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キタカミ姉弟とわたし 碧の仮面プレイ感想
『ポケットモンスター スカーレット/バイオレット』有料追加コンテンツ『ゼロの秘宝』前編、『碧の仮面』をプレイしました。
その感想を手短〜に、手短〜に書いていきます。(いつも冗長になってしまうので自戒を込めて)
構成上ストーリーのネタバレがございますので、これから『碧の仮面』をプレイする予定のかたはお気をつけください。
プレイ中の感想
あらすじ。
パルデア地方のオレンジ/グレープアカデミー(ソフトにより異なる)に通っている学生であるプレイヤーは、DLCから初登場となる学校「ブルーベリー学園」と合同での林間学校に行くことになります。場所はパルデアの外にある田舎町「キタカミの里」。
里には三体のポケモンによる鬼退治の伝説が残っていて、『碧の仮面』ではその伝説の謎を追っていきます。
そしてキタカミの里で出会うブルーベリー学園の生徒、ゼイユとスグリ。二人は里出身の姉弟です。
姉のゼイユは出会ってすぐにプレイヤーを「よそ者」と見なしてバトルを仕掛けてくるほどよそ者が嫌いなようです。でもスグリに「バトルしたいだけ」と言われているため、本当はバトル好きなだけなのかも。ネモと会わせてみたい。
鬼を「悪いやつ」三体のポケモン(ともっこ)を「いいやつ」と断じるところ(そして実家の伝説を聞いてからの場面でも)、善悪二元論で生きてきた内面の素直さがうかがえます。
ただゼイユが外へ向ける態度は素直とはいえず、オリエンテーションで猫を被ったりプレイヤーやスグリにつらくあたってみたりとなにかと嫌らしい態度をとります。
勝気でイキりがちなところはありますが、ストーリーを見ていると根の優しさがよくわかります。プレイヤーのぶんのお面を探してくれたり、スグリを気遣ってオーガポンのことを秘密にしたり。
ただそれをまっすぐ表明することがほとんどないので……その心がいちばん伝わってほしい弟のスグリに届かない。そういうもどかしさがあります。
よくも悪くも「お姉ちゃんらしく」いなくちゃ、という自負と自信を感じます。
対して弟のスグリは引っ込み思案で人見知り。なにかしようとするとゼイユに「あんたはすっこんでて!」と止められてしまうような、ちょっとヒエラルキーが下そうな子です。ジャパニーズ姉弟
ともっこが崇拝されるキタカミの里において、スグリは昔から鬼のほうに肩入れしていたらしく。「たった一体で大勢に立ち向かったなんて、かっこいい」「こんなところに一人で住まなきゃいけなかったなんて寂しかっただろうな」と共感に近い思いを抱いているようです。
家族の言葉からしてスグリには友達がいなかったようですし、誰からも嫌われてしまった鬼のことを自分に重ねているのでしょう。「鬼のことは誰より知ってる」「姉ちゃんにはわからない」と言うあたり、ゼイユたち里の人々と自分とは(負の意味で)違うんだ、という思いがあるのかもしれません。
ゲーム脳で考えれば「スグリは鬼について誰も知らない情報を知っている」とかのフラグになるのですが、『碧の仮面』の作風からしてそうじゃない可能性も十分にありそうです。
また、スグリは端々で「強さ」を求める節があります。ゼイユとプレイヤーのバトルを見てプレイヤーの強さに興味を持ったり、伝承を自分だけ聞かせてもらえなかったあとのバトルで「オレが弱いから?」と口にしたり。
弱くなんてないのに……。
田舎あるあるかもしれないのですが、「男の子は強くなきゃあ」みたいなジェンダーバイアスというか……アレが強い、というのは確かにあって。そういうのがこの描写になっているとか……はないか。ないということで。
ゼイユも「わたしの次に強い」と言っていたし(もしかするとこれはスグリの「強さ」への思いの燻りを知っての励ましかもしれない)、わたし自身彼は決して弱くはないと思うんです……。
