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立憲民主党の課題 No.4 支援者の組織化 ~ 2021 衆議院選挙の結果を受けて

 事情あって、9割完成くらいで投稿しました。今後多少書き直す可能性があります。

 党員、協力党員数と地方議員数

 最初に、立憲民主党の組織の現状について知るために、党員、協力党員数と地方議員数について見ておきましょう。2021年の衆院選後に行われた、立憲民主党の代表選挙の際に、党の代表選挙管理委員会によって2021年11月16日に発表された、「有権者数に関する公告」https://cdp-japan.jp/news/20211116_2573 によると、党員・協力党員有権者数100,267人、地方自治体議員有権者数 1,265人です。最初、総務省のホームページで公開されている政治資金収支報告書で見ることができないか、と思って見てみましたが、各年度の記載は、「個人の負担する党費又は会費」の欄の「金額」、「員数(党費又は会費を納入した人の数)」が、平成30年度(1)*、令和1年度(2)*、令和2年度分(3)*についてそれぞれ、「4,013,000円、8026人」、「2,808,500円、5617人」、「59,000円、118人」となっています。それで令和3年11月の党員・協力党員有権者数100,267人なのですから、政治資金収支報告書の党費の支払者数の扱いは、各年で異なっているとしか考えられないので、これらの数字は、党員、協力党員数の把握には役立たない可能性が高いように思います。ちなみに政治資金収支報告書では、平成30年から令和2年まで、時間が経つにつれて金額、員数共に少なくなっています。私の誤記ではありません。とりあえず、2021年11月時点で、党員・協力党員有権者数100,267人、地方自治体議員有権者数 1,265人、ということだけを把握しておくのがよさそうです。
(1)*https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20191129/0000900225_01.pdf 
(2)*https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20201127/000080_01.pdf 
(3)*https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20211126/000080.pdf

 その他、党員数について、ネットで調べて出てきた記事としては、にいがた経済新聞の2021年3月13日の記事 (https://www.niikei.jp/56339/) があり、これは立憲民主党新潟県連についての記述ですが、「現状、県連の党員数は400人で」とあります。なお、「立憲民主党には、党員と協力党員(サポーターズ)があり、党本部では10万人の党員獲得を目標にしている」という記述もありますが、2021年11月の代表選の党員・協力党員有権者数は100,267人なので、これは達成されていることになります。また、立憲民主党新潟県総支部連合会のホームページの2021年07月10日の記事(https://www.cdp-niigata.com/2021/07/10/%E5%B8%B8%E4%BB%BB%E5%B9%B9%E4%BA%8B%E4%BC%9A%E3%80%80%E5%85%9A%E5%93%A1%EF%BD%A5%E5%8D%94%E5%8A%9B%E5%85%9A%E5%93%A1%E3%81%AE%E4%B8%AD%E9%96%93%E9%9B%86%E8%A8%88%E3%81%A71500%E4%BA%BA%E8%B6%85/)には、「党員・協力党員の登録数をこのほど中間集計し、1,500人超となったことを公表しました」、「引き続き第2次登録締切の8月28日に向けて、目標の3,000人以上の達成を目指す」、とあります。立憲民主党の地方組織の中で、新潟県連が組織化率でどのレベルにあるのか分かりませんが、全体を見るヒントにはなると思います。

 独自メディアをつくるべき (アプリを検討すべき)

 さて、政党の運動や支援にほとんど関わったことのない、私がこの項目について私がお話しできることは限られると思いますので、私が考えることのうち、中心的なことからお話します。

 私が立憲民主党の組織について強く思うのは、立憲民主党も、共産党が赤旗でやっているように、独自メディアによって支持者を固定化するということをやればいいのに、ということです。具体的には、立憲民主党のスマホアプリのようなものを作り、毎日とか、一週間に一回とか、立憲民主党の支持者が定期的に、立憲民主党に関する情報や、立憲の政治に関する見方に触れるようにする、そして且つ、一部定額課金の形で収入源にする、ということです。そうすれば、党の支持基盤が安定し、かつ財務基盤も強化される、と思うのです。

 立憲民主党を応援している文化人は、それこそ無数にいるので、ボランティア的にか、または安い出演料で独自メディアに出演してもらって、そのコンテンツで多くの人を引きつける、ということが考えられます。

