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A_016 伝わると伝えるの違い

ふと今日思ったことを表現と伝達という視点で考えてみます。

伝わると伝えるの違いです。辞書的な意味は、Google先生に委ねるとして、私感でそれぞれを綴らせてください。

1.伝わるということ

文字や言葉で表している通り、そのまま伝わるという意味です。僕の中では、解説や平易な言葉に置き換えずに、受け手が何かを見聞きしてその状態や情景、送り手の感情を理解することと解釈できます。
「今の説明でちゃんと伝わっていますよね」に対して、頷いてくれていること。「この絵画を見て、作者の思いは伝わっていますよね」に対して、頷くこと。
と思います。
ですが、「あの子、泣いているけどどうしたんだろう」に対して、「悲しいんじゃない?」「お腹減ったんだよ」「親とはぐれたんだ」というのは、泣いているという状況に対して、泣いている子の感情は「伝わっていない」となります。
表現において、心が動いたのであれば、何かが「伝わった」となるわけですが、解説がつかなければ理解されない場合は「伝わっていない」となるのです。
写真の場合は、何らかのキャプションや解説がなければ意味がわからないとなってしまうと、もはや伝わっておらず、消費されてしまったとなるのではないかと思います。どこかで見たような写真の羅列(この場合は、Instagramのギャラリーが主)になると、この人はこんな感じの写真を撮りたいんだなですかね。

僕の中では、訳がわからないんだけど「泣いちゃうんだ」っていう写真は、伝わっていると思っていて、そこに撮影者の解説は不要と考えています。撮って見せるのであれば、ここで完結です。

2.伝えるということ

こちらは、一つレベルが上がります。伝わっていない物事に対して、もしくは、個人の受け止めた感情とは違う枠での送り手の思いを正しく理解してもらうことが伝えるです。作品性の解説や、ノウハウを教えることがそれに当たると考えます。
誰かに教える上では、「感じろ!」よりも「こうやって感じるものなんだよ」と教えることになります。教えても、相手に腹落ちしてもらわなければ「伝わって」おらず、伝えたことにならない点が難しいところです。

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誰かに教えることを前提の研修や教室は、伝え手のスキルや語彙力(ここでは生活語彙)に依存します。つまり、どんなに世界観が素晴らしくても、こと教える・伝える点においては、苦手な人もいるということです。

3.伝達主義と到達主義

SNSにおいて、TLを流れていく言葉や映像、写真は、いずれかに該当するのではないでしょうか。僕の場合は、ほぼ毎日投稿を行い伝達をしている。閲覧者の心を捉えているかはわからない(残らない)場合が多いと思います。
正しく(もしくは受け手の解釈で)心を動かせていれば、到達(伝わっている)と思います。
作家性だけに着目するのであれば、投稿(=伝達)し、幾人かの心に響けば(=到達)良いわけです。解説領域のいらない、本当の「伝わる」です。仕事であれば、特定多数に配信するメールなどは、配信業務を終えれば「仕事」として完結し、報告時にも全員にメールしました(伝えました)。で完了。しかしながら、伝達した内容が履行されなければ、仕事としては未完成で、相手に伝わり、行動を変えていなければ、完了したことにならない。一つの伝達に対して相手がどこまで心を砕いてくれるかが仕事の完了具合となります。常々、難しいことですが、時間をかけて直接コンタクトを行うことで到達は可能です。SNSでは、受け手に対してコンタクトを全数行うことは場合によって無理な話。相手にリーチするには、アプローチから考える必要があります。

4.どちらでいたいのか

しかし、どうしてこんなことが頭をよぎったのかというと、伝える・伝わるで似た言葉ですが、実態があまりにも違うということ。僕の仕事の性質上、伝えるではやる意味がないのです。伝えて、その通りに行動を変えてもらう、行動の変化につなげてもらう、何かのきっかけにしてもらうことが必要なため伝わることが大前提。

では、SNS界隈で、どれだけの人が伝わるものを提供できているか。そこに考えが置き換えられました。投稿については、伝わるものを。オフラインで何かをやるときは、伝えることを意識しようと。数をこなせば伝えるのは上手くなりますが、伝わるまではかなりのスキルや経験値が必要です。平易な言葉や表現とは、自分が持つ生活語彙力が相手の生活語彙とイコールになる必要があるからです。
言葉を持たない人は、永遠に相手に到達することなく、伝え続けていると思うと悲しくなります。幸い、写真をやっている人はカメラという共通言語を介して伝えることができます。ですが残念なことに、カメラを使い始めた人にはカメラについての専門用語は共通言語とはなりません。だからこそ、生活語彙力の豊さや相手に対する傾聴力が必要となり、ひいてはコミュニケーション力の高さが相手に届ける上では欠かせないですね。

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写真を始めた人に、少しでも写真の魅力が伝えられたらいいなと最近は思うようになっているので、楽しむには、どうやったら自分が撮りたいと思った写真が撮れるのか(作家的な要素のぞく)ヘタクソなりに色々と考えてみようと思っています。

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