西加奈子さんの白いしるし
さきほど、西加奈子さんの白いしるしという本を読み終わった。
ネタバレとか関係なく書くので、気にする人は本を先にお読みください。
うーん、読んだ後がなんだかスッキリしていない。報われなかった夏目がどうしようもなく気になる。白い絵具を身体に塗りたくって、富士山に向かって叫んだ後、彼女はどうしたのだろうか?間島の気配が残る部屋に帰ったのだろうか。重すぎる失恋から抜け出せたのだろうか。間島は恋人と幸せに過ごせているのだろうか。気になる。
間島が夏目のことをどう思っていたのかが、私には分からなかった。
義理の妹のことは忘れて、夏目のことを好きになりたかったのかな。報われないから。だけど、妹のことが好きな気持ちは片時も離れなくて、妹の元に帰ったのかな。
登場人物の一人ひとりの恋愛が悲しく悲しくて、ほんわかな恋愛小説と思って読み始めた私からすると、衝撃が二倍だよ。
共感したところは、塚本さんが女の子の写真を見たときの気持ちかな。
何かを、ではなく、こうやって、美しいものを見て泣いた自分を、信じよう、て。
塚本さん的に言うと、離婚をして心身ともに不安定な自分以外に、何かに感動できた自分を見つけて嬉しくなったという気持ち。私の目線から言うと、クズな自分だけじゃなくて、何かに感動できる自分もいるし、そんな瞬間もあるって希望を持つ感じ。そんな瞬間が生きる支えになるんじゃないかな、と私は常々考えている。大切にしていることが書かれていて、嬉しかったな。
他に共感できることは、ほとんどなかった。夏目みたいな恋をしたくないと思う反面、羨ましくもあった。夏目がどこかで幸せになってくれればいいな。本の登場人物に対して、よく幸せを願ってしまう、存在しないのに。
少ししか出て来なかったけど、看護師の笹井さんがずいぶん健全で真っ当な人に見えた。それ以外の登場人物は、切ない思いを持ちすぎている。あぁ、悲しい。
間島みたいな瀬古みたいな、ぬるっとした優しさを持っていて、どこか影を持った人に憧れてしまう。厨二病みたい。
私も今は所属するところがなくて、ふわふわとしている身だから、掴みどころがなくても生きていける大人に憧れるんよ。
打つの嫌になったから、おわり。