結婚しないし子供は産まない、いまんとこ。
29歳になった。
「いつ結婚するの?」と聞かれることが増えた。
圧倒的に、増えた。
「今のところ予定はないですね」と答えると。
「子供を産むなら早い方がいいよ」と言われた。
結婚しなくても子供は産めるし、わたしがいつ、子供が欲しいと言っただろうか。
「子供が産まれると世界が変わるよ」
そうなんですね。
わたしの世界に、今のところわたしの子供はいないけれど、わたしの世界は毎日目まぐるしく変わり続けています。
ご心配には、及びませんよ。
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わざわざ自分で選んで、赤の他人から”家族”になった人の悪口を、垂れ流さないで欲しい。
「自由がなくなった」と言うのなら、今すぐ”家族”を手放してしまえ。
莫大なお金をかけて、永遠の愛を誓ったのではないのか。
守れない約束なんて、簡単にするもんじゃないよなあと、”幸せ”を手に入れたはずの人たちを見ておもう。
申し訳ないけれど、わたしの方がよっぽど幸せそうじゃないかしら。
みんな、自分を、どこかに遠くに、置いてきてしまったみたいだ。
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自分より大切になり得る命を、この世界に産み落とすなんて出来ない。
こんな腐った世界を、おそらくわたしが死んだあとも生きねばならぬのだ。
それがわかっていて、自分より大切な存在を誕生させることなんて、わたしには出来ない。
こわくて堪らない。
わたしの意志とは別に、やりたいことをたくさん抱えて生きるであろう彼/彼女を、わたしは守りきれる自信がない。
希望が持てないくらいには、世界に傷つけられて生きてきた。
そういう人たちを、たくさん看取って見送ってきた。
わたしは、わたしに忙しいから。
わたし自身を、今日一日生かすだけで精一杯なのだ。
死なない理由と、生きている赦しを与え続ける毎日の、一体どのあたりに、他人を滑り込ませることができるだろう。
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世界は、腐っている。
わたしは、狂っている。
だからわたしは、結婚しない。
だからわたしは、子供は産まない。
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Photographer : Yukihiro Nakamura