「不明熱」~「血球貪食症候群」 2/5
一昨日で入院10日目
骨髄検査
数えられないくらいの様々な検査が終わり、一昨日は骨髄検査も終わった。
骨髄検査というものは
「おー」微妙。
腰から太っい針を刺されて、骨髄液と細胞を抜かれるわけだが、骨から抜かれるという不思議な感じはかつて味わったことがない。
そりゃそうだ、初めてなのだ。
局所麻酔するので耐えられない痛さではない。
ただ、4人部屋のいつものベッドの上で行われたのだ。
隣の人達は、私と先生の会話が当然聞こえて来て、嫌でも想像して、さぞかし不思議な感じだっただろう。
「はーい、後ろ向いてくださーい。腰に打ちますから、ズボン少しずらしますよ。では、アルコール消毒しまーす」
「はい」
腰のずいぶんな範囲を消毒された。
「もう一度アルコール消毒しまーす」
「はい(また?)」
そして、アルコールをパタパタと乾かされ
「では、麻酔しますね…」
「はい」
……。
「はーい、もう一本打ちまーす…」
「うっ(えっ!)」
2本か…?言っといてくれよ、と思いながらの麻酔は痛い。
「うー(おーっ)」
「はい、では、髄液抜きまーす。腰を引っ張られる感じがすると思いますのでー」
「はい…」
いつも先生はなんか言い方が軽い。重いよりもいいけれど…。
ぐいいー…、ぐいいーーっ、と注射の動きに合わせて抜かれる。
たしかに
「ううー…、ううーーっ」
骨の中が体から引っ張られる感じがある。痛くはないのに不思議な痛み。
「はーい、終わりましたー」
「ありがとうございました…(ほ~~…)」
ここは血液専門の血液内科のある立派な病院だ。
これから詳しく検査してもらえるのだ。
もう、任せるしかない。
血痕
さすがに意外なまでの痛みはなく、すんなり終わったすぐ後、看護師さんがえらく丁寧に、頑丈に頑丈に大きくテープを貼って注射した所を止血してくれた。
「15分は歩かないでください。病室から出るのは駄目です。椅子に座ったりベッドに座るのは構いません」
言われて私はゆっくりベッドから起き上がり、そのまま座わろうとすると
「おおっー!(えーっ?)」
白いシーツに拳くらいの大きな血の染みがある。
「これは…?(漏れたん?)」
「はい、ちょっと血が漏れました。後でシーツ変えときます」
いや、そんなに軽いことなの?と思いながらも
「いや、座わりたいので早めにお願いします(早くね…)」
「では、後で来ますね」
と、あっさり帰って行った。
まぁ、医者や看護師さんは血が漏れたくらい、たいしたことはないのだろう。
病名判明…о⊿×θμλ⊿…
少し経ち、シーツ変えられたのを見届けながらの1時間後。
先ほど、骨髄液を抜いてくれた先生が慌てて病室にやって来た。
「さいとうさん。骨髄検査で病気を見つけました。о⊿×θμλ⊿…です」
「えっ?何?(なになに?なん)ですか?」
「あっ、そうですね。紙持ってきますね」
「はい(えー、先生…!)」
なるほど、先生は骨髄検査で病気が判明して嬉しかったのである。いや、こういうと語弊がある。
10日もわからなかった病気が骨髄検査でわかったのである。
だから先生は説明の何も持たず、いち早く私のところに知らせに来てくれたのだ。
いい先生らしいけど、何を言ってただろうか?
私は、聞こえたような言葉をつなぎ合わせて考えていた。
が、上手くつなぎ合わせられずにいた15分後くらいだろうか、先生がパタパタと紙を持ってやって来た。
「さいとうさん…」
と、紙を渡される。
病名 「血球貪食症候群」
(けっきゅうどんしょく症候群)
と書いてあった…。
この病名…なんか凄いな。
血球を貪り食う症候群…?
つづく