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【ロック名盤100】#20 Bob Dylan - Highway 61 Revisited

 今回紹介するのは、ボブ・ディランが1965年8月にリリースした「Highway 61 Revisited」(邦題「追憶のハイウェイ61」)だ。フォーク特有の文学的表現をロックに持ち込み、ロックにおける詞の価値観を転換したアイコニックな名盤である(正確にそれを行ったのは前作の「Bringing It All Back Home」)。
 フォーク・シンガーとして「風に吹かれて」「時代は変る」などの名曲を発表してアメリカで人気を博していたボブ・ディランは、ビートルズを始めとしたロックというジャンルの可能性を察知していた。そして1965年、フォークのエレキ化「フォーク・ロック」というジャンルの創造と開拓に挑戦するも、ロックに翻意したとフォーク・ファミリーからは反感を買っていた。しかし本作のクオリティと革新性を提示されれば黙るしかなくなる。

1 Like a Rolling Stone
2 Tombstone Blues
3 It Takes a Lot to Laugh,
  It Takes a Train to Cry
4 From a Buick 6
5 Ballad of a Thin Man
6 Queen Jane Approximately
7 Highway 61 Revisited
8 Just Like Tom Thumb’s Blues
9 Desolation Row

 1曲目「ライク・ア・ローリング・ストーン」はロック史上最も重要な楽曲のうちのひとつだろう。この曲のヒットにより歌詞における強いメッセージ性、単なる若者の娯楽ではなく反体制的な姿勢などがロックにもたらされた。また、この曲のような節や拍子にとらわれない歌唱によって、世のロックミュージシャンのより詞にフォーカスしたソングライティングを可能にさせたといえる。
 11分に渡って荒廃した都市部を思わせる内容を歌いきる「デソレーション・ロウ」のような従来のフォーク・ソングも収録されている。どことなく退廃的で陰鬱なバラード「やせっぽちのバラード」はこのアルバムの中で僕が最も好きなナンバーだ。重苦しさを感じさせながらも美しいピアノのコード進行、そして何よりもディランの気怠さを伴った魅力的なボーカルが大好きだ。
 本作は「詞の認識を転換した革新的な〜」だとかの視点から語られがちだ(というか僕もその視点から語っている)が、今回記事を書くということで聴き直してみたら、ボブ・ディランのボーカルの素晴らしさが強く印象付いた。やっぱり僕はああいう掠れた声が好きだ(ジョン・レノン然りリアム・ギャラガー然り)。次回は本作の翌年リリースされた「ブロンド・オン・ブロンド」を紹介します。

↓「ライク・ア・ローリング・ストーン」

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