かつてファンロードという雑誌があった
時は80年代中頃…あんどろトリオ(内山亜紀)で性に目覚め、ひばりくん(江口寿史「ストップ!!ひばりくん!」主人公)に恋をした少年こと自分は、なにかに導かれるかのように地元のアニメイトへ足を運んだ。
そこで発見したのが、月刊OUT(アニパロコミックス)やファンロードといった投稿系同人雑誌だった。
そこには同好の士たちの嗜好と才能をぶつけ合うかのような投稿が集まっていた。ページをめくるにつれて、少年こと自分の目も見開いていく。やがてGペンとスクリーントーンを買って帰り、漫画クラブに籍を置くことになったのである。
特にファンロードでは、誌上で毎回決められたテーマを元にイラストやテキストの投稿を募ったり、ゲゲボツアーなる海外旅行をはじめ投稿者同士の交流企画も盛んに組まれていた。インターネットの普及より以前にその役割を担っていたとも言える。
そんなコミュニティへの憧れやらを抱えつつ、教室の片隅で絵を描き続けた日々。ヲタク文化への帰属意識は、この頃にはすでに芽生えていたのかもしれない。