オリジナル曲と思ったら大間違い
久しぶりに音楽系の記事を執筆しますが、今回のタイトルは・・・
「オリジナル曲と思ったら大間違い」
について取り上げていきます。
皆さんが何気なく聴いているその曲、特にカバー曲やサンプリング曲については元の曲が何なのかを調べた方も多いはず。
しかし、あなたが思っていたオリジナル曲は「間違いだった!」と言う事も。
今回は本当のオリジナル曲はこちらと言う事をお伝えしていきます。
1:Can't take my eyes off you
1つ目は数多くのアーティストにカバーされている「Can't take my eyes off you」、邦題は「君の瞳に恋してる」ですね。
直近では三代目 J Soul Brothersなどがカバーされているぐらい結構有名な曲です。さて、この曲のオリジナルは大半の方がアメリカのディスコバンド「ボーイズ・タウン・ギャング」の曲だと思っている方もいる筈。
本当のオリジナル曲はボーイズ・タウン・ギャングでは無いのです!
正しいオリジナル曲はこちら。
1967年にフランキー・ヴァリさんが発表した楽曲。こちらが正式なオリジナル曲。フランキー・ヴァリさんはフォー・シーズンズのメンバーでしたが、この曲はソロシングルとして同年4月に発売されたものです。
今から約55年前の曲なので、60~70代の方は恐らくこの曲を実際に聴いたことがあるかも知れませんね。
因みにボーイズ・タウン・ギャングが出したシングルは1982年。オリジナル曲を発表してから約15年後の事でした。
オリジナル曲をディスコ調にアレンジした楽曲は日本やイギリスで大ヒット曲となり、日本のオリコン洋楽シングルチャートでも3週連続第1位(1982/12/6~)を獲得するなど、80年代の洋楽では非常に人気の高い楽曲となりました。人気楽曲だった影響からこちらをオリジナル曲と思っている方がいらっしゃるのかも知れませんね。
2:Hooked on a feeling
2つ目も洋楽となりますが、「Hooked on a feeling」。
カバー曲については洋楽アーティストが多く、日本のアーティストだと例は少なめ。
大半の方は冒頭の「ウガ、チャカ」の歌詞が病み付きになりそうなブルー・スウェードの楽曲がオリジナルという方も多いと思います。
確かにこちらの楽曲は日本のTVCMでも使われていましたね。
本当のオリジナル曲はブルー・スウェードでは無いんですね~
オリジナルはこちら。
1968年にB・J・トーマスさんが発表した楽曲がオリジナルなのです。
ブルー・スウェードの楽曲と異なり、「ウガ、チャカ」の歌詞はありません。もしかしたらブルー・スウェードよりもB・J・トーマスさんの方をご存じの方もいらっしゃる筈。
「ウガ、チャカ」の歌詞が入っているものは、1971年に発売されたジョナサン・キングさんの楽曲からになります(下記動画参照)。
ブルー・スウェードの楽曲は1974年の事で、オリジナルを発売して6年後に発売されました。オリジナルよりもこちらの方がよく売れ、全米シングルチャートで第1位を獲得しました(オリジナルは第5位)。楽曲はジョナサン・キングさんのものをベースにしているようです。
先ほどの「Can't take my eyes off you」同様、人気楽曲だったからこそこちらをオリジナルと勘違いしてしまった方も多かったのでしょう。
3:Turn it into love
3つ目は「Turn it into love」。日本ではアイドルデュオWinkがカバーしたことでも有名です。邦題は「愛が止まらない」。
Winkのシングルは1988年(昭和63年)に発売していますが、この曲の元はこちら。
オーストラリア出身の歌手、カイリー・ミノーグさんの「Turn it into love」。
確かにこちらが大元かなと思う方もいますが、実は同時期に別のアーティストが同じ曲を歌っていました。
イギリスの歌手、ヘイゼル・ディーンさん。
歌詞は同一ですが、80年代のユーロビートでもハイエナジー(Hi-NRG)寄りの楽曲に当たるため、カイリーさんのバージョンと聞き比べるとその違いは明らか。こちらの方がカイリー版より強めに歌っています。
