パリと京都の往復書簡 IC カード事情
今やキャッシュレスに色々な機能がついたICカードが主流の時代。日本もフランスもそれは同じですが、ちょっと「役割」が違うところもある。今回は旅行に行くなら知っておきたいICカード事情についてご紹介します。
回数券=カルネが好きな私 ◀︎◀︎◀︎ヤマダ@KYOTO
とうとう、メトロのカルネ(回数券)が消えますね。
カルネを愛してやまない私としては、とても残念。何が良いって、デザインが可愛かった。シンプルなものですが、レトロな雰囲気で書体も好みだったのです。
小銭と一緒に入れると、磁気が弱くなってすぐに使えなくなる。改札近くに駅員さんがいなければ、交換することすらできない。どれだけ不便でも、やっぱりカルネ愛好家でした。
パリから戻ると、コートのポケットやリュックサックの底から、カルネが出てきたりするんです。一気に頭の中がパリに飛んでいく気がして、その瞬間もとても幸せで好きでした。
さて、カルネに変わる回数券として登場したNavigo(ナビゴ)。旅行者にとって簡単で、便利だといいですね。
Navigo (ナビゴ)のカルネ、登場。 ▶︎▶︎▶︎ カネコ@PARIS
Navigoの歴史は意外と古く、2001年からありましたが、最近まではいわゆる定期としてしか使えませんでした。1か月(もしくは1週間)単位でチャージするのですが、開始日が毎月1日(週の場合は月曜日)となっていたので、基本的に居住者を前提としたものでした。
私もフランスに来た当時は郊外に住んでいたので毎月Navigoをチャージして使っていましたが、市内に引っ越して、仕事もプライベートほぼ徒歩圏内で済むようになってからは、Navigoでは元が取れないので、ずっとカルネを買っていました。
財布のカルネが無くなったら買い足す、という超アナログ方式を20世紀に入ってだいぶ経つというのに繰り返すのは、さすがになんとかしてほしいなと思っていたところ、ようやく2019年になって、回数券をカードにチャージでいるNavigo Easyが登場。
財布に回数券を貯めておく必要がなくなり、カード1枚で済むようになったのは大助かり。しかもNavigo Easyは無記名で、顔写真などを貼る必要もなく、(定期のNavigoは写真などの登録が必要です。)窓口で購入してすぐに使えるので、旅行者にとっても便利。1枚持っておけば、また次回来た時にも使えます。
また、アンドロイドのスマートフォンであれば、専用アプリを入れることで携帯電話にチャージをして改札を通ることができます。(Apple社との交渉がうまくいかず、残念ながらiPhoneは未対応。残念。)
Navigoには定期タイプ、回数券タイプ以外にも、学生向けに年間タイプもあります。これがなかなか太っ腹で、年間350ユーロで乗り放題(ひと月29ユーロ)。さらに11歳以下なら年間で24ユーロとなります。さすがはフランス、学費は基本的に無償という精神がここにも表れています。
ところで、日本のICカードというと、本当に高機能で買い物の支払いや、ポイントが貯まったりしますが、Navigoにはそこまでの機能はありません。
おそらくですが、将来的にも決済機能は付かないように私は思います。以前noteに書いたように、フランスではクレジットカードに非接触型の決済機能が付いたので、お店や自動販売機ではそれを使います。
日本のように各社競って面白いサービスが生まれるのも良いですが、出遅れた分、規格が統一されたのも良かったと思います。あくまでも推測ですが、フランス人には日本の決済サービスを使いこなせないのでは。(私も自信ないです。)
愛されて、とても長生きなカルネ
面倒だったカルネですが、なくなると聞くとちょっと寂しいですね。
旅行でいらっしゃる方の中には何年か前のカルネが残っていていることがあり、「これ使えるのでしょうか?」とお尋ねいただくことがあります。カルネには有効期限がないので、窓口に行けば無料で新しいものに交換してくれますし、年代によって色やデザインが違うので、それだけで懐かしい気持ちに。
カルネは1900年からあるそうです。まあ、長く愛されていますね。私の財布からも1枚出てきましたが、お守りとして取っておこうと思います。