病床の骨髄検査は慣れた、かの? 2/11
「さいとうさん…、もうすぐ骨髄検査始まります」
いつもの4人部屋。看護師さんが10分前にやって来た。
2度目である。
「はい、わかりました。また、腰ですよね…」
「いえ、今回は胸と聞いてます」
「えっ!胸…?」
私は慌てて聞き返す。
胸から採るということは、目の前の胸骨に太っい針刺されて、髄液採られることになる。
もう一度聞く。
「胸からですか?」
「はい、そうだと思いますけど」
「そうですか…。この前は腰だから見えなかったんですけどね…」
私は少しでも安心したく看護師さんに聞いた。
「胸から採ると針見えて恐いですよね、どの位の針ですか?」
「そうですね。私はしたことはありませんけど、横で見てるだけで恐かったですねー。不安煽っちゃいけないですけど、釘のような針刺されますから!」
「釘のような針…!!」
は~、十二分の看護師さんである…。
「あの、シャツ脱いだ方がいいですか」
「そうですね~。シャツ脱いで横になって待っててください。準備します」
私は胸をはだけて一人待つ…
……、
……。
「さいとうさん、ちょっと先生とスケジュール合わないみたいです。もう少し待っててください」
……!!
待つ…。
不安が募る…。
待つ…。
胸に釘のような太い針を刺されるのである。
様子を思い浮かべてるうち…、
うつらうつら…。
……、(-_-)zzz
寝てしまった…。
こんな人なのだ私は…。
でも、まだかいな~、はよして~。
間近に見れるぞ、太い針!
どんなんやろ?
楽しみやな~…と思いながら、
両手はベッドの端を「ガシッ!」と掴んでた。
そう、こんな人なのだ私は…。
は~っ、やはりこんな時は、手に何か掴んで安心したい…。看護師さんの手がいいけど…もう、隣のおっちゃんでも誰でも構わん…。
、、、?
遅い…?
ま、まだ、、?
もう30分待ちやけど…。
どうすんの…?と、突然!
「ザーッ!」
とカーテンが開き、
「はっ!」
「ヌボッ!」と先生が顔出した。
まさに、ヌボッと現れた
「さいとうさん。では始めますね。後ろ向いてください」
「えっ、後ろ?」
「はい、後ろ」
看護師さんが微笑んだ…。
おい!でも、よかった~と思いながら後ろを向いて尻を出す。
いや、腰を出す。
今日は腰の右側だ。
「昔された結核菌が骨髄の中にいてはいけないので調べます」と。
今日の先生は普通な喋りで、軽い調子ではない。
もう2回目だからだろうか。
アルコール消毒大きく2回して
「う~~、う~~」と
痛い麻酔の後、すぐに「ちょっと引っ張りますよー」
「くぃ~~…、、くぃ~~」と抜かれた
骨髄液2本。
あっさりも大切に抜かれ、丁寧に止血され起き上がる。
「おっ」今回はシーツに血痕なし。
物足りないくらいあっさり終わった。
「先生、よろしくお願いします」
「はい」
先生は別室に持ち帰り調べてくれている。
一時間後…、
先生が知らせにやって来た…。
「さいとうさん、ステロイド治療がよく効いてます。骨髄液の中で血球貪食は見られません」
「はい…、はい、ありがとうございます」
嬉しかった。治ったわけではないけど、血球を貪り食われていたのが止まっていたのである。
なにか、先が見えたのである。