柿ひとつ和み食べしを犬が見る 「食べる…?」
保護犬おかづ…
「はいよ、食べとき…」と、父さんがおやつをくれる。
6時前…!
以前、おかづが吐いた時「胃が空っぽにならないように」とGさんに言われ朝の6時前になると、少~しだけおやつをくれるようになった。
そして散歩から帰っての6時半…。
今度は父さんの朝食。ご飯の時は納豆があるので、いつも横で待機する。だが、今日は気分が乗らない。なんとなくカーテンの隙間からぼ~っと外を眺めていると、
「はいよ納豆…。。えぇ…?どしたん…いらんの?。。。どしたん?来んの?」
しつこい!。父さんから何度も言われるが、今日は食べたい気分ではないのだ。
朝から納豆を食べたくないだけだ。
「どしたん…?」とおかづに気を遣いつつも父さんは朝食を食べ終わる。きっちりしてんな~…と思っていたら、2階の母さんが起きてきた。降りてくるなり父さんは母さんに言う「おかづ…、納豆食べんかったよ。まだ、調子悪いんやろか?」と心配そうに言った。
母さんはおかづの顔をジ~っと見ながら
「いや~、甘えてんな~。。シーズーはグルメ犬なりやすいんや。贅沢病や。食いしん坊やからな、美味しいものには目がないで…。後から美味しいものがくると分かるから、食べんなこりゃ…」
母さんは勘がするどいので困るのだが…、、意外と甘いのは母さんなのである。
おかづが食べない時には、よくチキンや豚はくれるのだ…。我慢すればきっと出る…。勝負やなこれは…。
ほんまに…。
話は変わるが、父さんは小さいころ柿だけは食べんかったらしい。なんで?
「いや~、はっきり分からんが、ただ子供やったんやろな。今になって、なんでか食べたいと思う…」
この前スーパーで柿を見て無性に食べたくなった父さんは、食べたい欲求を抑えられず人生初の柿買いしたらしい。
家に帰り、じっくり味わいながら食べていた…。
「あ~、これが和の味や~。ほんまに美味しい…。やっと大人になった~…」
なるほど…、
あり得る…。
人は食べたい物が変わるとき…。
何かが変わっている…。
歳と…体と…考えと…。
柿食ってやっと和を知り歳を知る
柿食えば犬と目が合い和み知る
柿ひとつなごみ食べしを犬が見る
これで父さんは爺さんになった。