ワクチン接種に二の足を踏む
新型コロナウイルスに対するワクチン接種後の重症アナフィラキシーが疑われる症例について、話題になっている。
正確な情報を持っていない(その場で対応したわけでもない)上に、もともとニュース・報道が苦手でなるべく避けるようにしているので、実際のところどうだか分からないけれど、正直もうワクチンに関わりたくないなと思ってしまった。打たれる側としても、打つ側としても。
1. 慣れない環境で慣れない業務をする
ワクチン接種が始まった頃、人員確保のためにありとあらゆる部署に召集令状が来た。実際参加もした。最初は医師が接種していたし、通常の外来では対応したことがない人数をひたすら捌くのにとにかく疲れた。
環境としてもよく知らない行政スタッフやイベント会社スタッフが仕切っており、看護師も初見。会場も病院じゃないこともある。
ちなみにスタッフとして参加した過去計3回とも当日集合時間に行くも部外者だと勘違いされて門前払いされたり、待合に誘導されたりした(医療スタッフに見えない見た目のようだ)。勤めていた病院が会場だったときが一番ひどく、説明しても分かってもらえなかったので、裏口から入り直す羽目になった。そんなこんなで開始前から余計なイライラを募らせる仕組みになっている。
すなわち、慣れない環境で普段と違う仕事内容(少なくともワクチン専門医ではないので)をするのはそれなりに負荷が強いのだ。
2. 「安全」であることが当然のこととして求められる
薬剤だからアレルギーは当然存在しうるし、副作用(と一般的には言いそうだけど、なぜワクチンは副反応なんだろう。治療薬じゃないからか?)もありうるが、受ける人たちは「安全」が担保されているものと思っている。
自分だって、ワクチン打つのに副作用を気にしたことは今まであまりなかった。予防のために投与する薬で体調を崩したらかなり残念だ。気持ちはわかる。
これは今回のコロナワクチンに限らず、日本人の認識としては根強いと思う。子宮頸がんワクチンが最近再び接種勧奨対象になったけれど、このワクチンが忌み嫌われていたのも、関連性がよくわからない副反応が取り沙汰されていた影響だった。
「安全」が前提とされるお産とワクチン
「安全で当然」で思い浮かぶのがお産だと思う。日本の妊産婦死亡率も新生児死亡率も世界トップレベルの低さのはず。
社会的にとても子育てができると思えないような子供同然の妊産婦や、「避妊に失敗」して妊娠というパターンがそれなりにあるのは、妊娠・出産が安全なものだとみんな思ってるからだと思う。
実際は本当に大変。命がけすぎる。どれだけ低リスクのお産でも(非専門家のわたしは)緊張してしまう。
そんな大変なお産を「安全で当然」にするために、どれだけの医療スタッフが身を粉にして支えてきただろう。長年の研究、改善、マニュアル化。徹底されたガイドラインの順守。標準レベルの安全なお産を一律化させ、国内津々浦々で提供。そんな中不幸にして起きてしまった死亡や後遺症症例には訴訟の対応も…。想像するだけで敬意しかない。わたしにはできないから。
ワクチンにここまで徹底した対応がなされてきていただろうか?と思う。
未曾有のパンデミックに対抗する方法として画期的な手段であることには間違いないが、いつまで続けるのだろうと思ってしまう。重症化すると根治的な治療方法がない以上、死亡のリスクもあり、とにかく早くワクチンを普及させて重症化リスクを下げて死亡者数を減らしたかった初期と、原因ウイルスが変異を続け、重症症例は相対的に減少してきた一方、無症候・軽症の感染者の増加による集団免疫もある程度ついたであろう現在とで、同じ対応になるはずないのに。突貫工事で仕立てた体制でいつまでワクチンを提供し続けるのだろう?世界的に見てもまだみんなワクチンを打ち続けているのか?
状況が変われば対応が変わるのは当然なのに、この国の民族は後方視的な一貫性を重要視するし、結果論が大好きで辟易する。
「失敗の科学」を読め
今回の不幸な症例に関しては現場の対応のマズさもあったのだろう。その責任を責め立てたところで遺族の気は晴れるかもしれないが(とは言え晴れることはないと思うけど)未来には続かない。
未来のために必要なのは非難でも隠ぺいでも謝罪でもなく、失敗を認めて解析することだ。
なぜ生じてしまったのか、どうすれば防げたのか、そしてこれからどうすれば防げるのか。きちんと検証をした上で「個人の実力や裁量」ではなくて「システム」「体制」で改善策を編み上げていくしかない。ヒトがミスをすること自体はゼロにはできないのだから。
本当に安全神話を築いていくならば、現代のお産を支える甚大な労力と同等か、それ以上が必要になるだろう。それだけの労力を投資しても継続する価値がワクチンにあるのかどうかは疑問だけれど。
本音としてはこの国の行政や世論には期待できないから、個人的にはもう関わらずに自分と大切な人たちの身だけ守れたらいいなと引きこもりたい。
※1. ヘッダー画像は4回目の接種券。適応が拡大される直前に感染してしまい、まだ使っていない。「そういえばこんなもの配ってたな」の布マスクと一緒にパチリ。
※2. amazonリンクだけど特にアフィリエイトはない。
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