 約30名, Bコース 約30名)、倍率は約1.4 

<受験科目>
必答科目が「無機化学」「分析化学」「物理化学 ( 熱力学 ) 」「量子化学」「有機化学」×2で全部で6題。
選択科目が「錯体化学」「物理化学(定常状態近似・吸着等)」、「有機化学」、3科目から2題選択。
試験時間は必答科目・選択科目を含めて全8題の2時間30分。
英語は、外部試験(TOEIC, TOEFLなど)の点数を成績に反映。
配点等は非公開。

入試説明会では、1題30分くらいで解くことが目安との説明があった。

当日の状況 試験前

試験は午後13:30から行われるため、11:00頃に試験会場付近に到着し、昼食を取ることにした。

11:00 食事をするために、阪急十三駅で下車 ( 実家から )。
   (最寄り駅:阪急石橋阪大前、モノレール芝原阪大前はともにあまり落  
   ち着いて食事できる店がない)。
11:30 食事を終え、カフェで試験前に作成した資料をもとに最終確認。
12:00 十三駅 → 石橋阪大前  ( 駅名は阪大前とついているが, 駅からは理学研
   究科の試験会場まで20分以上徒歩になる。大阪モノレール ( 芝原阪大
   前 )の方が圧倒的に近いが、乗り換えや交通費を考えると阪急電鉄の
   方が良い。)
12:50 試験会場建物のエントランス部分につくが、貼り紙のみで案内人もお
   らず、エレベーターで上がっても薄暗く、試験会場の部屋も数人が既
   に座っており、自習室みたいな雰囲気。
13:20 7人程度の試験官が入ってきて、解答用紙(下書きも含めて9枚)の配布,    関数電卓の貸与が行われた( 持ち込みの関数電卓は使用禁止 )。

試験の状況

配布された解答用紙はA3サイズで大問一つにつき、表・裏使える。
下書き用紙も回収される。

必答科目  詳しくは過去問で確認を!

[1-1]・[1-2]  ( 無機化学および分析化学分野 )
[1-1]では電子配置、スレーター則などが出題された。
近年の傾向とは異なっており、電子配置を問う所までは良いが,
原子番号73番の電子配置(4f軌道などが含まれる)を聞かれたり、過去問では出題歴がないスレーター則(無機化学では絶対勉強するが)などが散見された。スレーター則は問題分に全てルールが記載されていたため、問題なく回答できた。
[1-2] では毎度のごとく化学平衡に関する問題である。
ここ数年, 二プロトン酸に関する問題が多かったため、自身の対策が甘く全く解けなかった。ほとんど空白。

[2-1] (物理化学分野)
例年はエンタルピー、エントロピーに関する問題が出るのだが、本年は
反応速度論に関する出題 であった。
この手の問題は例年、選択科目で出題される。選択科目でも私は選択するつもりがなかったため,、え、うそ⁉と思いながら、(1)だけを回答し,以下空白とした。
答案用紙回収の時に前の受験者の回答が見えたが、(1)のみ解いていた。おそらくほかの受験者もそれほど解けていないのではと感じた。

[2-2] (量子化学分野)
一次元調和振動子に関する問題の出題であった。
井戸型ポテンシャルに関わるシュレディンガー方程式のみを対策していたため, ここも空白で提出した。
受験者の専門にもよるが、例年、阪大の学生であっても空白で出すということが多いらしく、得意でもない限りはこの設問は最初から捨てるのが良いだろう。

[3-1] [3-2] (有機化学分野)
[3-1]では例年1.4-ジクロロヘキサンの安定な立体配座を答えよ、絶対配置を含めて命名せよなど極めて基礎的な問題が多いが、
本年はいきなり、エンド則、エキソ則について問われたり、極めつけはどこの問題から取ってきた⁉と聞きたくなる環状化合物をもとに芳香族性、非芳香族性、反芳香族性について問われる問題が出題されたりした。
全て回答したが、正解の自信はなかった。また、翌日の面接の控え室で阪大の学生が「芳香族性のあの問題はわからんやろ!」と話していたため、おそらく間違えていても問題はないだろうと思った。
[3-2]では例年通り、反応生成物を書けという問題であった。
全て回答した。正直、ここまでで手応えがなかったため、不安しかなかった。
有機化学の問題は点取り問題であるため、出来れば間違いは最小限に抑えたい所である。

選択科目 (3題から2題を選択) 詳しくは過去問で確認を!

[4] 錯体化学
例年基礎的な問題が多い。他の選択科目に比べて点が取りやすい傾向にある。ただし、α崩壊やβ崩壊など稀に出るくるため、そこが出ると終わりw
水和エンタルピーなど前年に出題された分野と同じ問題が出ていた。
全て回答した。前年に出ていたこと、教科書をもとにしっかり対策できていたことなどから、比較的自信があった。

[5]物理化学
例年は定常状態近似、ミカエリスメンテンの式、反応速度論に関する出題がある。
しかし、本年は熱力学に関する問題、それも基礎的な式の変形であった。
つまり、例年の[2-1]と[5]がそっくりそのまま入れ替わっていた。
過去問では選択しないことを決めていたため、一度はスルーしたが、[6]を見て[5]を選択した。半分は解答でき、自信もそれなりにあった。

[6]有機化学
例年どこかしらの論文から引っ張りだされ、全合成のスキームをもとに設問が設定されている。脚色が多く、一見、複雑に思われるが、反応前後を見れば教科書に書いてある反応をもとに構成されており、難なくなく解ける。
本年はクリックケミストリーからの出題であり、自身の専門の関係上、知っている話ではあったが、設問が難しく(2)までしか解けないと感じ、急遽[5]を選択することを決めた。

試験終了後、阪大の学生たちが「絶対、○○先生が作った問題だ!(その先生は難題を作ることで有名)」、「5割ないやろ!」、「絶対、ボーダーが下がる!」など試験問題に関して不平不満があちらこちらで聞こえた。個人的にはこの問題はどうやって対策をしていたら合格できるのかと感じたし、万全の態勢で受験したが、不合格と言われても仕方がないと感じた。

口頭試問

大抵の人は15分程度だった。AコースとBコースは分けて口頭試問が行われてた。Aコースは3つの試験室、Bコースは2つの試験室で行われた。
志望理由や現在行っている研究などについて聞かれた。面接官は5人で場合によっては黒板に書いて説明を求められる。詳しくはこちらでポイントと共に記載しています。

最後に

私は外部から阪大の院試に合格することができた。ただでさえ、内部生同士では過去問とその解答が出回っていたり、ノウハウが先輩から後輩に伝えられたりしている。一方、私は一人で情報を集め、研究室訪問を何度かして、コツコツ情報を集めたり、徹底的に過去問の傾向と対策を分析したりしてきた。本番でも結果を残すことができた。
情報不足で悩んでいる外部生の方に少しでも助けになると嬉しい。

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