「創価学会と共産党」週刊ダイヤモンド編集部 ダイヤモンド社、という本によれば、少し古いですが、共産党の2015年の「赤旗」などによる収入は、実に約190億円、ということです。(150ページ) たいへんな額です。2021年に立憲民主党に交付された政党交付金の額は、約68億9千万円です。共産党は「赤旗など」によって実にその2.7倍以上の収入があることになります。立憲民主党の支持層と潜在的支持層は、共産党よりずっと厚いと思いますので、うまくやれば、立憲民主党に渡っている政党交付金と、同額程度くらいまでは独自メディアでの一部課金などで集められる可能性がありそうです。

 前掲書によれば、2014年1月の共産党の党大会で発表された赤旗の発行部数は、約124万部。日曜版は約100万部だそうです。党員30万人の数を引くと党員以外の読者が約70万人いる、とのこと。(152ページ)赤旗の日曜版は一カ月930円です。これから考えれば、立憲民主党も党員やサポーター以外の層にも、このようなアプリや新聞を、党員、サポーターの二倍くらいまでの人に購読してもらえる可能性はありそうです。赤旗は、新聞を購読する習慣が今よりずっと多かった時期、また政治意識も今よりずっと高かった時期から発行されている歴史のある新聞ですので、立憲民主党が今から同様のことをアプリで始めても、現在の赤旗ほどにはうまくいかない可能性が高いと思いますが、配達、印刷等の手間のかからないアプリであれば、料金を930円ではなくて、もっと安くできそうですし、共産党より支持は薄いと思われるものの、支持層の範囲は共産党よりだいぶん広いと思いますので、共産党の赤旗等による収入に近いところまでの収入が得られる可能性はある程度あると思います。

 選挙の時や、特定の時事問題について世論が高まって立憲民主党への期待が高まった時など、一時的に立憲民主党を支援しなければ、という気分が有権者の間で高まった時に、半分寄付のような気分で、これらの立憲民主党アプリコンテンツを購読してもらえば、よいと思います。200-300円程度の購読料に設定されていれば、その程度の少額だと特に大きな不満がない限り、そのまま継続される可能性が高いのではないでしょうか。それに成功すれば、安定した党の収入源になります。折に触れて、見てもらうことまでできれば、購読して実際にもたまにコンテンツを見る人の間では、立憲民主党に対する理解は、大手メディアを通した、ともすればネガティブなトーンの記事を通して見ている場合よりはるかに深まるでしょう。

 その意味では、立憲民主党は、2017年の衆院選挙で、結党直後に議席数が躍進した時に、絶好の機会を逃した、と思っています。あの時に、いまお話ししたようなアプリを作るか、少なくとも結党趣旨に共感した人が積極的に集まれる仕組みを作っていれば、あの時の熱がその後も持続した可能性があります。みんなが何かしたい、と思っている時に、多くの潜在的支持者をみすみす解散にして、ただの個人に戻してしまった、という感じがあります。

 支援者を組織化できなければ、連合に頼るしかない。
 
明かなことですが、支援者を組織化してしっかりした地方組織を作ることができなければ、選挙時や平時の運動は、連合に頼るしかありません。立憲民主党について連合の言いなりだ、と思っている人がいますが、実際にはそうでないとしても、選挙や日頃の運動での連合への依存度が高ければ、当然連合の意向に配慮せざるを得ず、政策や党運営の選択の幅は大きく狭まります。

 ここから先の二段落は、まったく政治運動に関わったことのない方のためにお話しするものです。実際に選挙運動を少しでも手伝ってみれば、すぐ分かりますが、連合や、創価学会のような、組織のついていない選挙は、ついている場合と比べて、全く比較にならないくらい頼りなく、心細いものになります。私は、公明党が支援した候補の選挙を手伝ったことがあります。その時の経験では、公明党の人たちが来ている時と、来ていない時では、熱気に天と地の差があるように感じました。演説会などを開いても、公明党の人たちがいなければ、閑古鳥が鳴いたような感じになってしまうのです。

 実際の選挙運動をしても、国政選挙であれば、公のポスター掲示板にすべてポスターを貼り終えるだけでも相当の苦労です。貼ってある、ということはそれを一枚、一枚貼っている人がいる、ということです。選挙と言えば、ビラを駅頭で配ったり、各戸のポストに投函したり、電話かけをしたり、ということが行われています。あんなものどうでもいいのではないか、と思われる方もいるかもしれないですが、やらない場合と比べて明らかに効果があるからこそ、各候補ともたいへんな苦労をしてあれをやっているのではないでしょうか。皆さんご存じのように、選挙のたびにビラ配りなどに報酬を払ったことによる選挙違反者が出ています。今調べてみたところ、ウグイス嬢、選挙カーの運転手、事務所での事務員、などは届け出すればアルバイトとして雇う(人数制限あり)ことはできますが、電話かけ、ビラ配りなどは報酬を払って雇うことはできません。ですから、選挙運動は、基本的にボランティアで行う他ありません。