さて、オリジナルはどっちか?と言う事になりますが、
ヘイゼル・ディーンさんと思った方は大間違いです。
実はカイリー・ミノーグさんの楽曲がオリジナルだったんですね。
3つの楽曲共に1988年に発売されており、日本ではヘイゼル・ディーンさんが9月24日、カイリー・ミノーグさんが12月21日となっています。
因みにWinkのシングルは11月16日。1か月ほど遅れてカイリー・ミノーグさんのバージョンがリリースされた背景としては、日本限定でシングルカットされてリリースしたのが12月21日となってしまったわけです。恐らくWinkのカバー版がヒットした関係で、オリジナルを聴きたい方の需要に合わせレコード会社がGOサインを出したのでしょう。
ヘイゼル・ディーンさんの楽曲をオリジナルと勘違いしてしまう理由は、日本における発売日がカイリー・ミノーグさんよりも早かったことが挙げられます。
通常、カバー曲はオリジナル楽曲の著作権有効期限切れ以降にリリースする傾向が高いのですが、同年でオリジナル曲とカバー曲が入り乱れるのは異例と言えます。
4:Venus
4つ目は「Venus」。日本では長山洋子さんの楽曲と言うイメージが大きいでしょう。
長山洋子さんのバージョンは1986年10月21日に発売していますが、このバージョンを聴くと恐らく大元はこちらだと思う方が多い筈。
バナナラマのバージョンです。
こちらも1986年に発売されていますが、さてこれが本当に元の曲なのか・・・?
いいえ。元の曲はこちらなんです。
オランダのロックグループであるショッキング・ブルーなんですね。
こちらは1969年に発売された楽曲であり、バナナラマ版の17年前に当たります。バナナラマ版はユーロビート調にアレンジをかけているので、オリジナル版とはまた違った雰囲気となります。
長山洋子さんのバージョンは同年に発売されたバナナラマ版がベースとなっているため、元はバナナラマの楽曲だと思ってしまう方も多いかと。
オリジナル版のカバーは例がないため、どうしてもバナナラマ版が強く出てしまうので、この様な結果を生んでしまうのでしょう。
5:I only want to be with you
5つ目は「I only want to be with you」、邦題は「二人だけのデート」です。
この楽曲も複数カバーされており、どの楽曲が大元か迷ってしまうかと。
楽曲によってはタイトルが「I only wanna be with you」の場合もあります。
まずは1988年に発売されたサマンサ・フォックスさんのアルバム「I Wanna Have Some Fun」に収録された楽曲。ユーロビート調にアレンジされています。
続いて邦楽からTommy February6さんの楽曲。BGMから推測するとサマンサ・フォックスさんの楽曲がベースのようですが、全体的にポップな感じにアレンジされています。
さて、この楽曲の大元ですが皆さんは下記2つのどちらが正しいでしょうか?
ベイ・シティ・ローラーズ
ダスティ・スプリングフィールド
答えはダスティ・スプリングフィールドさんの方なんです。
ベイ・シティ・ローラーズ(1976年発売)の方が大ヒットしたおかげでこちらを大元としている方もいますが、正しくは上記の通りとなります。
ダスティ・スプリングフィールドさんのバージョンは1963年発売で、こちらが何とデビュー曲だったんです。デビュー曲が後に多くカバーされるのはこれまでも多くの例がありますが、60年代アーティストのデビュー曲と言うと邦楽・洋楽問わず鳴かず飛ばずになる関係が多いからか、殆ど例はありません。しかしこの曲は例を作っているから驚き。1976年のベイ・シティ・ローラーズが発売した楽曲から急激に増えたと見て宜しいかと。
後に売れた楽曲からカバーが増えた関係で、大元をベイ・シティ・ローラーズだと勘違いしている方もいるかと思いますが、その前があったと言う事は覚えておきましょう。
最後に
今回は「オリジナル曲と思ったら大間違い」についてお届けしました。
邦楽は中々例がないため洋楽のみとなりましたが、邦楽でも例がありましたら探してみようと思います。
この記事はここまで。最後までご覧いただきありがとうございました。