麻雀AI「Mortal」に一致率が実装! Ver1.1.10リリース!
みなさまどうも、Mortalを使い始めて以降、麻雀している間ずっと背後にイマジナリーMortalの怒声を聞き続けている最高級牛肉です。
先日その使い方のnoteを書いた麻雀AI「Mortal」の新バージョンが8/14にリリースされていたので、簡単にご紹介いたします……と言いたいところですが、その前に。
表題含め、直感的分かりやすさを優先してあえて正確ではない表現を用いたことをこっそりお詫びいたします。正しくは「麻雀AIであるMortalをエンジンとして用いて牌譜検討を行うツールであるmjai-reviewerのバージョンが1.1.10になり、一致率が実装されました!」です。
Metadataの変更点
Mortalの最もメジャーな使い方を2点挙げるとすれば、以下のようになるでしょう。
・ratingを確認する(平均値を取って実力を客観視する)
・Mortalの打牌との一致不一致を詳細から確認する
今回リリースされた新バージョンでは、Metadataの項目に「matches」、つまり「一致率」が追加されたため、後者についての概要が一目で分かるようになりました。便利!
(隠された意図/効果として「ratingは一致率ではないよ」と認識してもらう/誤解をさせない、というものもある気がします)
・engine:使用エンジンのバージョン情報も記載されるようになった
・loading time:表記が簡易になった
・review time:同上
・matches/total:新規追加。Mortalの打牌選択とプレイヤーの打牌選択の一致数/総数、および一致率
天鳳初段、雀魂雀傑の筆者が自分自身の直近10戦の牌譜でざっと確認してみたところ、ratingの平均=82.8、一致率の平均=71.8%で、ratingと一致率の相関係数は0.90でした。当たり前っちゃ当たり前ですが、強い正の相関です。つまり、ratingが高いほど一致率も高くなるし、その逆もまたしかり、というわけです(※1)。
引き続きratingは注視しつつ、今後はさらに一致率も確認して、両方とも高ければOK。どちらかの数字が低かったり、どちらの数字も低めだったりしたら詳細で深掘りしていく、といった形で使うのが良さそうですね。
※1:ratingは高めなのに一致率が低めな場合は「一致率は低めだったが、Mortal的第2候補との一致が多く、また第1候補と第2候補の推奨度に大差はついていないことも多かった」といったパターンが、逆に、ratingは低めなのに一致率が高めな場合は「全体的には一致率が高めだったが、Mortal的第1候補と圧倒的大差のついた非推奨な打牌の選択も多かった」といったパターンが想定されます。いずれも誤打の重さ・軽さの問題ですね。
寄付用のリンクの追加
ver.1.1.10より、Mortalおよびmjai-reviewerの開発者であるEquim氏に寄付を送れるサイトへのリンクページが追加されました。
Equim氏いわく「Mortalのコーディングと機械学習には趣味の領域と予想の双方をはるかに超えた額の費用がかかりました。ご寄付いただければ幸いです」とのこと(※2)。
無料のツールとは言っても、開発費用はもちろん、運用しているサーバの維持費用もかかります(※3)。つまり、Equim氏が多額の費用を負担しながらツール開発をし、なおかつ運用維持費まで支払うことで、我々が無料で利用させてもらえている、というわけです。
こうした便利なツールを無料で使えるのはひとえに開発者の方々の情熱によるものであり、その炎が消えてしまえばツールも消えてしまいます。
こういったものに対する寄付は得てしてサーバの維持費用にも満たないことが多いかもしれませんが、あなたが贈った1杯のコーヒー代は、開発者の方々の情熱の炎が燃え続ける時間を確実に長くしてくれることでしょう。
Equim氏への寄付は1口2ドルから行えます。あるいは天鳳の有効期限もプレゼントすることができますので、余裕のある方は是非。
※2:参考までに、2020年度の将棋AIの世界大会で優勝したソフト「水匠2」はCPU代と電気代に100~200万かかったそう。機械学習はとにかく膨大な量のデータを処理する必要があり、そのためには高性能なCPUとそれを長時間動かし続けるための電気代がかかる、という話の具体例のひとつ。
※3:ちなみに、Mortalおよびmjai-reviewerは雀魂牌譜屋のEDWARDH氏の自宅サーバで運用されているっぽいです。とは言えEquim氏がEDWARDH氏にサーバレンタル費用を支払っている可能性もあるでしょうし、そもそもここまでの開発にも多額のコストが発生しているそうですので、是非是非Equim氏にコーヒーを!
おまけ:ratingの目安
前回のnoteで何故か入れ忘れてしまったのですが、雀魂の魂天である麻雀Vtuber南風乃てつん氏が雀魂の段位別のMortalのrating平均値を調べたツイートをされていました。
めちゃくちゃ参考になります! ありがとうございます!
また、それに付随して雀魂牌譜屋のEDWARDH氏も補足説明をしてくださっています。
つまり、ラス回避麻雀である鳳凰卓七段配分で学習したMortalは、連対狙い麻雀である雀魂魂天配分には最適化できていない可能性が高く、魂天の人のMortalのratingには実力よりも低い評価が出されてしまうだろう、という話でした。
……それでも雀聖3より明確にrating平均値が上なんだから、魂天がいかに強いかって話にもなりそうですね。