どこか遠くへ飛んでいきたい
この間、半年付き合っていた彼にフラれました。
年下で、なのに全然年下って感じがなくて、彼は不思議なくらい自然体で、彼くらいの年齢だったら自分を大きく見せたいと思う人が多い中で、彼は全然見栄を張ることもなかった。
そんな彼の前だからなのか、私も自分らしくいられたし、彼の前にいる自分の姿が好きだ、と思えるくらい、居心地の良い関係だった。
私がいやだと思ったことをはっきりと言う性格なのをちゃんと理解していて、でもそれに対して言い訳や屁理屈を言うことがない人だった。
彼のそんなところをずっと尊敬していたし、どんな時もちゃんと向き合おうと、理解しようとしてくれる人だったし、私はずっと一緒に過ごしたい、過ごせるものだと思っていた。
でもそれは、ただの私の独りよがりだったのだろう。
彼は、私と歳が離れていること、私の周りがみんな結婚、子ども、とライフステージの変わるタイミングだったこと、そして彼の周りにいる同僚や同期が「ちゃんとこの先のことを考えているのか」と聞かれることに、罪悪感とプレッシャーを感じていた。
だから、もう、別れる。と。
それを聞いて、正直、とってもショックだった。
なぜそれに悩んでいたことを話してくれなかったのか。
私は、結婚がしたいのではなく、ずっと彼と一緒に過ごせるなら、それで満足だった。
この歳になると、一緒に過ごす=結婚 とは必ずしもならず、むしろ色々な形がある、ということを理解できるようになるし、実際に周りで様々な形で関係を結ぶ人たちがいることを見ている。
けれど、彼はまだそのことを理解できなかった。
というより、近くにそういう事例があったり、話を聞いたりすることがなかった。
だから、
今後も長く一緒に過ごす=結婚をすること
と考えていたし、
自分には到底、そんな責任は負えないと思っていたようだった。
私の思っていることを確認せず、彼は決めてしまった。
正直そう思ってしまうことについては仕方ないと思う。
でも、別れることを自分で選んだのに、最後に「別れはしょうがない」と彼はまとめた。
考えれば考えるほど、納得いかない理由だよな、と思ってしまう。
でもそれは私がそれなりにいろんな考えができるようになったから余計にそう思うのかもしれない。
•••••
こんな複雑な感情の中、この世の中を生きていくのは至難の業だ。
街を歩けば、幸せそうなカップルや家族が歩いていたり、若い学生たちが友達と仲良くしていたり、仕事で成果を出して嬉しそうな同僚がいたり。
だから今、私は、どこか遠くへ飛んでいって、全然知らない景色を見たい。
自分に全く縁のなかった世界へ、自分のことを知らない人たちの中で、relationshipとか仕事のこととか未来のこととか、全部複雑で乱暴な感情を捨て去って、飛んで行きたいんだ。
新しい景色を見に。未知の文化に触れるために。
自分をアップデートするために。
Fin.
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