 人間関係の場がなければ支持基盤は難しい

ここまでお話ししてきましたように、政党が安定して存立しうるには、無償で働いてくれる、または支えてくれる安定した組織が必要と思われます。無償で働く、と言っても、「言うは易く行うは難し」です。皆自分の生活で忙しく、自分の時間を削って半日なり一日の時間を政党のためのボランティアの仕事に無償で捧げてくれる人は1000人に1人程度、というのが現実ではないかと思われます。しかも、長期に、安定的に、となるとさらに一桁、二桁少なくなってしまうでしょう。そこで、創価学会とか、連合とか、自民党の支持基盤である業界団体などの出番となります。これが現実です。自分は特に何もしないで、立憲民主党は「連合のいう事ばかり聞いて」などというのは、机上の空論というか、じつは無責任でいい加減な態度のように思われます。私は、創価学会に支持された公明党は、自民党の補完勢力になっていると認識していて、基本的には反公明党ですが、それでも、政党があたかも空中に単独で存在しているものであるかのごとくに、自分は何も労働を提供していないのに、やや嘲笑的に立憲民主党などを組織のいう事ばかり聞いて、というように批判している人たちと比べると、まだ無償で自分の時間を政治のために使っている創価学会の人たちに、まだより共感を感じるくらいです。

 組織は、紆余曲折も経ながら、時間をかけて段々大きくなっていくもので、一朝一夕にできるものでありません。税金から給与が支払われフルタイムで仕事のできる、組織の核となれる地方議員の数にも左右されます。2017年の結党以来の立憲民主党を見るに、あまり地方組織や支持基盤を大きくすることに特に力を入れてきたように見えません。あるいは、本当は地方組織作りにたいへん苦労していたが、第三者に見えないだけなのかもしれません。特に支持者を組織化、固定化するというか、固めて離さないようにすることには大きなエネルギーが使われてきていないような気がします。

 政治関係の組織作りは一般の人が考えているより難しいです。先にお話ししたように労力を安定的に無償提供できる人が少ないということもありますし、色んな人が入ってきてしまい、かき回されるというか、声の大きい人、押しの強い人の力が強くなったり、問題のある他の組織にも属している人も成員になってしまう、というような事もあります。その場合、会社のように雇用関係があるわけでもないですし、基本的に無償なので、従わない事による経済的損失もないわけですから、上意下達による問題解決も会社のようには簡単にいきません。また、無償で働くためには情熱がなければいけない、ということと、政党の組織であるから当然強い政治的意見を持った人が多いため、いずれにしても強い意見や情熱でぶつかることも多くなります。単純に人手が集まらない、ということ以外に、往々にして起こるこれらの問題をひとつひとつ試行錯誤しながら解決しつつ、少しづつ大きくしている、というのが多くの地方組織の現状ではないかと想像しています。

 私が思うに、必然的にボランティアに頼らざるを得ない政党が、その基盤を確立するには、人間関係によって繋がった場ができることが必ず必要であるように思います。人間関係ができることによって、お互いの間で参加に対する促しもできるし、私がいかなければみんなに悪い、という気持ちも出てきます。また、いろいろ話をすることによって、政策的にも一定の傾向がでてきます。各民族や国民の性格を変えることがひじょうに困難なのは、各民族、国民とも、人間関係で繋がった場を形成していて、お互いに影響しあって、一個の強固な塊を形成しているからだと思います。まあ、言ってみれば、一人が欠けても、類似のものが出てくるプラナリアのような性格を帯びているからと思います。政党の組織もおそらく、人間関係によるそのような状態が作られて初めて安定してくるものと思います。バラバラの個人が、単に一般的な概念とか理想で繋がっているだけの状態は脆いものだと思います。もし、そうなら、定期的に会ったり、行動を共にしたり、親睦したり、というような「場」が安定的に存在していることは、様々な大きな動揺を乗り越えていかなければならない政党にとってとても大事なことと思います。そして、意識的に組織化、人の繋がりを作っていくことは、立憲民主党を力のある安定した国民政党にしていくために重要なことと思います

****************************************************************   終わり

    以下、No.10 辺りまで予定で、順次発表しているものです。

立憲民主党の課題 No.1 政策の重点のズレ ~ 2021 衆議院選挙の結果を受けて
立憲民主党の課題 No.2 批判と政策広報の割合 ~ 2021 衆議院選挙の結果を受けて
立憲民主党の課題 No.3 有権者とのコミュニケーション不全 ~ 2021 衆議院選挙の結果を受けて


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