あとスグリはいつも姉に助けられてしまっているという自覚があり、「自分でできるようになりたい」という意欲があります。依存からの脱却を目指しているのですが、プレイヤーのバトルの腕を見て「他とは違うから?」と発言したり、境遇を重ねた鬼を「すごい」と言ったりなにかと「信仰」に走る癖があるようです。
キタカミの里の姉弟は性格的には異なりますが、本質的には二人とも俗っぽく、心理的に陥りやすいいくつかの点を満たしています。
ゼイユは自分のことを過信しています。自分は強い。里が都会のやつに貶されるのは許せない。「よそ者」に踏み荒らされてその伝統や神秘性が卑近なものに還元されてしまうのは嫌。
スグリは周りと自分とを過度に分断しています。プレイヤーに心を開きかけても、ちょっとしたきっかけで「ああ、この人も他と一緒だ」と思ってしまう。(「おれをのけ者にして鬼さまと会ってた!」の場面)
そして二人とも自分の中でその思いを熟成させてしまう。すれ違ってしまう。
わたしが買ったのってポケモンのDLCなんですよね……? と疑ってしまうほどの繊細な作りです。
SVはメインストーリーもすごくしっかり作られているのでその延長といえばそうなのですが……すごい。日本の田舎の感じ、姉弟の感じ、そしてそれぞれの心の内。
メインストーリー同様に少し暗いところがあるので好みはありそうですが、だからこそこれまで踏み込んでこなかった部分に分け入るのがすごくよくて。
脱線した話ですが、SVのメインストーリーは「宝探し」というキラキラしたテーマを掲げながらも「夢破れた人」であるグルーシャを最後(想定)のジムリーダーに持ってくるところがウィットに富んでて好きなんです。
ユメはいつかホントになる って
誰かが歌っていたけど
つぼみがいつか花開くように
ユメは かなうもの
子供のころ、描いた夢は叶うものだと信じて疑わないときがありましたね。
グルーシャもきっとそうでした。天才スノーボーダーとして勢いに乗って。でも彼は怪我でもう二度と夢を叶えられなくなってしまった。そして雪山に閉じこもる彼に会いに行くのが、本物の「子供」が多数であろうプレイヤーなのです。
わたしはSVのシナリオのこういう細かさが大好きです。だから『碧の仮面』の姉弟には不思議と目が行ってしまうし、今後『蒼の円盤』でもきっと同じようなことになると思います。
いや〜でもほんとに、スグリの心情がすごくわたしに刺さりまして……。
「裏ではおれを笑ってたんだろう」「嘘つき、嘘つき!」こんなセリフ、ナンバリングのポケモンゲームで出るんだ……とびっくりしたというか、新たな面を見たというか。
細かく見ていけば歴代にもあると思いますが、こうしてしっかり考えながら読んだのが初めてだったのでとても新鮮に感じました。
行間にある感情の機微が好きなかたにめちゃくちゃオススメです。『ゼロの秘宝』ぜひぜひ遊んでみてください。
【追記:『碧の仮面』全編プレイ後】
ゲームフリークの鬼!!!!!!!!!!!!!!!!
人でなし!!!!!!!!!!!!!!!!
なぜオーガポンは森でわたしはタタラ場で暮らすという選択がないんだ なぜゲーフリはいたいけな子供に否応なく現実を見せようとするんだ なんなんだ ポケモンSVってなんなんだ 奪わなくては生きていけないのだろうか人間は
わたしはオーガポンにキタカミで幸せに暮らしてほしかったんだよ!!!!!!!!!!!!!!!
でもスグリくんとの本気のバトルすごくよかった。「本気で来てくれるんだね」っていうあの姿勢が……当たり前だよ全力でぶつかりにいくよ。毒下生二回発動させたし抜群取りに行ったし、でも何体も瀕死になったよ。エンジョイ勢だから厳選も厨もなし、Lv100もいないけど、それでも本気でぶつかったよ。
わたしはスグリくんが大好きだよ……!!!!!!!!!!!!!!!
