【ロック名盤100】#18 The Zombies - Odessey and Oracle
今回紹介するのは、ゾンビーズが1968年4月にリリースした「Odessey and Oracle」だ。ブリティッシュ・インヴェイジョンのバンドの中ではやや影が薄い印象のあるゾンビーズだが、サイケデリック・ロック全盛期に1960年代のなかでも特に優れたアルバムを作り上げてみせた。カラフルなジャケットからもサイケな音色が予想できるのではないだろうか。
ロッド・アージェントとクリス・ホワイトのソングライティング能力には驚かされる。思わず唸ってしまうかのように美しいメロディの展開が飛び交う。ポップで、それでいて浮遊感のあるサイケなサウンドが本作の特徴である。また本作の最大の魅力のひとつに、美麗なコーラスワークが挙げられる。1966年にビーチ・ボーイズがリリースした大名盤「ペット・サウンズ」からの影響も間違いなく大きいだろう。和声のこだわりを感じると思う。曲の雰囲気もなんとなく「ペット・サウンズ」に似ている。
1 Care of Cell 44
2 A Rose for Emily
3 Maybe After He’s Gone
4 Beechwood Park
5 Brief Candles
6 Hung Up on a Dream
7 Changes
8 I Want Her, She Wants Me
9 This Will Be Our Year
10 Butcher’s Tale (Western Front 1914)
11 Friends of Mine
12 Time of the Season
全部の曲がとにかく息を呑むほどに美しい。前述したように、優れたビーチ・ボーイズ風のハーモニーがやはり目立つ。主にサイケデリック・ポップ/バロック・ポップ調の曲が大半を占める。そのなかでも特筆すべきはゾンビーズの代表曲である「タイム・オブ・ザ・シーズン」はドラッグの香りがする象徴的なサイケデリアだ。イントロから鳴り響く「ハァー」の合いの手なんかいかにもだし、終盤のキーボードのプレイングも幻想的で素晴らしい。
だがこのトラックリストの中ではひときわ質感が違うような曲がひとつあって、それが僕の小学生の頃からのフェイバリット・ナンバー「ジス・ウィル・ビー・アワ・イヤー」。アルバムの中ではややカントリー風味が強い曲調だ。親が何となくかけたこの曲を聴き、ビートルズばっかり聴いてきた僕にとってはポール・マッカートニー作品かのようなスムーズなメロディがとにかく刺さった。大好きな曲だ。
イギリスのサイケデリアを象徴するゾンビーズの正真正銘の最高傑作だ。ちなみに本作の強い影響下である「ペット・サウンズ」の紹介は次回。取り上げるアルバムの順番が変で申し訳ないけど、これでもできるだけ時系列順で紹介しようとしているつもりなのでご容赦ください。
↓「タイム・オブ・ザ・シーズン」
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