なぜオーガポンが里でスグリくんと一緒に幸せに暮らすルートがないんだよ……そうなれば全部綺麗に収まったじゃないか……ねえ……ねえってば……
でも『碧の仮面』ラストのムービーを見て思ったわけです
ゲーフリはこれを「わかって」やってる
だからわたしは「ゲームフリークの鬼!!!!!!!!!人でなし!!!!!!!!!!あんぽんた〜ん!!!!!!!!!!!」としか言えないんです。
『ゼロの秘宝』は前後編なんです。キタカミだけで終わる話じゃない。ゼイユとスグリの話はキタカミで収束するものだと勝手に思っていましたが、そうではないみたいです。こうならなければいけなかったルートがその先にあると確定した以上、わたしはこの道が修羅すぎることに泣くほかないんです。泣きながらたどりついたそこが桃源郷だぜ。
『碧の仮面』をプレイしながら、なんとなくスグリくんってゲーフリの好きそうなキャラクターだな〜とは思っていたんです。もちろんゼイユちゃん(勝気でイキりがちなおもしれ〜女)もゲーフリ爆推しキャラクターだと思うのですが、スグリくん(臆病だけど思い込みがちで強さに固執)はそれとはまた別ベクトルの爆推しがありそうだな……というのが。
闇要素をいくつか引いたミツルくんという前例もいるし。(そうでなくてもゲーフリ闇キャラ好きだし……Nとかマチエールとかグラジオとかビートとかそういうの一人は置かないと死ぬ呪いでもあるのかってくらいに……)
だからもしこのままキタカミの里で彼が悲しい思いをしてさよならになったとしても、ゲーフリが彼を放っておくはずはないだろうなあと。
SVの続編かそのDLC、そうでなくても小ネタでは必ずレシーブされるだろうと踏んでいたんです。地方代表大会とかでキタカミチャンピオンとして出てくるとか。こういう子がいたのよ〜とか。
しっかり後編でレシーブされるようですね。
ふざけんな。ワクワクがテカテカになっちまったじゃないか。どうしてくれる。
ラストのムービーでスグリくんががんばリーリエしてたような気がしたんですが気のせいですか? 気のせいじゃないよね。
「強さ」に固執した彼が「バトルを専門に学ぶ」ブルーベリー学園編でどのように立ち回るのか……今から楽しみです。ここのストーリーの繋げ方がすごく良くて鳥肌立ちました。でもスグリくんにもゼイユちゃんにも幸せになってほしい。幸せに生きろ。
ゼイユちゃんまわりは前編のうちにとっても綺麗にまとまった感じでよかったです。つっけんどんな態度でなくなってもおもしれ〜女であることは変わってなくて好きだ。彼女が後編でどう立ち回るのか……具体的にはゼイユちゃんのブルーベリー学園での強さランクはいかほどなのか……しっかり見させていただきますよ。じろじろ。
さあわたしも後編に向けてちょっとレベリングしないといけないかも。この感じだとLv80くらいは余裕で出してきそうだから、こっちはLv90くらいは必要かなあ。
……オーガポンを連れていきたいけどやすやすバトルには出したくないな。ポケットモンスターSPECIALのアレみたいに隠し球として、最後の砦として持っておくか……。わたしあのシーン超大好きなので真似するのずっと夢だったんですよ。こうなりゃやってやるよ。時を渡り全ての運命を覆すように。
(余談ですがこのシナリオなんとなくポケスペにありそうな気がしました それくらいズシンと来た 現場からは以上です)
手短に書くと言ったのにもう4000文字超えてるなんて嘘!?
『碧の仮面』とてもとても面白かったです! 『藍の円盤』も楽しみにしております! 二人とも幸せになってくれ! ありがとうございました!!!
☆藍の円盤の感想はこちら
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